東京電力と関西電力は日本を代表する電力会社の2社ですが、待遇面ではどう違うのか見てみました。
東京電力と関西電力、両社の比較を今回は試みたい。
ポイントは4つ
- 初任給
- 年齢ごとの給与水準
- 生涯給与
- 役員報酬
サラリーマンとして一生をこの会社で過ごし、役員までに到達した場合の報酬の差を見て商社人生の損得勘定を見ていきたいと思います。
規模等の比較
関西電力と比べて東京電力の規模がかなり大きいことがわかります。しかし原子力発電所が関西で3か所なのに、東京が2か所と東京の方が少ないことがわかります。
会社 | 東京電力 | 関西電力 |
事業地域 | 1都7県と静岡県の富士川以東の地域 | 近畿地方2府4県と福井県、三重県、岐阜県の一部 |
契約口数 | 2923万口 | 1362万口 |
販売電力量 | 2570億kWh | 1,404億kWh |
最大電力 | 6430万kW | 1,345億kWh |
水力発電所 | 164箇所、985.73万kW | 148箇所、818万kW |
火力発電所 | 25箇所、4335.5万kW | 12箇所、1,895万kW |
原子力発電所 | 2箇所、1261.2万kW | 3箇所、976万kW |
新エネルギー | 4箇所、3.3万kW | :1箇所、1万kW |
業績は?
業績も比べておきましょう。
【26年度の業績】 (単位円)
会社 | 東京電力 | 関西電力 |
売上高 | 6兆8,024億 | 3兆4,060億 |
前年 | 6兆6,314億 | 3兆3,274億 |
対前年度比 | 2.60% | 2.40% |
経常利益 | 2,080億 | △1,131億 |
当期純利益 | 4,516億 | △1,484億 |
包括利益 | 5,301億 | △1,519億 |
自己資本率 | 14.60% | 13.40% |
売上高では東京電力が関西電力を3兆4000億円ほど上回っています。関西電力は大きな赤字となっています。この赤字の影響で管内の値上げをたびたび行っています。
初任給
これからの就職する方のために初任給制度を掲載しておきます。
【東京電力】
2016年4月入社社員
- 給与(2016年は未定、参考として2014年4月の実績)
- 大学院修士了:月給22万5,000円程度
- 大学学部卒:月給20万円程度
- 高等専門学校専攻科修了(学士):月給20万円程度
- 高等専門学校本科卒:月給17万5,000円程度
- 短期大学卒:月給16万5,000円程度
- 専門学校卒:月給16万5,000円程度
- ※当社は基本年俸、個人業績年俸から構成される年俸制を採用。
(上記基準内給与(基本年俸+ライフサイクル手当)に加え、各人の業績に応じて個人業績年俸を支給)
- 諸手当
- 時間外手当
- 作業手当など
- 勤務時間
- 8:40~17:20(フレックスタイム勤務、交代制勤務あり)
- 休日休暇
- 完全週休2日制(土・日)
- 国民の祝日
- 年末年始
- 普通休暇(1年目:年15日、2年目から:年20日)
- 特別休暇(傷病休暇、ボランティア休暇、夏季休暇等)
【関西電力】
2016年4月入社社員
- 給与(2014年実績)
- 修士了 月給228,000円
- 大学卒 月給203,000円
- 昇級 : 年1回(4月)
- 賞与 : 年2回(6月、12月)
- 勤務時間
- 8:50~17:30(ただし、特定業務従事者は交替勤務制)
- 休日休暇
- 土曜日
- 日曜日
- 祝日
- 年末年始
- 年次有給休暇
- 夏期休暇
(ただし、特定業務従事者は指定休日制)
- 福利厚生
- 施設=独身寮、社宅(各地にあり)
- 教育研修
- 各部門固有のスキルを体得できる専門研修体系(事務・技術)、
- 語学研修
- 海外派遣研修など
大学卒、院卒では関西電力が3000円ほど上回っています。
年齢ごとの給与
有価証券報告書の情報から取得できる情報は以下のようになっています。
【2015年度3月決算の比較】
従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与(千円) | |
東京電力 | 32,831 | 42.6 | 22.7 | 7,092 |
関西電力 | 16,854 | 42 | 21.5 | 5,882 |
従業員数は東京電力が関西電力のおよそ2倍です。平均年齢や勤続年数は大きな違いはありませんが、平均年間給与は東京電力が関西電力より110万円ほど多いです。
年齢ごとの推定給与は以下の通りです。
【年代別推定年収 単位千円】
年齢 | 東京電力 | 関西電力 | 差額 |
25 | 3,995 | 3,352 | 643 |
30 | 5,042 | 4,231 | 811 |
35 | 6,016 | 5,047 | 969 |
40 | 6,731 | 5,648 | 1,083 |
45 | 7,428 | 6,232 | 1,196 |
50 | 8,219 | 6,896 | 1,323 |
(両者とも平均年間給与は、賞与及び超過勤務手当を含みます。)
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全年齢層で東京電力が上回っています。
25歳時でおよそ64.3万円の差があり、ピーク時の50歳時ではおよそ132.3万円の差があります。
これらの数値は有価証券報告書から平均年齢、平均年収等を取得し計算をしております。
給与カーブの形状等は統計局の産業別のカーブ構造を反映させております。
2つとも同じ業種のためカーブの上昇率等は共通の数字を使っています。
同じ業界の割合にしてはかなりの差があるといえますね。
生涯給与
この年収で生涯もらえる給与を計算します。生涯給与といってサラリーマンとしての収入の総額です。副業等一切なくこの会社からのみの収入です。
会社名 | 生涯給与 |
東京電力 | 2億5,158万円 |
関西電力 | 2億1,109万円 |
東京電力が関西電力を4,049万円ほど上回っています。
給与カーブを運輸業、郵便業で作成すると上昇率は比較的緩やかになります。
如何に互いがライバルとして認識し、給与レベルで同水準を保つことで、より優秀な人材を獲得したいと戦っていることを知る指標でもあります。
役員報酬
取締役の報酬を見て、社内で成功して偉くなった場合にどれだけの報酬がもらえるのかをイメージしてください。
会社名 | 役員数 | 役員報酬(百万円) | 役員賞与(百万円) | オプション(百万円) | 1人あたり総報酬(百万円) |
東京電力 | 18 | 272 | 20 | 0 | 16.2 |
関西電力 | 15 | 268 | 0 | 0 | 17.9 |
関西電力が東京電力よりも1人当たりの報酬額では170万円多いです。
経営困難な両社ですので、かなり抑え目な報酬となっています。
両社ともに1億円を超える報酬のものはいない状況です。
生涯で形成する資産
生涯で形成される資産はいくらになっているかを計算してみました。両者とも平均的な支出を一生続けたとしてどれくらいの資産が65歳、85歳のときに残っているかを推計します。
東京電力、関西電力の現在30歳の方を例に計算を行います。
結果はシミュライザー(人生計画システム)で計算すると以下のようになりました。
東京電力 | 関西電力 | 差額 | |
65歳 | 7,554万円 | 5,943万円 | 1,611万円 |
85歳 | 7,654万円 | 6,287万円 | 1,367万円 |
65歳時に東京電力が1,611万円上回ります。
これが85歳時では1,367万円に縮まります。
しかし両者とも安定的な老後が約束されているようです。
(当システムでは85歳でプラスになっていることを一つの目標にしています。)
しかし使いすぎや、病気、運用の失敗(シミュレーションでは預金しかつかっていません。)で大きく異なることになります。
左が東京電力の方、右が関西電力の方です。30歳には五郎と名前がついています。(全企業共通ルール)
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結論
東京電力が生涯年収(従業員として)は4,049万円ほど多いです。
役員になってからの待遇は平均で170万円ほど関西電力の方がよかったです。
最後に65歳以降の資産額で比較すると東京電力の方が65歳時も85歳時も関西電力を上回っていて差額は最高1,611万円ほどです。
役員報酬こそ関西電力が多いですが、その額は170万円と生涯年収の差や65歳以降の差に比べるとかなり小さいです。そのため今回は東京電力の勝ちとします
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