吉野家ホールディングスと日本マクドナルドホールディングスは日本のファーストフード代表する2社ですが、これから日本は人手不足状態。
従業員の待遇が良くなければ未来はない。日米を代表するファーストフード・ブランドはどのように日本で戦っていくのか楽しみだ。
今日は公に開示している情報から、両者の待遇について比較を試みたい。
ポイントはいつものように4つ
- 初任給
- 年齢ごとの給与水準
- 生涯給与
- 役員報酬
サラリーマンとして一生をこの会社で過ごし、役員までに到達した場合の報酬の差を見て商社人生の損得勘定を見ていきたいと思います。
業績は?
業績が良くなければ社員に高い給料は払えない。まずは簡単に業績も比べておきましょう。TPPで輸入牛肉価格は低下するものの、消費税、円安による材料費の高騰や人件費増は飲食業の共通の課題だ。
【26年度の業績(連結)】 (単位円)
吉野家ホールディングス | 会社 | 日本マクドナルドホールディングス |
1,800億 | 売上高 | 2,223億 |
1,734億 | 前年 | 2,604億 |
3.8% | 対前年度比 | -14.6% |
39.9億 | 経常利益 | -79.7億 |
9.4億 | 当期純利益 | -218.4億 |
13.3億 | 包括利益 | -218.3億 |
53.7% | 自己資本比率 | 78.5% |
売上高では日本マクドナルドホールディングスが吉野家ホールディングスを423億円上回っていますが、日本マクドナルドは異物混入等の問題で赤字決算でした。(少しずつ業績は回復しつつあります。) 成長率では吉野家ホールディングスが3.8%と上回っています。吉野家は牛丼各社との競争は依然激しいものの、高付加価値商品の投入、ゆっくりできる点を強調し、デフレから脱却しつつあります。
初任給
新卒で優秀な学生を確保することも企業にとっては最も大事なことです。アルバイトではない新入社員の待遇はいかに!?
【吉野家ホールディングス】
2016年4月入社社員
大学卒 : 月給 204,229円
その他各種手当あり ※地域によって異なります
賞与 : 年2回(7月、12 月)※決算賞与あり(2月)
【日本マクドナルドホールディングス】
大学卒 : 月給 250,000円
その他各種手当あり (通勤、時間外・深夜・休日)
賞与 : 業績連動型賞与
マクドナルドが初任給は高めですが、賞与は業績連動で保障されてはいません。
年齢ごとの給与
有価証券報告書の情報から取得できる情報は以下のようになっています。
【2015年度3月決算の比較(連結)】
従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与(千円) | |
吉野家ホールディングス | 3,340 | 48.8 | 15.9 | 6,552 |
日本マクドナルドホールディングス | 2,679 | 36 | 8.3 | 6,256 |
従業員数は吉野家ホールディングスが日本マクドナルドホールディングスの1.24倍以上います。
平均年齢の差が12.8歳とかなり差があります。マクドナルドは若い人の多い会社なのですね。
また平均勤続年数の差も7.6年と2倍近くの差があり吉野家ホールディングスの方が長いです。
しかし平均年間給与差はあまり大きくなく吉野家ホールディングスが30万円近く上です。
年齢ごとの推定給与は以下の通りです。
【推定年収 単位千円】
年齢 | 吉野家ホールディングス(A) | 日本マクドナルドホールディングス(B) | 差額(B)-(A) |
25 | 4,013 | 4,207 | 184 |
30 | 5,211 | 5,463 | 252 |
35 | 5,900 | 6,185 | 285 |
40 | 6,289 | 6,594 | 305 |
45 | 6,450 | 6,762 | 312 |
50 | 6,584 | 6,902 | 318 |
(両者とも平均年間給与は、賞与及び超過勤務手当を含みます。)
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全年齢層で日本マクドナルドホールディングスが大きく上回っています。
25歳時でおよそ18.4万円の差があり、ピーク時の50歳時ではおよそ31.8万円の差になります。
(これらの数値は有価証券報告書から平均年齢、平均年収等を取得し計算をしております。)
- 給与カーブの形状等は統計局の産業別のカーブ構造を反映させております。
- 2つとも同じ業種のためカーブの上昇率等は共通の数字を使っています。
競い合っている両者だけあって給与もほぼ同じような水準となっています。
生涯給与
この年収で生涯もらえる給与を計算します。
生涯給与といってサラリーマンとしての収入の総額です。
副業等一切なくこの会社からのみの収入です。
会社名 | 生涯給与 |
吉野家ホールディングス | 2億2,262万円 |
日本マクドナルドホールディングス | 2億3,339万円 |
日本マクドナルドホールディングスが吉野家ホールディングスを少しだけ上回り、1,077万円の差額となりなす。
日本マクドナルドホールディングスは業績連動の賞与があるので、業績次第ではさらに高くなる可能性はあります。但し現時点では業績的に厳しい状況にあるため注意が必要ですね。
役員報酬
業績に連動する傾向の強い役員報酬ですが、評価時点では多くの報酬をもらっているようです。
会社名 | 役員数 | 役員報酬(百万円) | 役員賞与(百万円) | オプション(百万円) | 退職金(百万円) | 1人あたり総報酬(百万円) |
吉野家ホールディングス | 7 | 113 | 38 | 0 | 0 | 21.6 |
日本マクドナルドホールディングス | 5 | 151 | 0 | 150 | 91 | 78.4 |
日本マクドナルドホールディングスが吉野家ホールディングスを5,680万円上回ります。これは業績を考えると意外ですね。
生涯で形成する資産
生涯で形成される資産はいくらになっているかを計算してみました。
両者とも平均的な支出を一生続けたとしてどれくらいの資産が65歳、85歳のときに残っているかを推計します。
吉野家ホールディングス、日本マクドナルドホールディングスの現在30歳の方を例に計算を行います。
結果はシミュライザー(人生計画システム)で計算すると以下のようになりました。
吉野家ホールディングス | 日本マクドナルドホールディングス | 差額 | |
65歳 | 3,118万円 | 3,359万円 | 241万円 |
85歳 | 1,612万円 | 1,713万円 | 101万円 |
65歳時に日本マクドナルドホールディングスが吉野家ホールディングスを241万円上回ります。
これが85歳時では101万円に縮まります。
しかし使いすぎや、病気、運用の失敗(シミュレーションでは預金しかつかっていません。)で大きく異なることになります。
左が吉野家ホールディングスの方、右が日本マクドナルドホールディングスの方です。30歳には五郎と名前がついています。(全企業共通ルール)
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結論
日本マクドナルドホールディングス
が生涯年収(従業員として)は1,077万円ほど多い結果になりました。
また役員になってからの待遇も平均で5,680万円ほど日本マクドナルドホールディングスの方が高くなっています。
最後に老後の資産額で比較すると
日本マクドナルドホールディングス
の方が65歳時も85歳時も吉野家ホールディングスをやや上回っており、差額は65歳時で241万円ほど、85歳時で101万円ほどになります。
今後の業績次第では入れ替わる可能性もあります。
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