【収入】生涯給与ランキング2014 化学-三菱ケミカル迫るも、富士フィルムがトップを守る。日本化薬、日本ペイントが大幅増

2021/08/19

上場企業の2014年3月末の決算情報を用いた、主要業種の生涯給与ランキング・アップデート。今回は、幅広くビジネスを手掛ける総合化学持株会社から、特定の分野に特化する企業まで多様な企業が含まれる化学業界です。 国内需要の回復傾向、円高修正による輸出環境の改善などにより、総じて好業績先が多くなっています。

 

ここでは、全企業の生涯給与ランキング、各社業績情報のアップデート、更に、財務データからみえる将来の給与動向を展望してみたいと思います。

 

 

 

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2014生涯給与ランキング — 化学業界

順位 銘柄
コード
  会社名  生涯給与
 (億円)
前年変化  40歳給与
 (万円)
平均
年齢 
平均給与
 (万円)
1 4901 富士フイルムホールディングス 3.58 -4.9% 979 45.2 1,070
2 4188 三菱ケミカルホールディングス 3.54 2.9% 968 45.7 1,066
3 4204 積水化学工業 3.24 2.9% 887 43.1 940
4 4973 日本高純度化学 3.23 0.6% 884 36.4 820
5 3407 旭化成 3.02 -2.1% 827 41.0 845
6 8113 ユニ・チャーム 3.02 0.3% 827 40.7 839
7 4114 日本触媒 2.88 -6.0% 789 37.7 752
8 4063 信越化学工業 2.86 -0.2% 783 42.5 823
9 4005 住友化学 2.84 1.2% 778 39.1 763
10 4272 日本化薬 2.84 17.4% 777 40.7 788
11 4182 三菱瓦斯化学 2.82 4.2% 772 39.9 770
12 4612 日本ペイント 2.79 10.1% 764 41.1 782
13 4091 大陽日酸 2.79 -1.7% 763 42.4 800
14 6988 日東電工 2.78 6.5% 761 39.1 747
15 4631 DIC 2.78 1.5% 761 41.6 787

(注1) 生涯給与、40歳給与は、各社の有価証券届出書データを用い、シミュライズ給与カーブモデルによる推計値
(注2) 平均年齢、平均年収は企業による公表値
(注3) 前年変化は、生涯給与の前年度推計値からの変化
(注4) 業種の分類は東証分類によるものの一部弊社独自の分類を加味。なお、平均給与を公表していない企業、従業員数が少ない企業等を除く

 

 

ランキング上位企業はほぼ前年と同じ顔触れです。富士フィルムホールディングス(株)が、生涯給与を前年比1800万円落としたものの前年に続きトップを守りました。  同社は最近、同社のインフルエンザ治療薬がエボラ出血熱の治療薬としての可能性が高まったとの話題で株式市場を賑わせましたが、もともとの写真フィルムメーカーから今や医療機器や医薬品、液晶フィルム事業などへの転換を成功させており、また、オフィス用複写機、プリンターなど大手の富士ゼロックス(株)も傘下に持つ企業です。

 

ランキング2位は、生涯給与を1000万円伸ばし、トップに肉薄した前年2位の総合化学持株会社 (株)三菱ケミカルホールディングスです。 同社は、2010年10月に繊維大手の三菱レイヨン(株)を完全子会社として統合し、売上高が3兆円を超える業界最大企業となっています。  傘下に三菱化学(株)、田辺三菱製薬(株)、三菱樹脂(株)も持ち、ヘルスケア、素材、化学、樹脂と幅広く事業を営みます。 3位には、生涯給与を900万円伸ばした積水化学工業(株)が前年4位からランクアップ。 同社は、住宅事業、および、環境・ライフライン、高機能プラスチック事業をメインとする会社です。 

 

目立ったのが、生涯給与を前年から何と4000万円伸ばし、前年55位から10位にランクアップした日本化薬(株)。 同社は、半導体向けのエポキシ樹脂などの材料、プリンタ色素、触媒などの機能化学品、および、医薬品、セイフティシステムズなどを柱としていて、売上高、経常利益ともに前年比20%後半の伸びとなっています。 また、自動車、汎用、工業用向けの総合塗料メーカー大手の日本ペイント(株) も生涯給与を2500万円と大きく伸ばし、前年40位から12位にランクアップしています。

 

ランキング各社の業績まとめ (連結ベース)

銘柄
コード
会社名 売上高
(億円)
前年
変化
経常利益
(億円)
前年
変化
ROE
4901 富士フイルムホールディングス 24,400 10.2% 1,572 31.9% 4.0%
4188 三菱ケミカルホールディングス 34,988 13.3% 1,031 18.4% 3.6%
4204 積水化学工業 11,109 7.6% 833 37.3% 8.9%
4973 日本高純度化学 92 -7.8% 10 -15.1% 8.8%
3407 旭化成 18,978 13.9% 1,429 50.2% 11.1%
8113 ユニ・チャーム 5,995 20.9% 679 4.5% 10.3%
4114 日本触媒 3,021 12.1% 166 20.4% 4.4%
4063 信越化学工業 11,658 13.7% 1,806 6.1% 6.4%
4005 住友化学 22,438 14.9% 1,111 121.1% 5.7%
4272 日本化薬 1,601 25.0% 265 29.4% 10.0%
4182 三菱瓦斯化学 5,347 14.3% 307 11.2% 4.8%
4612 日本ペイント 2,606 11.7% 468 42.1% 16.4%
4091 大陽日酸 5,227 11.6% 305 32.5% 7.8%
6988 日東電工 7,498 11.7% 717 6.7% 9.8%
4631 DIC 7,056 0.3% 371 5.7% 13.7%

 (注1) 連結ベース。有価証券報告書等を基にシミュライズ作成

 

続いて、企業の直近年度の財務情報を用いて今後の給与動向を探れるよう、いくつかの財務データを見ていきたいと思います。ここで取り上げる指標は以下になります。

 

① 配当性向 当期純利益に対して配当金支払額の占める割合。 利益をどれだけ株主に配当しているかを示す
② ROE 当期純利益を純資産合計で割った指数。投下資本に対して企業の稼ぐ力を示す総合的な指数といえる
③ 経常利益(従業員一人当たり) 経常利益を従業員数で割った数値
④ 純資産額(従業員一人当たり) 純資産額を従業員数で割った数値
⑤ 現金等(従業員一人当たり) 現預金(同等物も含む)を従業員数で割った数値

 

ランキング各社の配当性向・ROE・従業員一人当り財務データまとめ (平均給与公表企業単独決算ベース)

銘柄
コード
会社名 配当性向 ROE 経常利益
(一人当たり)
純資産額
(一人当たり)
現金等
(一人当たり)
4901 富士フイルムホールディングス 95.3% 1.7% 202.9 12,288.6 487.7
4188 三菱ケミカルホールディングス 78.3% 5.9% 179.5 3,676.6 0.0
4204 積水化学工業 60.3% 7.0% 18.5 124.8 6.2
4973 日本高純度化学 69.5% 9.0% 21.4 158.5 87.5
3407 旭化成 67.8% 7.8% 28.3 384.4 68.6
8113 ユニ・チャーム 67.5% 5.1% 26.4 191.2 26.8
4114 日本触媒 38.9% 4.4% 5.8 95.8 10.0
4063 信越化学工業 74.2% 8.1% 32.2 261.5 13.4
4005 住友化学 82.0% 7.5% 5.1 40.3 0.2
4272 日本化薬 40.9% 8.6% 8.9 73.9 3.7
4182 三菱瓦斯化学 105.3% 2.9% 11.3 72.8 5.5
4612 日本ペイント 24.8% 15.1% 21.2 110.1 15.9
4091 大陽日酸 34.8% 7.3% 10.9 156.1 25.4
6988 日東電工 52.8% 9.2% 8.5 68.6 20.7
4631 DIC 33.4% 7.5% 3.8 64.7 0.3

  (注)金額は百万円

 

ROEは企業の投下資本に対する総合的な稼ぐ力、 配当性向は企業の株主への利益還元姿勢を示します。 ROEが一定水準以上あり配当性向の高い企業は、今後も資本効率よく収益を稼ぎながら従業員への還元も続けて行く可能性が相対的に高いと考えられます。 上記表より、ROEが一定水準あり、配当性向が相応に高い企業として、日本高純度化学(株)、信越化学工業(株)、日東電工(株) あたりが挙げられます。

 

日本高純度化学(株)はプリント基板やコネクター等電子部品用の金メッキ薬専業の企業、信越化学工業(株)は塩ビ・化成品、半導体シリコンウエハの世界的企業、日東電工(株)は液晶用光学フィルムなどに強みをもつ総合材料メーカーです。 いずれの企業も従業員一人当たりでみた経常利益や純資産額が業界内の平均水準より高く比較的効率的な経営を続けていると想定され、同時に、従業員一人当たりの現金額も相対的に多いことから、今後の給与伸びの余地が他社対比あるのではないかと考えられます。

 

シミュライズでは引続き、企業の給与動向を見ていきたいと思います。

 

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