丸紅と伊藤忠商事、総合商社の中でも常にトップ企業として輝く人気企業だ。
両者の比較を今回は試みたい。ポイントは4つ
- 初任給
- 年齢ごとの給与水準
- 生涯給与
- 役員報酬
サラリーマンとして一生をこの会社で過ごし、役員までに到達した場合の報酬の差を見て商社人生の損得勘定を見ていきたい。
初任給
すでに社員の方は昔と今では少し違うかもしれませんが、これからの就職する方のために初任給制度を掲載しておきます。
【伊藤忠商事総合職】 140名程度
2014年4月実績
学卒:205,000円
院卒:244,000円
「全社研修」と業界特性や専門性等に対応したカンパニー及び職能部の「独自研修」要なスキル・専門性に応じて、海外ブロック毎に研修体系を整備
【丸紅物産総合職】 130名程度
2014年4月実績
学卒:205,000円
院卒:244,000円
部門別研修、全社研修で早く大きく育てる、欧米トップクラスのビジネススクールも
ここでは両者とも同額で横並びです。
年齢ごとの給与
年齢ごとの推定給与は以下の通りです。
【両社比較 単位:万円】
年齢 | 伊藤忠商事(株) | 前年比 | 丸紅(株) | 前年比 |
25 | 882 | 6.2 | 826 | 21.2 |
30 | 1145 | 8.0 | 1072 | 27.5 |
35 | 1297 | 9.1 | 1214 | 31.1 |
40 | 1382 | 9.7 | 1294 | 33.2 |
45 | 1417 | 9.9 | 1327 | 34.0 |
50 | 1447 | 10.1 | 1355 | 34.7 |
(両者とも平均年間給与は、賞与及び超過勤務手当を含みます。)
金額は拮抗しており、差異はほとんどありませんが若干伊藤忠商事がリードしています。
それでも丸紅も前年比の増減では伊藤忠商事よりも大きく増えています。(差は縮んでいます。)
これらの数値は有価証券報告書から平均年齢、平均年収等を取得し計算をしております。
給与カーブの形状等は統計局の産業別のカーブ構造を反映させております。
2つとも同じ業種のためカーブの上昇率等は共通の数字を使っています。
競い合っている商社だけあって給与もほぼ同じような水準となっています。
参考ですが、平均勤続年数は
- 伊藤忠商事は16.3年
- 丸紅は16.7年
となっています。
生涯給与
この年収で生涯もらえる給与を計算します。生涯給与といってサラリーマンとしての収入の総額です。副業等一切なくこの会社からのみの収入です。
伊藤忠商事 | 前年比 | 丸紅 | 前年比 |
4億8923万円 | +342.7万円 | 4億5812万円 | +1174.3万円 |
両者の差額は3,111万円でかなり伊藤忠商事が給与レベルの高さを反映し大きくリード
役員までを想定しない従業員としての生涯給与はこれだけ差がないことが驚きです。
如何に互いがライバルとして認識し、給与レベルで同水準を保つことで、より優秀な人材を獲得したいと戦っていることを知る指標でもあります。
この数字がサラリーマンにとっては一番重要です。
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役員報酬
最後に経営の責任を担う取締役の報酬を見て、大成功して偉くなった場合にどれだけの報酬がもらえるのかをイメージしてください。
こちらはより広くトップ総合商社のランキングを見ていただこうと思います。
役員数は同じ11人ですが、役員の総報酬(役員報酬+役員賞与+株オプション)の平均値で比較すると
伊藤忠商事が1億1600万円 > 丸紅が7,700万円と今年度(2014年度)では3900万円ほどの差がついています。
何年も役員を務めることができれば、この差が数年にもなると数倍になり、すぐに1億以上の差額になります。
1億円以上の役員数でも三菱商事が1名だけ多く7名となっています。
会社名 | 役員数 | 役員報酬(百万円) | 役員賞与(百万円) | オプション(百万円) | 1人あたり総報酬(百万円) | 役員報酬最高額(百万円) | 1億円以上の人数 |
三井物産 | 11 | 737 | 307 | 120 | 106 | 213 | 6 |
三菱商事 | 11 | 656 | 250 | 500 | 128 | 266 | 7 |
伊藤忠商事 | 13 | 837 | 670 | 0 | 116 | 259 | 9 |
住友商事 | 15 | 729 | 0 | 98 | 55 | 0 | |
丸紅 | 10 | 771 | 0 | 0 | 77 | 129 | 2 |
兼松 | 11 | 168 | 57 | 0 | 20 | 0 | |
双日 | 11 | 166 | 57 | 0 | 20 | 0 |
結論
僅差ではありますが、伊藤忠商事が生涯年収(従業員として)は3,111万円多く、また役員になってからの待遇が平均で3900万円ほどよかったので、伊藤忠商事の今回は勝ち!ということで。
余談ですが、伊藤忠商事はさらに上の2つである三井物産、三菱商事をさらに追い上げていきそうな勢いです。
参考:生涯で形成する資産
生涯で形成される資産はいくらになって居るかを計算してみました。
伊藤忠、丸紅の現在30歳の方が、
普通(統計的に平均的な)支出をした場合にどの程度の違いがあるかを見てみました。
三菱商事が231万円だけ65歳で上回ります。85歳でもほぼ同じ程度の差額があります。
しかし両者とも安定的な老後が約束されているようです。
しかし使いすぎや、病気、運用の失敗(シミュレーションでは預金しかつかっていません。)で大きく異なることになります。
左が伊藤忠商事の方、右が丸紅の方です。30歳には五郎と名前が入っています。
85歳で逆転しているのは65歳までの年収に対し一定の割合の支出を続けるのですが、年収が多かった分老後の支出も増えやすい傾向があり、それが85歳になると
逆転するというものです。(これはあくまでも傾向であり、仮定を変えてぜひ計算してみてください。