東芝とシャープは日本を代表する家電メーカーの2社ですが、ここ数年は2社ともかなり苦しい状況にあります。
今まで優等生であった東芝はご存知のように不適当な会計処理により現在も再建を策定中であり、
本業の液晶の競争激化で苦しむシャープも本社ビルの売却も決まり、徹底的な改革を断行中です。
東芝の会計処理問題は業界全体に影響を与えることも懸念され、
今後この2つのリーディングカンパニーの復活の道のりは険しいものとなりそうです。
日本の復活にはこれらの会社のカムバックが必要であり、多くのファンを持つ両社ともに早期の復活が待たれます。
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そんな中、両者の経営上の一番のキーである社員の待遇はどう違うのか比較を試みました。
ポイントはいつものように4つです。
- 初任給
- 年齢ごとの給与水準
- 生涯給与
- 役員報酬
この2つの会社で社員として一生をこの会社で過ごした場合の報酬の差を見て大手電機人生の損得勘定を見ていきたいと思います。
何の会社?(もちろん皆さんご存知ですね・・)
【東芝】
株式会社東芝は、大手総合電機メーカー。大手電機8社の一角。重電8社の一角。また、大手重電3社の一角。半導体メーカー国内最大手。売上高で、日立製作所に次ぐ総合電機メーカー2位です。(Wikipediaより)
東芝グループの経営理念は
- 人を大切にします。
- 豊かな価値を創造します。
- 社会に貢献します。
の3つと謳われています
(ホームページより)
東芝の電気製品は家庭を豊かにし、多くの人を幸せにしてきていますよね。
レグザ、ダイナブックのブランドは知らない人のいないブランドとなりました。
【シャープ】
シャープ株式会社は、大阪府大阪市阿倍野区長池町に本社を構える総合家電メーカーである。(本社ビルは売却を予定)
旧社名は早川電機工業。大手電機8社の一角。 液晶の応用技術を軸とした製品を持つ企業としてその名を知られています(Wikipediaより)
アクオス(液晶)やメビウス(PC)、ヘルシオ(電子レンジ)などは広く知られたブランドですね。
シャープの経営理念は以下の通りです。
(ホームページより)
業績は?
業績も比べておきましょう。連結ベースになります。
【26年度の業績】 (単位円)
会社 | 売上高 | 前年売上高 | 成長率 | 当期利益 | 前年利益 |
東芝 | 6兆6,558億 | 6兆4,897億 | 2.56% | -378億 | 602億 |
シャープ | 2兆7,862億 | 2兆9,271億 | -4.8% | -2,223億 | 115億 |
売上高ではソニーがシャープを3兆8,696億円以上上回っています。
東芝は2.56%の売上成長一方シャープは売上を4.8%程度落ち込みました。
両社とも当期利益ベースでは大きな赤字になっていますが、シャープが2,000億円を超える赤字を記録しています。
東芝も先日の決算報告で378億円の赤字を報告しています。
初任給
すでに社員の方は昔と今では少し違うかもしれませんが、これからの就職する方のために初任給制度を掲載しておきます。
【東芝】
2016年4月入社社員
- 給与(2015年4月実績)
- 修士了 月給233,000円
- 学部卒 月給209,000円
- 諸手当 住宅費補助、通勤手当(全額支給)など
- 昇給 年1回(4月)
- 賞与 : 年2回
- 福利厚生
- 社宅・寮/独身寮、家族社宅 厚生施設/各種体育施設、保養所、社員クラブ、総合病院ほか
- 諸制度/住宅融資/持株会など
【シャープ】
2016年4月入社社員
- 給与(2015年実績)
- 修士了 月給233,000円
- 大学卒 月給209,000円
- 高専(本科)卒 月給184,000円
- 昇給 : 年1回(4月)
- 賞与 : 年2回(6月、12月)
- 福利厚生
- 諸制度、従業員持株会、財形貯蓄、住宅融資、個人積立年金など
- 諸施設、独身寮、社宅、契約リゾートクラブ、総合体育館、総合グラウンド、テニスコートなど
初任給はほぼ同じです。福利厚生等もあまり目立った差異はないようです。
年齢ごとの給与
有価証券報告書の情報から取得できる情報は以下のようになっています。
【2015年度3月決算の比較】
従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与(千円) | |
東芝 | 35,278 | 43.1 | 17.8 | 8,447 |
シャープ | 17,529 | 43.3 | 21.4 | 7,287 |
年齢ごとの推定給与は以下の通りです。平均勤続年数はシャープが20年超となっており、東芝よりも4年以上長くなっています。
平均年齢はかなり2社とも近くなっています。
【推定年収 単位千円】
年齢 | 東芝 | シャープ | 差額 |
25 | 5,482 |
4,715 | 767 |
30 | 6,416 |
5,519 | 897 |
35 | 7,187 |
6,182 | 1,005 |
40 | 7,969 |
6,854 | 1,115 |
45 | 8,686 |
7,471 | 1,215 |
50 | 8,994 |
7,736 | 1,258 |
(両者とも平均年間給与は、賞与及び超過勤務手当を含みます。)
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全年齢層で東芝が上回っています。
25歳時でおよそ76.7万千円の差があり、
ピーク時の50歳時ではおよそ125.8万円の差があります。
これらの数値は2015年3月の有価証券報告書から平均年齢、平均年収等を取得し計算をしております。
給与カーブの形状等は統計局の産業別のカーブ構造を反映させております。
2つとも同じ業種のためカーブの上昇率等は共通の数字を使っています。
生涯給与
この2社で生涯勤務した場合の給与の合計である生涯給与を計算します。
社員としての収入の総額(平均)であり、副業等一切なくこの会社からのみの収入です。
手当等も含んだ数字です。
会社名 | 生涯給与 |
東芝 | 2億9,122万 |
シャープ | 2億5,048万 |
東芝がシャープを上回り、4,074万円の差額となりなす。
毎年の差は大きくないですが、生涯ベースで見ると4千万円を超える差になっていることに驚きます。
十分な年収・生涯年収ですが、いくら貯金が可能なのかはあとでチェックしてみましょう!
役員報酬
最後に経営の責任を担う取締役の報酬を見て、大成功して偉くなった場合にどれだけの報酬がもらえるのかをイメージしてください。
社外取締役は除外しています。
会社名 | 役員数 | 役員報酬(百万円) | 役員賞与(百万円) | オプション(百万円) | 1人あたり総報酬(百万円) |
東芝 | 16 | 338 | 0 | 0 | 21.1 |
シャープ | 10 | 284 | 0 | 0 | 28.4 |
東芝がシャープよりも1人当たりの総報酬額では730万円多いです。
役員報酬・賞与は業績にも大きく左右されます。
両社とも役員所与は0となっています。
今後の業績次第では多額の役員報酬を得ることが、さらに厳しくなることも予想されます。
連結報酬額が1億円を超える役員(報告が義務付けられています。)は東芝のみで、取締役2名でした。
社長 室町正志氏の報酬等の総額103百万円と田中久雄氏の124百万円でした。
結論
東芝がシャープよりも生涯年収(従業員として)は4,074万円ほど高くなっています。
役員になってからの待遇も平均で730万円ほど東芝が上回りました。
東芝がまだ待遇面ではシャープを上回っているようです。
今後の両社の改革と復活を皆で応援しましょう!
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