iDeCo、NISAの次は何で運用する?投資先を自分で選ぶヒントを紹介

2023/07/11

iDeCoやNISAは投資初心者にお勧めの制度だといわれており、口座数も年々増えています。

iDeCoやNISAは比較的安定した資産運用に向いている一方、投資額や金融商品などに制限があります。投資に慣れてくると、他の方法にもチャレンジしたいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この記事では、投資先を自分で選ぶときの考え方や、iDeCoやNISAを使わない運用方法の特徴をご説明いたします。

iDeCoやNISA以外で投資する前に

まず、ご自身の投資ルールを考えてみましょう。投資をするうえで優先したい事や目的などを考えておくと、投資先を決めやすくなります。

この章では、iDeCoやNISAの制度を利用した投資と制度を利用しない投資との違いも確認していきます。

どんな投資をしたい?

まずは、ご自身がどんな投資をしたいのか考えてみましょう。詳しくは「投資ルールを決めるキーワード」の章でご説明しますが、主に「どのくらいの時間をかけてどのくらいの利益を目指すか」という視点で考えます。

iDeCoやNISAとの違い

iDeCoやNISAとの大きな違いは、運用で利益が出た場合に税金がかかることです。税金の払い方にもよりますが、1年間の利益の20%(2023年12月までは20.315%)を払うのが一般的です。

納税方法は、源泉徴収と確定申告があり、それぞれ次のような特徴があります。

  • 源泉徴収

銀行の預金のように利益から税金分を引いた金額が手元に残るしくみです。納税手続きは金融機関が行ってくれますので、納税の手間が省けます。

  • 確定申告

確定申告書やe-Taxを使い、個人で納税額を計算して税金を納める方法です。確定申告で納税すると、複数の金融機関の利益と損失の相殺ができます。ただし、NISA口座の利益や損失とは相殺できません。

投資ルールを決めるキーワード

この章では、ご自身の投資ルールを決めるときのキーワードをご紹介します。

どのくらいのリスクをとるか?

「リスク」は投資運用のキーワードの1つです。リスクの意味をきちんと理解し、どのくらいのリスクを取れるか考えてみましょう。

リスクとは

投資運用で「リスク」という場合は、予測される利益と損失の幅の事を指します。予想の幅が小さいものを「リスクが低い」と言い、幅が大きいものを「リスクが高い」と言います。

なお、リスクの高い・低いは予測ですので、実際の投資結果は予測以上の利益が得られることも、予測を超えた損失が出ることもあります。

リスク許容度とは

投資をするときは、損失が出る可能性があります。損失が出ると、資金面・心理的面で負担に感じる人が多いでしょう。

どの程度の損失で負担になるのかは、人によって違います。例えば10万円投資して0円になっても気にしない方がいるかもしれません。一方、1円でも損失が出ると不安で仕方がない方もいるかもしれません。

まずは、ご自身がどの位の損失なら耐えられるかを考えてみましょう。

どのくらいの資金でどのくらいの利益を目指すか?

一般的に、リスクが低いものは利益も少ない予測で、リスクが高いものは利益予測も大きい傾向があります。

大きな損失を出したくない場合は、リスクの低い商品に投資することになりますから、利益予測も小さくなります。もし、少ない資金で大きな利益を狙う場合は、大きなリスクを覚悟しなければいけません。

どのくらいの時間をかけるか?

投資にかけられる時間によって、運用のしかたに違いがあります。この章では短期投資と長期投資の特徴を比較したいと思います。

短期投資の特徴

投資商品を購入してから売却まで数時間から数日間で行うことが多く、長くても1年程度で売却するのが一般的です。商品の購入額と売却額の差が収益になります。

短期投資では、価格の動きをみて瞬時に判断をするため、一瞬の判断が投資結果に大きな影響を与えることがあります。

また、売買を繰り返して収益をあげるため、売買回数が多くなります。その分売買手数料がかかりますので、利益を出すには売買手数料分の支出を超える収益が必要です。

長期投資の特徴

投資商品を購入し、10年を超える期間(20年から30年を目安にすることが多い)持ち続け、投資対象の価値が上がることを待つ方法です。投資商品によっては、運用中に配当などで利益を得られるものもあります。

一般的に運用期間に応じて運用手数料がかかります。運用期間が長くなると、運用手数料も加算されていきます。

運用商品の例

ご自身の投資ルールのイメージは湧きましたか?

始めから細かく決めなくても、「まずは、長期投資でリスクの少ないもので様子を見る」や「長期投資でリスクの少ないものをベースに、リスクが高めのものも加える」のような大まかなものでも大丈夫です。

ある程度イメージが固まりましたら、具体的な商品を選んでいきましょう。

ここでは、具体的な商品の一部を紹介します。なお、投資商品の中には投資額を超えた損失が出る可能性のあるものもあります。損失額が投資額を超えないものを「短期投資」「長期投資」、投資額を上回る可能性のあるもの例を「その他」、に分けて紹介します。

短期投資の例

まずは、短期投資の例です。

上場株式投資

特定の企業の株式を購入・売却し、購入額と売却額の差で利益を得る方法です。

上場株式は一般NISAでも選択できますので、既に投資されている方がいらっしゃるかもしれませんね。一般NISAでは、1年間の投資額に上限がありますが、NISA制度を活用しない場合は1年間の投資額に上限はありません。

外貨投資

海外の通貨の為替レートの動きで利益を得る方法です。日本円を海外通貨に替えたときより、海外通貨を日本円に替えたときが円安であれば差額が利益になります。

為替レートを使った投資方法以外に、外貨預金という方法もあります。外貨預金は日本より金利が高い国にその国の通貨で預金する方法です。金利の高い方が利息も多くなりますので、日本国内で預金するよりも多くの利息を受け取れます。

なお、外貨投資は為替レートの影響をうけますので、海外通貨を日本円に替えるときに円高になると損失が出る場合があります。

長期投資の例

続いて長期投資の例をご紹介します。

投資信託

一般NISAやつみたてNISAでも投資信託の購入ができます。利益を得る方法はNISAと同じで、実際の運用はプロが行います。

NISAを利用しない場合は、保有期間や購入方法、選択できる商品などの制限がなくなります。リスクが高めの商品で積極的に運用したり、一括購入した投資信託を長期間運用したりすることもできます。

債券

債券は、国や自治体、企業などにお金を貸すイメージの投資です。貸したお金の利子や、債券そのものの売買で利益を得ます。

NISAでは、債券を扱う投資信託がありますが、特定の債券を購入することはできませんでした。NISAを利用しない場合は、好きな団体が発行している債券を購入できます。

ただし、債務者が財政難になると利子の支払いや返済が難しくなる場合もあるので注意が必要です。

上場株式投資

一般NISAでも購入できましたが、違いは5年以上保有できることです。長時間かけて企業の価値向上を待ち、株価上昇を狙います。運用期間は、配当や株主優待で利益を得られる企業もあります。

まとめ

iDeCoやNISAは資産形成の側面があるため、比較的安定型の投資方法になるように設計されています。

iDeCoやNISAを使わない場合、自分が決めた運用ルールをもとに投資運用を行います。取れるリスク、かけられる時間、かけられるお金なども考慮し、自分の運用ルールを考え、ご自身に合った投資運用を心がけましょう。

<執筆者>

黒川 一美(MILIZE提携FPサテライト株式会社所属FP)
大学院修了後、IT業界でセールスエンジニア・営業企画として働き、出産を機に退職。
家計を守る立場になり、お金との向かい合い方を見つけるためFP資格を取得。
現在は独立系FP法人であるFPサテライト株式会社所属FPとして活動中。
3人の子育て中の母でもある。

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