私、舟橋陽子は遺伝子研究のエンジニアです。研究部門で先端技術に従事しています。
米国の研究機関からヘッドハントされました。管理能力よりも研究の能力を買われてここで働いています。
仕事に熱中しているあまり、結局結婚する暇もなく、今年で49歳の理学部博士です。
新聞を読んでいたら、政府が「働く時間ではなく成果で賃金を払う「ホワイトカラー・エグゼンプションの制度案をまとめた。」とありました。
実は私はいわゆる専門職コースで、給料は1,200万円なので、まさにこのケースにあたります。
ホワイトカラーエグゼンプションとは
いわゆるホワイトカラーエグゼンプションとは
- 対象は年収1075万円以上の専門職に限り、職種は金融ディーラーやアナリスト、医薬品の開発者、システムエンジニアなどを想定。
- 週40時間を基本とする労働時間規制から外す。したがって残業代はでない!
- 過労を防ぐために年104日の休日なども導入の条件
働く時間ではなく成果に応じて賃金を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」。「ダラダラ残業」をなくす働き方改革
実質常に一生懸命に働いている私としては、ただ残業代がなくなるということでしょうか?
残業をせずにしっかりと成果をあげて、プライベートも充実させろということでしょうか?
私の残業代
先月私は約120時間の残業をして、夜10時以降は40時間でした。いま研究の山場で毎日遅くまで頑張っています。決してだらだらしていることはありません。
実際に、時間外(残業)手当を計算してみましょう。
具体的事例を挙げて説明します。
年俸1,200万円の従業員の月額給与内訳
基本給 1,000,000円
通勤手当 5,000円
給与合計 1,005,000円
時間外手当計算上の給与額 1,000,000円
※基本給算入。月給(分子)のルールにより通勤手当は、除外となります。
※就業規則により、年棒には一月あたり40時間分の時間外労働手当を含むとしています。
1,000,000円÷160時間=6,250円 →これが私の時間単価
今月120時間残業し、うち深夜10時以降の時間が40時間となったときの残業代を計算してみます。
※時間外手当計算上の時間
就業規則にて定められている40時間は含まない。120-40=80時間(うち40時間が深夜)
1.25は法定割増率(法定時間外労働25%以上、深夜労働25%以上と定められている。)
6,250円×1.25×80時間=625,000円
6,250円×1.25×40時間=312,500円(深夜割増分)
合計937,500円
※この他、休日労働においては35%以上、休日+深夜においては35%+25%で60%以上の割増しが必要となってきます。
参考:厚生労働省「割増賃金の基礎ととなる賃金とは?」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-5a.pdf
これがもらえなくなると給料に反映させてもらえないと !ほぼ半分になってしまうのはゆるせない!
どうなるのかとても不安です。
でも世の中は
いまいろいろな企業で残業をしない動きが広がっています。伊藤忠商事やリコーは有名ですね。
伊藤忠商事は午後8時以降は原則残業禁止。早朝の時間外手当ての割増率を25%から50%に引き上げで社員のライフスタイル、働き方を大きくかえる決定をしています。
転職サイトで残業なしや残業、残業殆どなし(月20時間以内)の転職・求人情報がよく見かけるようになりました。エン・ジャパンの転職サイトへ
それを考えると、私ももっとゆっくりと研究をして、給料を今の2/3でもプライベートを楽しみたいのかもしれないと、近頃思うようになりました。
うちの会社が厚生労働省でいう、
専門業務型裁量労働制
を導入していないため、私はこんなに残業代をもらっていることも、今回の調査で知りました。
以下の業種はホワイトカラーエグゼンプションが施行される前でも、残業代なしで働かせることができるのですね。
それが許される職種はあまりうれしくはないですが、
(1) 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
(2) 情報処理システムの分析又は設計の業務
(3) 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務
(4) 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
(5) 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
(6) 広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
(7) 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
(8) 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
(9) ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
(10) 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
(11) 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
(12) 学校教育法に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
(13) 公認会計士の業務
(14) 弁護士の業務
(15) 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
(16) 不動産鑑定士の業務
(17) 弁理士の業務
(18) 税理士の業務
(19) 中小企業診断士の業務
となっています。
これらの方は、残業代というよりも、成果の上がる方は高い給料が取れるということですね。