国家公務員(高級官僚) VS 三井住友フィナンシャルグループのエリート。
有名大学を出て、難関である国家公務員Ⅰ種試験に受かり、官僚になったエリート官僚(いわゆる高級官僚へまっしぐら)と、大手銀行である三井住友銀行の持株会社である三井住友フィナンシャルグループで働くエリート
公官庁と民間企業の代表はどんな給料の差異があるのか?最新のデータで比較してみたい。
官僚の組織は、基本的に「課長」「審議官」「局長」「事務次官」というように、ピラミッド式になっていますが、このうち、概ね局長以上クラスを高級官僚と呼んでいます。
今回は将来この高級官僚になるようなエリートとの比較をしていきます。
両者の比較を今回は試みます。ポイントは4つ
- 初任給
- 年齢ごとの給与水準
- 退職金
- 役員報酬
サラリーマンとして一生をこの会社で過ごし、役員までに到達した場合の報酬の差を見て商社人生の損得勘定を見ていきたいと思います。
初任給比較
すでに社員の方は昔と今では少し違うかもしれませんが、これからの就職する方のために初任給制度を掲載しておきます。
【国家公務員】
2014年4月実績
- 学卒:181,200円
- 院卒:205,400円
新人研修
合同初任研修(将来、中核的な要員となると期待される新規採用職員)
<ねらい>
各府省等において、主に政策の企画立案等の業務に従事することが想定される新規採用職員について、国民全体の奉仕者として必要な倫理観、使命感の自覚を促し、その視点から施策を考えるための見識を養うとともに、政府全体として施策に取り組めるよう相互理解を深めさせます。
派遣研修の対象及び実施状況
制度名 | 対象職員 | 派遣先 | 期間 | 派遣実績 (平成26年度) | |
行政官長期在外研究員制度 | 在職期間が8年未満(博士号取得のための派遣は、在職25年未満) | 外国の大学院 | 2年間(※1) | 147名 | |
行政官短期在外研究員制度 | 調査研究コース | 在職期間が6年以上 行政職俸給表(一)3級~ |
外国の政府機関・研究所等 | 6か月間又は1年間 | 22名 |
特別コース(※2) | 1年間 | 2名 | |||
公共施策コース | シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院 | 6か月間又は1年間 | 0名 | ||
OECDコース | 経済協力開発機構(OECD) | 6か月間又は1年間 | 2名 | ||
行政官国内研究員制度 | 博士課程コース | 在職期間が2年以上25年未満行政職俸給表(一)2級~9級 | 国内の大学院博士課程 | 3年間を限度 | 3名 |
修士課程コース | 在職期間が2年以上18年未満行政職俸給表(一)1級~6級 | 国内の大学院修士課程 | 1年間又は2年間 | 18名 |
※1 このほか、2年を上限として、博士号取得のための期間延長又は派遣が可能
※2 特別コースは、Ⅱ種・Ⅲ種等採用職員の管理職員への登用施策の一環として実施するもの
【三井住友フィナンシャルグループ総合職】
2014年4月実績
- 学卒:205,000円
- 院卒:230,000円
新人研修
SMBCの新人研修で結ばれる絆は、とりわけ強く、太いです。特に、総合職、総合職(リテールコース)は約1ヶ月に亘り仲間と寝食をともにしてビジネスマナーや銀行員の基礎知識、そして三井住友銀行員としての仕事への心構えを学びます。
三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)各社の同期との合同プログラムもあり、SMFGの絆もここで結ばれます。
研修プログラムには、座学だけでなくクラス対抗のイベントやグループごとの自主発表なども含まれます。ここで出会った同期、講師との絆は一生の宝物になります。
【グローバル人材の育成に向けた取り組み】
名称 | 概要 | 期間 |
グローバル・コーポレート・バンカー研修 | 国内勤務の総合職・海外現地スタッフ合同で共通言語を英語とした研修 | 5日間(事前準備期間5か月) |
総合職グローバルコース | 基礎教育期間終了後に海外派遣を含む、グローバルビジネスを行う関連部署への異動 | - |
海外拠点トレーニー | 海外拠点での勤務 | 2年 |
海外大学院 | 留学(MBA、LL..M等) | 2年 |
語学研修 | 英語・中国語等 | 3~6か月 |
SMBCアカデミー | TOEIC対策講座・中国語対策講座等 | 随時 |
初任給は三井住友フィナンシャルグループが勝ち!
ですが、国家公務員も研究員制度は注目に値します。国の費用で留学ができるのは魅力的ですね。
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年収比較
年齢ごとの推定給与は以下の通りです。
【両社比較 単位:万円】
年齢 | 国家公務員(万円) | 三井住友フィナンシャルグループ(万円) |
25 | 289 | 720 |
30 | 366 | 930 |
35 | 734 | 1,107 |
40 | 961 | 1,247 |
45 | 1,187 | 1,391 |
50 | 1,724 | 1,414 |
(両者とも平均年間給与は、賞与及び超過勤務手当を含みます。)
国家公務員の給与の仮定は以下のようにしています。
- 35歳では本府省課長補佐(配偶者・子供1人)
- 40歳では本府省課長補佐(配偶者・子供2人)
- 45歳では本省の課長(配偶者・子供2人)
- 50歳では本府省局長
とかなりのエリート出世を想定しています。事務次官一歩手前までのケースにしています。
国家公務員で最終事務次官(トップ)までに行ければ2,265.2万円の年収になります。
50歳で本府省局長までいけると三井住友フィナンシャルグループの50歳を上回りますが、ここの数字は銀行はあくまでも平均なので、役員になっている方を想定して比較すべきなので
下記の章の役員賞与等をから平均でも役員の総報酬は73百万円なのでここでも住友が大幅に勝利です!
また勤続年数については国家公務員は比較的長めだと思いますが、三井住友フィナンシャルグループは15.75年になっています。
給与レベルではやはり三井住友フィナンシャルグループの勝ちとします!
退職金比較
【国家公務員】
国家公務員で事務次官まで出世できたとして、7,500万円程度の退職金が得られます。
局長レベルだとすると、6,000万円程度です。
課長補佐でも2,725万円ももらえるので民間と比較してもかなり高いレベルにあります。
その後の天下り等を考えても高級官僚はかなり恵まれています。
ちなみに事務次官は65歳で退職とされています。
国家公務員のモデル退職金(出典:平成18年の人事院の国家公務員の退職手当制度の概要)
ポスト | 事務次官 | 局 長 | 審 議 官 | 本省課長 | 本省課長補佐 |
年齢 | 59歳 | 56歳 | 54歳 | 56歳 | 60歳 |
勤続年数 | 37年 | 34年 | 32年 | 34年 | 42年 |
採用年齢 | 22歳 | 22歳 | 22歳 | 22歳 | 18歳 |
学歴 | 大 卒 | 大 卒 | 大 卒 | 大 卒 | 高 卒 |
俸給表・級号俸 | 指定職8号俸 | 指定職4号俸 | 指定職2号俸 | 行(一)10級21号俸 | 行(一)6級77号俸 |
退職事由 | 勧 奨 | 勧 奨 | 勧 奨 | 勧 奨 | 定 年 |
退職前5年間の状況 | 事務次官2年 | 局長3年 | 審議官2年 | 10 級課長2年 | 6級課長補佐 |
局長3年 | 審議官2年 | 10 級課長3年 | 9級課長3年 | 5年 | |
調整額 | 415万円 | 375万円 | 345万円 | 310万円 | 200万円 |
退職手当額 | 7,594万円 | 5,955万円 | 5,126万円 | 3,925万円 | 2,725万円 |
(税引き後) | (6,501万円) | (5,211万円) | (4,547万円) | (3,628万円) | (2,698万円) |
【住友フィナンシャルグループ】
住友フィナンシャルグループ単独で退職金を公表はしていませんが、経団連のデータ(「2014年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」)をもとに推測してみます。
この表をを見ると60歳で39.5月分ほどの支給があり、平均で2,358万円がボーナスの平均となっています。
住友の50歳での年収をもとに考えると1,414万円(年収)/12(月)=118万円程度の月給をもとに考えると118万円×39.5月分=4,661万円程の退職金が想定されます。
その他にも調整がはいるので、増えるとは思いますが、従業員の退職金は5,000万円程度と思われます。
退職金だけでみると国家公務員(高級官僚)、高級官僚の方がやや多いと考えられ、国家公務員(但し、高級官僚のみ)の勝ちとします!
(比較として、局長級以上の退職金は役員の報酬や慰労退職金と比較するのが良いかもしれませんが、今回は”退職金”同志を比較しました。)
大学卒の管理・事務・技術労働者(総合職)の退職金(出典:経団連「2014年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」)
勤続年数 | 年齢 | 扶養家族 | 会社都合 | |
退職金額 | 支給月数 | |||
年 | 歳 | 人 | 千円 | 月分 |
1 | 23 | 0 | 239 | 1.1 |
3 | 25 | 0 | 683 | 2.8 |
5 | 27 | 1 | 1,223 | 4.4 |
10 | 32 | 3 | 2,975 | 8.8 |
15 | 37 | 3 | 5,470 | 13.2 |
20 | 42 | 3 | 8,776 | 17.6 |
25 | 47 | 3 | 13,164 | 23.7 |
30 | 52 | 1 | 18,042 | 29.9 |
33 | 55 | 1 | 20,964 | 33.7 |
35 | 57 | 1 | 21,708 | 35.6 |
38 | 60 | 1 | 23,577 | 39.5 |
- | - | - | - | - |
黄色で色付けしたものが38年間勤続し60歳でもらう退職金の金額になります。
役員報酬比較
最後に三井住友フィナンシャルグループで役員になるケースと、国家公務員で事務次官級になるケースを比較します。
事務次官になるのは同期でトップ、また年次の関係でなれない年もあり、能力だけでなく運にも左右される大変な難関です。
三井住友フィナンシャルグループでトップになるのも同様な激しい競争と難しさがあると思われます。
【三井住友フィナンシャルグループの役員報酬】(単位万円)
項目 | 金額等 |
役員数 | 13 |
役員報酬 | 70,300 |
オプション | 15,900 |
役員賞与 | 7,600 |
その他 | 400 |
退職慰労金 | 500 |
総報酬 | 94,900 |
1人あたり総報酬 | 7,300 |
(グループ内の関連子会社の役員報酬も合計して記載 2014年3月ベース)
役員報酬の合計額は
総報酬=役員報酬+オプション+役員賞与+慰労金等で決まってきます。
住友フィナンシャルグループでは1人平均で7,300万円の報酬となっています。(もちろん頭取は1億を軽く超えているので、ひらの取締役は平均を下回ります。)
これに対して事務次官の年収が2,265.2万円となっており、1/3ほどの金額しかもらえません。
(しかし、事務次官退任後に“独立行政法人への天下り”という悪しき慣行に加え、いまは民間企業の社外取締役になるケースが増えており、平均で1000万円から2,000万円ほどの給与が65歳から75歳程度までもらえるポストがある程度約束されています。)
一方三井住友フィナンシャルグループでも、頭取までたどり着いたすると10年近く役員報酬をもらい、慰労金を退任時に加算され、役員退職後も子会社や関連会社の役員で75近くまでは1,000万円から2,000万円程度は約束されていると考えると、75歳までのスパンで考えたとしても
役員報酬+次のポストでも三井住友フィナンシャルグループの勝ちとなる!と思われます。
ここからは参考ですが生涯給与について確認してみます。上記で記載した給与や役員報酬の積み上げになります。
生涯給与
いろいろな仮定を置く必要がありますが、この年収で生涯もらえる給与を計算します。
生涯給与は働いているすべての期間の収入の総額です。
副業等一切なくこの会社からのみの収入です。
三井住友フィナンシャルグループは定年退職後に若干給与は減らされて子会社等で70歳まで働いたと仮定しています。
国家公務員(高級官僚)は定年退職後も天下りに成功し、50歳のときの局長級の給料が70歳まで続いたと仮定した時の数字になります。
国家公務員 | 三井住友 |
3億8262万円 | 4億4344万円 |
定年退職後はかなり国家公務員(高級官僚)に有利な計算をしたのですが、それでも若いころのの差額は埋めることができず、
三井住友フィナンシャルグループの勝ちとなりました!(6,081万円の差額)
結論
三井住友フィナンシャルグループの役員まで行くエリートと国家公務員の高級官僚を比較した場合は三井住友フィナンシャルグループの勝利といえると思います。(退職金のみ国家公務員(高級官僚)の勝ち)
民間の大企業(今回は金融)と比べた場合ですが、金融機関の報酬は高い方なので惨敗に終わりましたが、一般的な製造業等の民間企業と比べるとかなり官僚の報酬は高いほうだと思われます。
また金銭的には出てこないですが、住宅については都内の恵まれた物件に低価格で住める場合もあり、住宅・福利厚生ではやや民間よりも待遇はよさそうです。
また天下りをどこまで定年退職後にできるかでかなり生涯給与は変わってきますが、局長級までいった場合は民間の社外取締役のポジション等も考えられるため、1,000万円から2,000万円程度の収入が75歳くらいまで続くことが考えられます。
よって天下りを何回できるか、民間企業の良いポストがあるかによりますが、それにより高級官僚が優る場合も十分に考えられます。
参考:
生涯で形成する資産
生涯で形成される資産はいくらになって居るかを計算してみました。
国家公務員も三井住友フィナンシャルグループも60歳で退職し、年金生活に入ると仮定した場合の
65歳時点、85歳時点の資産について計算してみました。
(月の生活費の金額などは統計的に平均的な数字を使用し、まったく同じであると仮定します。)
その結果、
両者とも65歳時点、85歳時点でプラスを維持しており、老後の生活もある程度安定したものが期待できそうです。
三井住友フィナンシャルグループの生涯年収が国家公務員の生涯年収よりも1,212万円も65歳で上回ります。
85歳でも1,877万円の差があります。
(同じ生活レベルを保った場合。住居等の生活環境は同じと仮定する。)
しかし使いすぎや、病気、運用の失敗(シミュレーションでは預金しかつかっていません。)で大きく異なることになります。
データをシステムで検討いただけます。
たとえば30歳の例で行くと
国家公務員30歳の方の人生データはこちらから⇒国家公務員 五郎
三井住友フィナンシャルグループ30歳の方の人生データ⇒三井住友フィナンシャル五郎
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