公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が10日発表した2015年3月期の運用実績は、15兆2922億円の黒字でした。
- 平成26年度の運用状況は、全資産においてプラスとなり、収益率はプラス12.27%、収益額はプラス15兆2,922億円となりました。
- 平成26年度末の運用資産額は、137兆4,769億円となりました。
- 自主運用を開始した平成13年度から26年度までの累積収益額は、50兆7,338億円
私たちの大切な年金の原資
グラフでGPIFのこれまでの運用内容を簡単に見ておきましょう。株式へのシフトが以前ニュースとして大きく取り上げられてきましたが、現在のところうまく行っているようです。まあ世界的な資産価格の高騰が起こっている状況では当然化もしれません。(現にポートフォリオ変更後はベンチマークよりも悪い結果になっています。)
投資割合
基本ポートフォリオは、年金積立金全体に対して、国内債券35%(±10%)、国内株式25%(±9%)、外国債券15%(±4%)、外国株式25%(±8%)となっています。
なお、オルタナティブ資産の年金積立金全体に占める割合は0.00%(基本ポートフォリオでは上限5%)です。
投資割合の推移
大きく日本株、外国株ともに上昇、その分国内債券が縮小。
運用パフォーマンス(収益率)の推移
4年連続のプラスを達成。発表されている13年度からでは最高益
各資産の収益率(時間加重収益)の推移
国内株式が30%以上、外国株式が20%以上と好調。過剰な流動性供給が続いているため世界的に株価を押し上げました。
[SetAd category ="I"]
最後に気になること
- 基本ポートフォリオ変更前(4月1日から10月30日)の運用資産全体の収益率は3.97%、複合ベンチマーク収益率は3.50%となり、収益率の乖離は0.46%
- 基本ポートフォリオ変更後(10月31日から3月31日)の運用資産全体の収益率は8.19%、複合ベンチマーク収益率は9.98%となり、収益率の乖離はー1.78%となりました。
これは基本ポートフォリオ変更後(株式や外債に比重を移す)に大きくベンチマーク対比の乖離度が大きく、パフォーマンスが悪くなっています。
市場平均のパフォーマンスよりも悪いということは今後の市場の動向次第で大きくマイナスになることもあり得るので心配材料です。
(参考)
運用資産全体の収益率と複合ベンチマーク収益率との乖離が、どのような要因により生じたのかを把握するため、以下の3つの要因に分解して分析します。
① 資産配分要因 :複合ベンチマークを算出する上で基準となる基本ポートフォリオと実際の資産構成割合との差による要因
② 個別資産要因 :実際の各資産の収益率と当該資産に係るベンチマーク収益率との差による要因
③ その他要因(誤差含む):資産配分要因及び個別資産要因が交じり合ったものと計算上の誤差(注)
(注)計算上の誤差とは、運用資産全体の収益率と複合ベンチマーク収益率の計算方法の相違により生じるものです。