生命保険に加入している方は多いと思いますが、中にはよく内容を理解しないまま加入してしまい解約を検討しているという方もいるのではないでしょうか?
本記事ではそんな方のために生命保険の解約について、その手順や注意点について詳しく解説していきます。
生命保険の解約は可能
結論から言うと、生命保険は解約することができます。まずは解約について詳しく解説していきます。
そもそも解約とは?
生命保険の解約について解説する前に、そもそも「解約」とはなんなのかについてご説明します。
生命保険の契約は我々と保険会社との間で交わされる契約であり、その他一般的な契約と呼ばれるものと同様に契約期間が設定されています。
生命保険の場合であれば、この「契約期間」は「保険期間」や「保証期間」ということになり、特に更新等しない限りは期間が過ぎると同時に契約は終了するということになります。
これがいわゆる「満期」と呼ばれるものです。
そして、この満期を待たずして契約を終了させることを「解約」または「中途解約」といいます。
保険期間 | 生命保険の契約期間 |
満期 | 保険期間を満了すること |
解約 | 満期を迎える前に契約を終了すること |
解約の一般的な手続き
以下が一般的な生命保険の解約手続きのフローです。
1:営業担当者やコールセンター、インターネット等で保険会社に解約の旨を伝える。
2:解約に必要な書類が送付されてくる。
3:書類に必要事項を記入する。
4:書類を返送する。
なにかしらの方法で保険会社に連絡をとりさえすれば、あとは必要な書類が送られてくるので特に難しい手続きではないことがわかると思います。
生命保険解約で解約返戻金が受け取れることもある
加入している生命保険によっては、解約することで「解約返戻金」と呼ばれるお金が受け取れる場合があります。
一般的に解約返戻金がある生命保険は「終身保険」「養老保険」「個人年金保険」「学資保険」などの貯蓄性のある保険となります。入院や怪我に備える「医療保険」も解約返戻金が受け取れる場合がありますが、貯蓄性の保険と比較すると僅かな金額です。
なお、詳しくは後述しますが、貯蓄性のある保険であったとしても解約する時期によってはこれまで支払ってきた保険料よりも解約返戻金が少ないということもあります。
生命保険を解約するときの注意点
ここからは生命保険を解約する際に注意すべき3つのポイントについて解説します。
解約返戻金は課税対象となる場合がある
解約返戻金は一時所得とみなされるため、受け取る金額によっては課税対象となる場合がああります。
この課税対象となる金額とは、解約返戻金からこれまで支払ってきた保険料と特別控除額である50万円を差し引いた金額となります。現在の金利水準ではなかなか課税されるケースは少ないかもしれませんが、特別控除額の50万円は年間の一時所得すべてに対するものであることには注意が必要です。
解約返戻金・満期保険金 | 掛金 | 差引 | |
保険A(解約) | 100万円 | 200万円 | △100万円 |
保険B(満期) | 2,000万円 | 1,200万円 | 800万円 |
例えば上のような条件の場合は一時所得の金額の計算は次のようになります。
その年中の一時所得に係る総収入金額(100万円+2,000万円)ーその収入を得るために支出した金額の合計額(200万円+1,200万円)ー特別控除額(50万円)=650万円
(参照元:国税庁HP 一時所得の金額の計算(一時所得内の内部通算の可否)
元本割れすることもある
前述したとおり貯蓄性のある保険の場合は解約することで、解約返戻金を受け取ることができます。
そのため中には、この解約返戻金を受け取ることを目的に生命保険を解約することを検討することもあると思います。その時に注意したいことが、解約時点で解約返戻金の額がいくらになるのかを事前に確認しておくということです。
貯蓄性がある保険とは言え、保険料のすべてがそのまま積み立てられているわけではないため、解約時期によってはそれまでに支払った保険料よりも少ない金額の解約返戻金しか受け取れない「元本割れ」の状態となってしまうこともあるためです。
一般的には契約してから、年数が経過すればするほど解約返戻金は多くなり、ある時点を境にそれまで支払ってきた保険料の合計額を超えることになるため、その時期を事前に調べておくことが重要です。
解約後同じ内容の保険には加入できないこともある
最後に注意すべきポイントが、一度解約してしまうと同じ内容の生命保険には加入できない場合があるという点です。保険契約は加入した時点での状況に基づいて交わされるものであり、特に保険料に関しては加入した時点での年齢や健康状態が大きく影響します。
そのため、必要になったらまた同じ保険に加入すればいいという安易な考えで解約してしまうと、以前よりも保険料が高くなったり、最悪の場合加入できなかったりする可能性もあることは十分に注意が必要です。
生命保険の解約は慎重に
解説してきたとおり、生命保険は解約が可能で、場合によっては解約返戻金も得られます。しかし、支払った保険料以上の返戻金を手にするには一定以上の加入期間が必要であり、また一度解約すると同じ条件の保険に再度加入することも難しいなどのリスクもあります。
そのため、事前にしっかりと内容を調べ、納得した上で解約することが大切です。