総合商社
総合商社は日本の経済を担う産業であり、幅広い業種にわたって日本商品を世界に拡げるため、また、世界のものを日本に紹介するために大切な役割を担っています。世界ではあまり例をみない日本独自の業界となっています。総合商社に対して特定のエリアのみに特化した専門商社の2つのタイプがあります。
商社の主な機能として、大きく分けて流通・金融・情報の3つがありますが、資源については流通だけでなく、鉱山・油田の開発を行ったり、ある程度の在庫を持ったりするために、資源価格によって、また為替によって業績が大きく変動します。
総合商社とは、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田通商、双日の7社をいい、丸紅までを呼ぶ場合は、「五大商社」、双日までを呼ぶ場合は「七大商社」と呼んでいます。
三菱商事と三井物産の例を見て、総合商社の売上・利益の内訳を見てみます。ビジネスの分散具合を確認してみましょう。
エネルギー、金属等の資源依存はどのように変化しているのでしょうか?
- 三菱商事の例
【三菱商事アニュアルレポートより】 (単位:億円)
分野 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | 変化 |
エネルギー事業 | 1479 | 1424 | 55 |
金属(資源分野) | 237 | 277 | -40 |
地球環境・インフラ事業 | 222 | 144 | 78 |
新産業金融事業 | 311 | 250 | 61 |
機械 | 871 | 556 | 315 |
化学品 | 328 | 226 | 102 |
生活産業 | 683 | 675 | 8 |
金属(非資源分野) | 175 | 92 | 83 |
合計 | 4306 | 3644 | 662 |
2013年の数字ですが当期純利益のレベルで見ると、エネルギー事業グループと金属グループで全体の40%近い利益を出しており、ビジネスは広く分散はしてはいるものの、資源ビジネスがやはりコアとなっています。
三井物産とくらべて、生活産業の分野が683億とかなり順調に育っていますね。
生活産業の分野は食料、繊維、生活物資、ヘルスケア、流通・小売りなど、人々の生活に身近な分野で、商品・サービスの提供、事業開発、投資などを行っているところです。
- 三井物産の例
【三井物産アニュアルレポートより】 (単位:億円)
分野 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | 変化 |
エネルギー事業 | 1970 | 1646 | 324 |
金属(資源分野) | 956 | 915 | 41 |
次世代・機能推進 | 49 | 47 | 2 |
機械・インフラ | 266 | 170 | 96 |
化学品 | 158 | -15 | 173 |
生活産業 | 192 | 130 | 62 |
鉄鋼製品 | 181 | -38 | 219 |
その他 | -88 | -166 | 78 |
海外 | 538 | 390 | 148 |
合計 | 4222 | 3079 | 1143 |
圧倒的にエネルギー事業や金属(資源分野)の割合の強いことがうかがわれます。
2014年3月期は特にエネルギー事業は好調だったことが伺われます。
分類の仕方が商社によりまちまちなので、海外分野が大きくなっていますが、金融、資源等に分類されます。
期待したい分野として、次世代・機能推進分野があります。
ここは物流、金融、情報産業関連事業を通じ、次世代を担うビジネスの創造や事業領域拡大に向けた多様な取り組みを展開しています。
総合商社の特徴として、その独特なビジネスモデルもそうなのですが、株式としては以下のような特徴を持っています。
- エネルギー、金属等の資源指標との関連性
- 配当利回りの高さ・自社株買い等株主への還元意識の高さ
- 突発的な大きな損失、株式の暴落
- 先進的な投資案件の取り組み・サプライズ
- 商社のリレーション・投資で保有する株式銘柄の多様さ
資源価格の上昇局面、株式市場全般が良いときはかなりの上昇が期待でき、高配当と相まって高いリターンが期待できます。
リスクとしては
- 資源相場の変動による大きな損失
- 長期・大型プロジェクトに関わるリスク(鉱山開発・油田開発等のリターンの不確かさ)
- 海外の大手専門商社との競争や国際化進展で存在意義が薄れるリスク
- 優秀な人材確保
- 買収先の損失
さて、実際のバスケットのパフォーマンスを見てみましょう。
エネルギー上昇時の株価上昇は当然ですが、その他の分野での成長により、さらなる魅力が増して来れば、買いたい業種になりそうです。
業種属性
2014/5/30
バスケットは5大総合商社を選択しています。
ほぼ同金額を均等に割り振っています。
【バスケットの構成銘柄】
銘柄コード | 銘柄名 |
8031 | 三井物産(株) |
8058 | 三菱商事(株) |
8053 | 住友商事(株) |
8001 | 伊藤忠商事(株) |
8002 | 丸紅(株) |
2015年2月時点での配当利回り、ROAは以下のようになっています。三菱商事以外はすべて3%以上の高配当利回りです。
名称 | 配当利回り | 1株配当 | PBR | ROE | ROA | 総資産経常利益率 |
三井物産(株) | 3.94% | 64.00円 | 0.66倍 | 12.47% | 3.96% | 4.26% |
三菱商事(株) | 2.97% | 70.00円 | 0.64倍 | 9.94% | 3.00% | 2.91% |
住友商事(株) | 3.87% | 50.00円 | 0.58倍 | 10.01% | 2.70% | 3.69% |
伊藤忠商事(株) | 3.50% | 46.00円 | 0.87倍 | 15.86% | 4.15% | 5.00% |
丸紅(株) | 3.59% | 26.00円 | 0.73倍 | 16.76% | 3.19% | 3.58% |
最終更新日 2015/2/23
【パフォーマンス】 設定日を100として現在の株価をインデクス化
銘柄コード | 銘柄名 | 15/2/23 | 14/12月末 | 14/9月末 |
8031 | 三井物産(株) | 102.85 | 102.69 | 109.53 |
8058 | 三菱商事(株) | 113.05 | 106.38 | 107.77 |
8053 | 住友商事(株) | 96.67 | 92.83 | 90.47 |
8001 | 伊藤忠商事(株) | 105.29 | 103.53 | 107.37 |
8002 | 丸紅(株) | 99.45 | 99.55 | 103.13 |
平均値 | 103.47 | 101.00 | 103.66 |
あまり高い数字ではありませんが、2015年2月にいたるまでの原油相場の暴落を受けて株価は軟調です。それでも現在は100以上(プラスのリターン)を保っています。
【設定来の配当バスケットの推移】
(図は2015年2月23日までの状況)
2014年9月29日 住友商事:米テキサス州の石油資源開発で生産量が想定を大きく下回るため、約1700億円の損失を計上すると発表。2015年3月期決算で2400億円もの巨額損失
2015年1月26日 丸紅:税引き前で1700億円(税引き後は1200億円)の減損損失(油ガス関連は950億円(税引き前)、買収した米穀物準メジャーのガビロン500億円の損失等)
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