30代〜40代の働き方はどう考えれば良い?人生設計と連動したキャリアプランの立て方

2023/08/31

大学を卒業してから会社員として働き続けている30〜40代の方は、これまでの仕事のご経験が蓄積され、今後の働き方を改めて考える機会も増えているという人も多いのではないでしょうか。

例えば、今の仕事を続けて現状維持か、転職してスキルアップや収入アップを目指すか、ご自身の経験や知見を活かして独立するかなど、ご自身のキャリアや仕事の方向性には様々な選択肢があります。

結婚・出産を経て世帯を持ち、家庭を支える責任もある中で、どのような基準で、どのようなタイミングで動けば良いか、判断を迷われている方もいらっしゃるかと思います。

そこで本稿では、30代〜40代の今後の働き方を見据え、考慮すべき要素やご自身の理想像を実現するための道筋を示していきます。

あなたが今後の人生で活かせる資産は?

30代〜40代のあなたがこれまで培ってきた経験を一度整理してみましょう。培ってきたスキルや経験が貴方の重要な資産となり、今後の進む方向性を考える一つの判断材料となるからです。

情報収集力、交渉術、書類作成、思考力など、職種に関係なく「経験の中で積み上げてきたスキル」と、資格、研究、業界特有の知見などの「特定の領域で発揮できるスキル」の大きく2つに分けてみます。前者は社会人として当たり前に身につけている方も多いと思います。

後者の特定の領域で発揮できるスキルとして、例えば、営業職に従事してきた方の場合、コミュニケーション能力やお客様のニーズに敏感に対応できる力、広報に従事してきた方なら情報発信力やSNS、ホームページの構築などが考えられます。

特定の領域で発揮できるスキルの方が、あなた独自の資産となる可能性が高く、一つの会社に在籍し続けても、働く場所を変えても重宝されることでしょう。あなたの独自性、オリジナリティがキャリアを形成していくと言えます。

ご自身が20代から働き始めてから、当時得たいと思っていた経験を得ることが出来ているのか、40代〜50代で目標とする地点に到達することができそうか、過去と未来の軸から大きく考えてみます。

30代以降に新しいチャレンジをしようと思うとき、何か新しいことを最初から始めるよりは、ご自身のこれまでの経験を活かした道の方が現実的です。

ただし、強い覚悟と意志を持っていれば、起業や独立、フリーランスといった会社員以外の道や、全く違う分野への挑戦も可能です。その場合は十分なプランニングとリスクヘッジも重要となってきます。

ご自身が持つ資産を自覚し、活かす道をまずは考えることで、改めて自分が何を求めているのか、現状のまま進んで良いのか、現実的な判断をすることができます。

今後の働き方を考える

毎日黙々とタスクをこなし、自分と向き合う時間を十分に取れなかったという方。現時点で、あなたはご自身の人生で何を実現したいか、明言することができるでしょうか。

何を始めるにしても、まずは理想を描くことから始めなければいけません。ご自身が今後の方向性に疑問を感じているなら、その要因を徹底的に追求し言語化していきましょう。

ご自身の在りたい姿を探すために、以下の方法をご紹介します。

仕事上で10年後にありたい姿

手始めに、今後のざっくりとした方向性を考えてみます。もちろん具体的に考えることのできる人はそれで構いません。

「あなたは10年後にどこで、誰と、いつ、どんな仕事を、どのようにしていたいですか」、この質問に明確に答えられますか。10年後が難しい方は、1年後、3年後、5年後、とショートスパンで考えていきます。

平日は一日フルで仕事をしたい、働く時間に柔軟性が欲しい、定時に上がりたい、できるだけ働きたくないなど人によって価値観は様々です。

重要なことは、現地点の延長線上にある像を思い描くのではなく、外部環境を考慮しながらフラットな状態で単純にあなたが未来で何をしているかを真剣に考えることです。

「昔からやりたいことがあり、それに向けて努力しているが成果を得られていない」あるいは「家族の優先度が高く、仕事は二の次」と考えている方は、高次元の目標を改めて立てる必要はないかもしれません。

一方で、「30代後半からどうしても独立したい」あるいは「より収入の高い外資系企業にいきたい」と考える方は、ご自身の5〜10年後のキャリア像がより明確になるかもしれません。

また、変化の激しい時代で新しい仕事が生まれたり、これまでに考えていなかったような働き方が可能になることもあると思います。その場合はご自身の直感に従っても良いでしょう。

どのような仕事で何をしていれば、ご自身が納得できるのか。想像力を働かせて、まずは軸をはっきりさせましょう。

実現するための一番良い方法

実現したい理想像を明確にできれば、それを実現するための最も良い方法を考えます。大きく3つの考え方があると思います。

1つ目は、やりたい仕事や理想像がすでに他の誰かによって用意されており、転職や在籍する会社の中を移動するだけで、理想に近づくことができる場合です。タイミングとポジションさえ空いていれば、比較的ハードルが低い選択肢です。

2つ目は、やりたい仕事や理想像を実現できる道が組織に属する会社員という形態である必要がなく、独立して個人事業主として活動したり、スキルを持ってフリーランスや業務委託を受けて活動しても問題がない場合です。自分が好きな場所で好きな時間に働きたい人には最も最適な選択肢でしょう。

3つ目は、実現したい世界観があり、他の誰も成し遂げていないことに挑戦するために起業することです。社会的ニーズ、経営の手腕、掲げる理念や意志の強さなどが問われますが、事業のファンやサポーターを上手く巻き込み、スケーリングしていくことも可能でしょう。

いずれにせよ、現状維持でない道を選ぶという選択肢になります。新しいことに挑戦するにはエネルギーが必要ですから、実現可能性についてはしっかり吟味していきます。

様々な要因を考慮して、働き方の具体的な「かたち」を考えていきましょう。

金銭面の懸念をリスト化

実現可能性を吟味する上で、現時点での不安要素を洗い出します。ここでは主に、パーソナルファイナンスの分野に焦点をあてます。

単身の方、既婚の方、お子様がいる方、人によってご家庭の事情は様々だと思いますが、預貯金を含む資産運用残高、住居や車に紐づくローン返済残高、保険金の支払い、その他資産の活用状況等について整理します。

この先の想定年収で返済に対応できるか、初期投資がある場合には老後の資産に影響がないか、お子様の教育費を準備できるか、体調が崩れた時に収入を代替できるものがあるのか、あらゆる面で一つ一つ金銭的な不安を特定していきます。

新しいことに挑戦する際に、最も不安な要素となるのが金銭面です。金銭面の不安が解消されると心理的ハードルも下がり、よりご自身の理想像の追求にも邁進できるでしょう。

具体的なペルソナに基づき、選択肢別のシミュレーションをご紹介します。参考にできそうな部分はぜひ参考にしてみてください。ただし、全て仮定に基づくことにご留意ください。

30代男性のシミュレーション

以下の人物像を基に、①現状維持の場合、②転職した場合のシミュレーションを行います。

会社員勤めを続けてきたが、現状維持か、転職するかを考えている男性。子供が2人おり、妻はパート勤務のため、男性は家計を支える主な収入源である。現在は正社員として会社に勤めており、これまでに培ったスキルで今後の働き方を一度真剣に検討したいと考えている。マンション、車を保有しており、ローンも残っている。その他、積立運用、生命保険の契約も行っている。

①年収800万円の会社員として働き続けた場合

70歳まで働き続けると仮定した場合、資産の最高到達点は5,800万円程度となり、100歳には600万円程度にまで下がっている。現状維持でも老後の資産は確保できそうである。

②スキルアップで転職、年収1,000万円の会社員として勤務した場合

一方で、ハイクラスの転職に成功し、年収が1,000万円になった場合、資産の最高到達点は、7,500万円程度にまで上がる。100歳時点でも2,500万円程度残っている。

収入以外の条件が全く同じであるとき、最高到達点の差は1,700万円であり、転職に成功すれば生涯の資産運用に良い影響を与えることができる。

仕事は自己実現の手段であり、生活の礎である

当たり前のことですが、仕事は家計を支える収入源です。収入を得るための手段として割り切って働く方もいるかもしれません。

しかし、人生100年時代で人生のうちに働く時間はあまりにも長く、初期の段階からご自身の理想像を実現するために行動しなければ、ご自身の強みや独自性を上手く構築できない人生を送ることになってしまいます。

30〜40代のチャレンジは20代と違って現実的な課題や責任も重く、すぐに行動に移すことが難しい場合も多いと思います。だからこそ、懸念点をあぶり出し、一つ一つ解消していきます。

最後に、仕事は自己実現の手段であるべきです。どんな世界を実現したいか、誰と働きたいか、どれくらい働きたいか、ご自身の価値観と向き合い、最適な選択をされることを心より願っております。

milize pro(ライフプランシミュレーション)

<執筆者>

三上  諒子(MILIZE提携FPサテライト株式会社所属FP)
大阪市立大学商学部学士課程修了。学生時代にESG投資の有効性に関する研究を行う。主にESG・サステナビリティ領域の業務に従事、現在は企業のサステナビリティ・ガバナンス構築に向け活動中。地球のサステナビリティには最終的に消費者の力が必要と考え、消費者行動に影響を与えるファイナンシャルプランナーを目指す。

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