原油価格の下落をうけて、昨年終わりからガソリン価格が急激に下がってきました。自動車保有者にとっては、車の維持コストが下がるので嬉しい限りです。
今回は、昨年からのガソリン下落が、人生シミュレーションにおける将来の資産額にどの程度影響があるのか確認してみたいと思います。
ガソリン価格の動向
原油価格が2014年年夏以降かなりのペースで下落してきたことを受け、秋口から国内ガソリン価格も値下げが続いています。 下記グラフは資源エネルギー庁発表資料による全国の店頭平均ガソリン価格推移です。
【2011年以降の全国店頭ガソリン価格推移】
(注)資源エネルギー庁公表資料よりまとめ
詳細はこちらの記事をどうぞ。
【支出】レギュラーガソリン価格(2/4公表)~28週連続下落、すべての県でレギュラー145円を切る~
今回のピーク時には全国平均レギュラーで1リットルあたり169.7円だったものが、現在は134.3円、ハイオクで180.7円 だったのが145.2円と、ピークから2割程度下がっています。
つづいて昨年1年間、6か月間の平均をみてみましょう。
【2014年中の全国平均ガソリン価格(円/リットル)】
期間 | レギュラー | ハイオク |
2014年1月~12月 | 163.1 | 173.9 |
2014年1月~6月 | 162.3 | 173.1 |
2014年7月~12月 | 163.9 | 174.8 |
昨年後半(7月~12月)の平均価格である、レギュラー163.9円/L、ハイオク174.8円/L を基準にすると現在(2/2公表値)の価格は、それぞれ、レギュラー18.1%、ハイオク16.9% 安い水準です。
【2015年現在の全国平均ガソリン価格(円/リットル)、および昨年後半6か月対比下落率】
レギュラー | ハイオク | |
2015年2月2日価格 | 134.3 | 145.2 |
2014年後半6か月対比下落率 | ▲18.1% | ▲16.9% |
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ガソリン価格下落のインパクト
今回のガソリン価格の下落が、個人の自動車維持コストにどのような影響を与え、人生シミュレーションにおける将来資産額にどの程度インパクトがあるのかみてみましょう。(ガソリン価格下落後の現在の水準が将来もつづくと考えます)
自動車関連コストは、所有する自動自動車や走行距離、また駐車場代の有無などにより結構変わってきます。 そこで、今回のガソリン値下がりにより個人の年間の自動車関連費用がどのくらい下がる効果があるのかを下記のように考えてみます。
まず、排気量2Lの国産乗用車、および、より排気量の小さいハイブリッド車の2ケースを考えてみます。
- ケース1: 2L乗用車、実働燃費10㎞/L、年間10,000km走行、駐車場月1万円
- ケース2: ハイブリッド車、実働燃費25㎞/L、年間6,000km走行、駐車場代なし
上記ケースについてその他のコストを想定し、ガソリン価格下落の効果をみてみると、下記のようになります。
【保有する自動車の燃費、走行距離などによる2ケースの自動車コストおよびガソリン価格下落のインパクト】
ケース1 | ケース2 | |
ガソリン価格(円/L) | 160 | 160 |
燃費(km/L) | 10 | 25 |
年走行距離(km) | 10,000 | 7,000 |
年間ガソリン使用量(L) | 1,000 | 280 |
年間ガソリン代 | 160,000 | 44,800 |
自動車税 | 39,500 | 39,500 |
自動車保険料 | 80,000 | 50,000 |
一年あたり車検費用 | 70,000 | 45,000 |
駐車場代(年間) | 120,000 | 0 |
年間自動車関連費用 | 469,500 | 179,300 |
ガソリン代の年間総コストに占める割合 | 34% | 25% |
ガソリン価格(円/L)の下落率 | 17% | 17% |
年間の自動車関連費用の下落率 | 5.8% | 4.2% |
(注)ケース1は排気量2Lの普通乗用車、ケース2はハイブリッド車などを想定。 燃費は実働燃費として数値設定。車検費用は自賠責保険、重量税等を含むものを年当たりに換算した想定。
年間のガソリン代が自動車関連費用全体に占める割合は、ケース1で34%、ケース2で25%となりました。 ガソリン価格の下落率を17%とすると、自動車関連コスト全体がケース1では5.8%、ケース2では4.2%だけが下がることが分かります。
ここでみたように、今回のガソリン価格の下落は概ね、4~6%程度の年間の自動車関連費用の低下になると考えられます。
もちろん、ガソリンを多く使う人はより大きなインパクトになります。皆さんもご自身のケースで確認してみてください。
ガソリン価格下落の人生シミュレーションへの影響
では今回のガソリン価格下落が人生シミュレーションにおける将来資産額にどの程度の影響をあたえるのか、シムラー伊藤 義道さん(45歳)のケースでみてみましょう。
現在の値下がり水準が将来も続くと考え、昨年のシミュレーション結果との違いを見てみます。
伊藤さんが中古フェラーリを購入したケース、トヨタ86を購入したケースの自動車関連費用はそれぞれ、以下のようになっています。詳しくは下記記事をご覧ください。
【人生設計】【借入】伊藤 義道、フェラーリ購入とトヨタ86購入の人生プラン比較、フェラーリ買って大丈夫?総費用965万円!
フェラーリのケース | トヨタ86のケース | |
年間自動車関連費用(円) | 678,000 | 369,500 |
内、年間ガソリン費用(円) | 360,000 | 180,000 |
ガソリン価格の自動車コスト全体に占める割合 | 53% | 49% |
ガソリン代(円/L)の下落率 | 17% | 17% |
今後の年間ガソリン費用(円) | 299,000 | 149,000 |
年間の自動車関連費用の下落率 | 9.0% | 8.3% |
伊藤さんの場合は、より多くガソリンを使用していることから、上記で見た場合より自動車関連費用全体の削減効果が高くなります。
人生設計ツール「シミュライズ・コア」を用いて行った、伊藤さんの将来資産額の変化(増加額)は以下のようになりました。
ガソリン価格下落の影響による伊藤さんの65歳資産額の増加
フェラーリのケース | 132万円 |
トヨタ86のケース | 75万円 |
月々の支払の減少はそれほど大きくなくても、65歳まで続くと結構大きな金額になりますね。
ぜひ伊藤さんの人生キャッシュフローをシミュライズ・コアでのぞき、ご自身でも試してみてください。
関連するシムラー
伊藤 義道(自動車部品関連工場勤務、独身、45歳)
伊藤 義道のキャッシュフローをシミュライズコアで見てみよう!
シミュライズコアでは、シムラーのシミュレーション情報からいろいろと学べると同時に、自分のデータを保存しさまざまなパターンでの自分自身のシミュレーションが行えます。 是非、触れてみてください。
(注) 上記推計値は現時点のシミュレーション結果によるもので、読者の皆様が実際にシミュライズコアでご覧いただく際には、パラメータ等の変化により金額が多少異なってくることも想定されますのでご注意ください。