【運用】【景気】日本銀行株価は何を物語っているのか?総裁就任以来下げ続ける日銀株価。

2021/08/19

日本銀行と言えば半官半民としか覚えていない人が多い。上場株式であり、出来高は極端に少ないが、立派に市場で取引されている。

銘柄コード8301でときどきぜひ確認してほしい。

普通の企業なら、経営がうまくいっており、利益が上がる期待が高まれば、株価は上昇する。日銀はどうだろう?

 

31日に大胆な追加緩和を発表し、マーケットにまた大きなサプライズを与えた黒田総裁だが、日銀の業績期待を表す株価の方は思わしくない。 国債を買い入れ、資産を膨らましているのと対照的に、株価はこのところ下落傾向が継続している。

BOJ

 

日本銀行株価推移


日本銀行株価は29日の終値が49,500円となっているが、以前は30万円以上もあった時代もあり、この20年で株価は大きく下げてきている。 最低購入金額は100株なので500万円近い資金が必要だ。

 

【1990年から現在までの推移】

BOJ①

 

 

バブル以降下落を継続していたが、やや2005年に持ち直し、2007年までは好調だったが、金融危機で大きく下げ、その後下落傾向が継続している。

過去においてときどき大きな出来高が存在する。

これらが、どのような情報による取引かは謎だが、黒田総裁の就任の可能性が高くなると出来高を伴って株価は下の図のように急上昇を見せている。

 

【2012年以降黒田時代】

BOJ2

 

黒田総裁就任時に大きく上げ、9万円近くに上昇したが、その後、下落し続けている。

 

日銀の資産


平成25年度の最新の決算では資産サイドでは当然国債が膨張している。更改されている日銀の決算から数字を拾ってみた。

  • 資産サイドでは
    • 国債が、「量的・質的金融緩和」のもとで買入れが進んだこと等から、198兆3,370億円と前年度末を72兆9,814億円上回った(+58.2%)
    • 貸出金も、貸出増加を支援するための資金供給の増加等により、26兆3,138億円と前年度末を8,267億円上回った(+3.2%)。

BOJASSET

(第129回事業年度(平成25年度)決算より)

 

この資産の利回りを見ると、23年度の0.566%、24年度0.502%であった利回りはとうとう0.5%を割り込み、

0.447%と年々利回りは減少してきている。(国債のいまの利回りとほぼ一緒ですね。)

他の民間銀行と同じく利回りの低下は共通である。国債中心の日銀資産では余計に収益面では苦しい。

BOJPL

 

資産は国債の購入で年々膨張しているが、買い入れる国債の利回りは極端に低く、日銀の収益は厳しい状況が続く。

日銀の株価は日本の財政事情を表すシグナルとして、正しい方向に推移しているといえる。

また日銀の株価は当然日本の通貨であり、日銀のみ増発のできる「円」の強さにも比例しているかもしれない。

 

日銀の株価暴落ということは取引量も少なく、保有者も限定的であると思われ、ありえないとは思うが、この株価が上昇傾向になり、安定してくれば、日本の金融政策がうまくいっており、景気が本回復にはいったといえるのかもしれない。

今後の日銀株価も要チェックだ!

 

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