新日鐵住金株式会社(以下新日鉄)と株式会社神戸製鋼所(以下神戸製鋼)、は共に鉄鋼で有名です。
新日鉄と神戸製鋼の給与比較をするうえで以下のポイントに絞って行いたいと思います。
ポイントは4つ
- 初任給
- 年齢ごとの給与水準
- 生涯給与
- 役員報酬
サラリーマンとして一生をこの会社で過ごし、役員までに到達した場合の報酬の差を見て鉄鋼業界の人生の損得勘定を見ていきたいと思います。
それぞれの特徴
【新日鐵住金株式会社】
新日鐵住金株式会社は東京の丸の内に本拠を置く、2012年発足の日本の鉄鋼メーカーです。
2012年に新日本製鐵株式会社と住友金属工業が合弁して発足しました。
新日本製鐵株式会社は元をたどると官営八幡製鐵所です。
住友金属工業の前身は1949年設立の新扶桑金属工業です。
新日鐵住金は、国内第1位、世界第3位の粗鋼生産能力を持ち、全国12ヶ所の製鉄所、3カ所の研究所を持っています。
また海外の営業・製造拠点は約70拠点あり、約23,000件の特許を保有しています。
【株式会社神戸製鋼所】
株式会社神戸製鋼所は神戸市に本拠を置く、1905年創業、1911年設立の日本の鉄鋼メーカーです。
以下の6つの事業部門からなる複合経営で事業を展開しています。
- 鉄鋼
- 溶接
- アルミ・銅
- 機会
- エンジニアリング
- 電力
鉄鋼メーカーとして有名ですが、鉄以外のアルミの素材なども得意としています。
また電力事業にも注力しています。
2017年10月に性能データ改ざんが発覚し問題となっています。
業績は?
業績も比べておきましょう。
【連結決算:平成29年3月の業績】 (単位円)
新日鉄
|
会社
|
神戸製鋼
|
4兆6,329億 |
売上高
|
1兆6,959億
|
4兆9,074億 |
前年
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1兆8,228億
|
-5.6% |
対前年度比
|
-7.0%
|
1,745億 |
経常利益
|
-191億
|
1,309億 |
当期純利益
|
-230億
|
2,174億 |
当期包括利益
|
-143億
|
40.6% |
自己資本比率
|
29.2%
|
売上高は新日鉄が神戸製鋼を上回り、その差は2兆9,370億円程です。
経常利益でも新日鉄が神戸製鋼を上回り、その差は1,936億円です。
成長率はともにマイナス成長で新日鉄がマイナス5.6%のに対し神戸製鋼はマイナス7.0%とこちらも新日鉄が上回ります。
売上、利益、成長率で新日鉄が上回る結果となりました。
初任給
これからの就職する方のために初任給制度を掲載しておきます。
【共に2018年募集要項から 初任給(単位:円)】
新日鉄
|
学歴
|
神戸製鋼
|
記載なし
|
博士了
|
255,640 |
235,000
|
修士了
|
232,000 |
210,000
|
学部卒
|
210,060 |
187,000
|
高専卒
|
184,490 |
新日鉄は博士了の記載がありません
比較が出来る学歴では修士了、高専卒では新日鉄が上回っていて学部卒では神戸製鋼が上回っています。差額は以下のとおりです。
- 修士了:3,000円
- 学部卒:60円
- 高専卒:2,510円
年齢ごとの給与
有価証券報告書の情報から取得できる情報は以下のようになっています。
【平成29年3月決算の比較】
従業員数(単体) | 従業員数(連結) | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与(千円) | |
新日鉄 | 24,822 | 92,309 | 37.9 | 16.0 | 5,959 |
神戸製鋼 | 11,034 | 36,951 | 39.5 | 16.7 | 5,535 |
従業員数は単体では神戸製鋼が上回りますが連結では新日鉄が上回ります。その差は単体で13,788人、連結で55,358人です。
平均年齢は神戸製鋼が1.6歳高く、勤続年数では神戸製鋼が0.7年長いです。
平均年間給与は新日鉄が42.4万円多いです。
【年代別推定年収:単位千円】
年齢 | 新日鉄 | 神戸製鋼 | 差額(新日鉄ベース) |
25 | 4,366 | 3,944 | 422 |
30 | 5,180 | 4,679 | 501 |
35 | 5,705 | 5,153 | 552 |
40 | 6,181 | 5,583 | 598 |
45 | 6,672 | 6,027 | 645 |
50 | 7,113 | 6,425 | 688 |
(両者とも平均年間給与は、賞与及び超過勤務手当を含みます。)
こちらからほかの企業も検索⇒企業シムラ―検索
全ての年齢層で新日鉄が神戸製鋼を上回ります。
25歳時が一番差が小さく42.2万円、50歳時が一番差が大きく68.8万円の差があります。
これらの数値は有価証券報告書から平均年齢、平均年収等を取得し計算をしております。
給与カーブの形状等は統計局の産業別のカーブ構造を反映させております。
2社で同じ業種のため同じ数字を使っています。
生涯給与
この年収で生涯もらえる給与を計算します。
生涯給与といってサラリーマンとしての収入の総額です。
副業等一切なくこの会社からのみの収入です。
会社名 | 生涯給与 |
新日鉄 | 2億3,032万円 |
神戸製鋼 | 2億806万円 |
新日鉄が神戸製鋼を2,226万円上回っています。
役員報酬
取締役の報酬を見て、社内で成功して偉くなった場合にどれだけの報酬がもらえるのかをイメージしてください。
会社名 | 役員数 | 役員報酬 (百万円) |
役員賞与 (百万円) |
オプション (百万円) |
退職金
(百万円) |
1人あたり総報酬 (百万円) |
新日鉄
|
19 | 965 | 0 | 0 | 0 | 50.8 |
神戸製鋼
|
9 | 113 | 0 | 0 | 0 | 12.6 |
新日鉄が神戸製鋼よりも1人当たりの報酬額(年額)では3,820万円多いです。
生涯で形成する資産
生涯で形成される資産はいくらになっているかを計算してみました。
両者とも平均的な支出を一生続けたとしてどれくらいの資産が65歳、85歳のときに残っているかを推計します。
新日鉄、神戸製鋼の現在30歳の方を例に計算を行います。
結果はシミュライザー(人生計画システム)で計算すると以下のようになりました。
新日鉄 | 神戸製鋼 | 差額(新日鉄ベース) | |
65歳 | 4,345万円 | 4,132万円 | 213万円 |
85歳 | 3,201万円 | 3,475万円 | -274万円 |
65歳時に新日鉄が213万円(貯蓄可能額が)上回ります。
これが85歳時には神戸製鋼が274万円上回り逆転します。
これは新日鉄が神戸製鋼より支出が多い、つまりより豊かな生活を送っているためです。
しかし両者とも安定的な老後が約束されているようです。
(当システムでは85歳でプラスになっていることを一つの目標にしています。)
左が新日鉄の方、右が神戸製鋼の方です。30歳、には五郎と名前がついています。(全企業共通ルール)
システムへ移動してほかの企業も見てみる。⇒ 企業シムラ―検索
結論
纏めると以下のような結果です
- 初任給は比較が出来る学歴では修士了、高専卒では新日鉄が上回っていて学部卒では神戸製鋼が上回ります。
差額は以下の通りです。- 修士了:3,000円
- 学部卒:60円
- 高専卒:2,510円
- 平均年間給与は新日鉄が42.4万円多いです。
- 年齢層別給与では全ての年齢層で新日鉄が神戸製鋼を上回ります。
25歳時が一番差が小さく42.2万円、50歳時が一番差が大きく68.8万円の差があります。 - 生涯年収(従業員として)は新日鉄が神戸製鋼を2,226万円上回ります。
- 役員報酬は新日鉄が1人当たりの報酬額(年額)で3,820万円多いです。
- 老後の資産額では85歳時に神戸製鋼が274万円多いです。
平均年間給与、年齢層別給与、生涯年収、役員報酬で新日鉄が上回り、老後の資産では神戸製鋼が上回りました。
老後の資産で神戸製鋼が上回ったのは新日鉄の支出が神戸製鋼より多い、つまりより豊かな生活を送っているためです。
そのため今回は新日鉄の勝ちとします。
シミュライズでは今後も様々な企業の人生比較を行っていきます。
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