みなさんは理想のライフプランを実現するために、一体いくらお金がかかるのか考えたことがありますか?結婚、子育て、住宅購入、そして老後...人生にはさまざまな節目があり、そのときどきで必要となるお金。そんな人生のお金の悩みをFPたまるんがライフプランシミュレーションを使って解決してくれます。
飛行機で日本と世界をつなぐ航空会社。
現在は新型コロナウイルスの影響で厳しい経営状況に直面していますが、幼い頃からの憧れを持って就職を希望する方も多いはずです。
今回のテーマは「日本航空株式会社(以下JAL)と全日本空輸株式会社(以下ANA)の年収比較」です。この日本を代表する2大航空会社に就職したときの人生設計を家計シミュレーションで比べてみたら、どんなことがわかるのでしょうか。
都内の大学に通う健太(けんた、21歳、大学3年生)は、現在就職活動中です。航空会社の総合職を希望し、企業研究やOB訪問にいそしむ日々を送っています。ところがどうやら健太には最近気になることがあるようで...
※同級生の亜美(あみ)と構内のカフェでランチ中



もし両方受かっちゃったら、おれはどっちに行けばいいのかなって。


あれ?そういえば年収についてはちゃんと調べてなかったかも...。


お金の悩みっていうか、JALとANAの年収についてなんだけど...。
ふっふっふ〜、でも...ただ年収を紹介するだけだと面白くないから、健太がANAとJALに入社したときの将来を家計シミュレーションでみてみようか!


生活費や家賃は、政府のデータから一般的な数値をつかわせてもらうよ!



年代別年収表
年代 | ANA年収予想 | JAL年収予想 |
20歳〜24歳 | 552万円 | 643万円 |
25歳〜29歳 | 611万円 | 712万円 |
30歳〜34歳 | 675万円 | 788万円 |
35歳〜39歳 | 720万円 | 839万円 |
40歳〜44歳 | 750万円 | 875万円 |
45歳〜49歳 | 762万円 | 889万円 |
50歳〜54歳 | 765万円 | 891万円 |
55歳〜59歳 | 766万円 | 892万円 |
※EDINET閲覧サイトより「全日本空輸株式会社(第67期〜第71期)」および「日本航空株式会社(第68期〜第72期)」の有価証券報告書、厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査 産業別」を参考にFPサテライトが算出。

だから、過去5年間の真ん中の年収を基準にして、そこに運輸業の年収上昇率を当てはめて求めたよ!
比べてみると、各年代で100万円くらい年収に差があるね。
ただこれは有価証券報告書から読み取った年収であって、それぞれ前提条件が異なっていたりするから、あくまで参考程度と思っておいてね。

※シミュレーション前提条件
■健太さん(けんた)
年齢21歳/都内の私立大学に通う3年生/神奈川県横浜市青葉区で一人暮らし中
■健太23歳で就職、30歳で結婚、33歳で子どもが1人生まれると仮定
■想定する家計
・収入:大学の間は仕送り月8万円とアルバイト代月8万円で、年収192万円。
入社後は上記表を参考、妻は専業主婦
・生活費(住居費以外全て含む):単身...18万円、夫婦のみ...23万、夫婦+子ども1人...27万円とする
(参考)総務省統計局「2020年家計調査年報」
・住居費:横浜市青葉区を想定。
一人暮らし...家賃7万円(共益費込み)、結婚後...3LDKの賃貸マンション、家賃13万円(共益費込み)、共に2年更新で更新料は1ヶ月分とする
・貯蓄:50万円
・子どもの希望進路→幼稚園私立、小中高は公立、大学は私立文系
・退職金:2,500万円(大企業の退職金平均値を参考)
(参考)厚生労働省「令和元年賃金事情等総合調査」
ANAに入社した場合の家計シミュレーション

こんな感じだよ!
milize pro(ライフプランシミュレーション)

ところが老後をみると84歳のときにキャッシュアウトしている。こんなに資産があるのに不思議な気がするよね。
これはなぜかっていうと、退職から年金の受け取りが始まるまでに無収入の期間があることと、65歳以降に年金が受け取れるようになっても支出が上回っていることが大きな要因なんだ。
日本人の平均寿命も徐々に伸びているし思っているよりも老後は長いから、きちんと対策を考えておいた方がいいね。
あと、基本的に老後収入の柱は年金と退職金ってことは知ってるかな?
今回のシミュレーションでは、退職金は、両社共に大卒の大企業の平均値2,500万円に設定したよ。
実際は、ANAとJALどちらも確定給付年金と確定拠出年金の制度を採用しているみたい。
確定拠出年金なら運用次第で退職時に受け取れる金額は大きく変わってくるかもしれないね!
子どもが2人になったり、車を買ったりしても変わってくるだろうしなぁ。

JALに入社した場合の家計シミュレーション

milize pro(ライフプランシミュレーション)


年収が高いだけあって、59歳時点の資産額は6,567万円と、ANAに比べて2,500万円ほど多くなっているよ。
老後に資産額が減少している点はANAと変わらないけれど、60歳時点の資産額が多い分キャッシュアウトのタイミングが後ろにずれたんだね。
でも100歳までキャッシュアウトしないとはいえ減少が続くと不安は残るから、資産運用や支出の削減で老後の資産額を減らさない工夫は必要じゃないかな。




さっきも伝えたけれど、これはあくまで参考値から導かれたざっくりとした平均年収だからね。
航空会社は職種によっても大きく給料が異なってくるから、その辺も注意した方がいいよ!
でも一般的にみると、ANAもJALも平均より高めの年収と言えるのは間違いない!
長く働くなら職場環境もとっても大切さ。年収だけじゃなくて、健太にあってるのはどっちなのかよく研究してみてね。
って亜美、さっきからなんの勉強してるの?


健太、これ落としたら卒業の単位があぶないって言ってなかった?


<執筆者>
金井 優子(MILIZE提携FPサテライト株式会社所属FP)
兵庫県出身、藤沢市在住。
新しい分野への挑戦が好きで、CA、フリーアナウンサーを経てFPに。
現在は年子男子の育児をしながら、FPとして活動している。
出産後の家計管理に奮闘した経験から、子育て世代に寄り添うFPを目指している