日本郵船株式会社(以下日本郵船)と株式会社商船三井(以下商船三井)、は共に日本の大手海運会社です。2017年7月に川崎汽船も加えた3社はコンテナ船事業を統合することを2016年10月31日に発表しています。2017年7月に共同出資会社を設立し2018年4月から共同でサービスを始めるとしています。
この3社のうち日本郵船と商船三井の2社は待遇面でどう違うのか比較してみました。
日本郵船と商船三井の給与比較をするうえで以下のポイントに絞って行いたいと思います。
ポイントは4つ
- 初任給
- 年齢ごとの給与水準
- 生涯給与
- 役員報酬
サラリーマンとして一生をこの会社で過ごし、役員までに到達した場合の報酬の差を見て海運業界の人生の損得勘定を見ていきたいと思います。
それぞれの特徴
【日本郵船株式会社】
日本郵船株式会社は1885年創業の日本の海運会社です。
運行船舶数832、全世界の拠点数233,海外駐在都市65,自動車専用船隻数123,自動車専用船キャパシティ660,000台,物流事業進出国数40カ国,物流事業拠点数484拠点を誇る日本最大の海運会社です。
海運会社ですが売上の35%は海運事業以外のものです。
三菱グループの主要企業の1つで三菱財閥の源流企業です。
2017年6月17日に運行していたコンテナ船とアメリカ海軍のイージス艦が衝突しました。
【株式会社商船三井】
株式会社商船三井は日本第2位の海運会社です。
商船三井は1964年に三井船舶と大阪商船が合弁し出来た「大阪商船三井船舶」にナビックスラインが1999年に合弁して出来た企業です。
大阪商船は1884年創業です。
不定期船専用事業、コンテナ船事業、フェリー・内航事業、関連事業、その他の事業に分かれています。
業績は?
業績も比べておきましょう。
【連結決算:平成28年3月の業績】(単位円)
日本郵船
|
会社
|
商船三井
|
2兆2,723億 |
売上高
|
1兆7,122億
|
2兆4,018億 |
前年
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1兆8,170億
|
-5.4% |
対前年度比
|
-5.8%
|
600億 |
経常利益
|
362億
|
182億 |
当期純利益
|
-1,704億
|
-172億 |
包括利益
|
-2,317億
|
34.5% |
自己資本比率
|
24.37%
|
売上高は日本郵船が商船三井を上回り、その差は5,600億円ほどです
経常利益でも日本郵船が商船三井を上回り、その差は240億円ほどです。
成長率は共にマイナス成長ですが日本郵船のマイナス5.4%に対し、商船三井はマイナス5.8%とこちらも日本郵船が上回っています。
売上、利益、成長率全てで日本郵船が商船三井を上回りました。
初任給
これからの就職する方のために初任給制度を掲載しておきます。
【2016年4月実績 初任給(単位:円)】
日本郵船
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学歴
|
商船三井
|
221,800
|
大学院卒
|
256,280 |
221,800
|
大学卒
|
220,000 |
共に陸上職で比較しています。
大学卒ではわずかに日本郵船が上回りますが、大学院卒では商船三井が34,480円上回ります。
年齢ごとの給与
有価証券報告書の情報から取得できる情報は以下のようになっています。
【平成28年3月決算の比較】
従業員数(単体) | 従業員数(連結) | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与(千円) | |
日本郵船 | 1,131 | 34,276 | 39.8 | 13.9 | 10,368 |
商船三井 | 925 | 10,500 | 37.7 | 14.4 | 10,003 |
従業員数は単体では日本郵船が200人ほど上回り、連結でも日本郵船が23,700人ほど上回ります。
平均年齢は日本郵船が2.1歳高く、勤続年数は商船三井が0.5年長いです。
平均年間給与は日本郵船が36.5万円多いです。
【年代別推定年収:単位千円】
年齢 | 日本郵船 |
商船三井 | 差額(日本郵船 ベース) |
25 | 7,919 | 7,705 | 214 |
30 | 8,899 | 8,658 | 241 |
35 | 9,816 | 9,550 | 266 |
40 | 10,376 | 10,095 | 281 |
45 | 10,756 | 10,465 | 291 |
50 | 11,293 | 10,988 | 306 |
(両者とも平均年間給与は、賞与及び超過勤務手当を含みます。)
こちらからほかの企業も検索⇒企業シムラ―検索
全ての年齢層で日本郵船が商船三井を上回ります。
25歳時が一番差が小さく21.4万円、50歳時が一番差が大きく30.6万円の差があります。
これらの数値は有価証券報告書から平均年齢、平均年収等を取得し計算をしております。
給与カーブの形状等は統計局の産業別のカーブ構造を反映させております。
2社で同じ業種のためカーブの上昇率は同じ数字を使っています。
生涯給与
この年収で生涯もらえる給与を計算します。
生涯給与といってサラリーマンとしての収入の総額です。
副業等一切なくこの会社からのみの収入です。
会社名 | 生涯給与 |
日本郵船 | 3億8,069万円 |
商船三井 | 3億7,039万円 |
日本郵船が商船三井を1,000万円ほど上回っています。
役員報酬
取締役の報酬を見て、社内で成功して偉くなった場合にどれだけの報酬がもらえるのかをイメージしてください。
会社名 | 役員数 | 役員報酬 (百万円) |
役員賞与 (百万円) |
オプション (百万円) |
退職金
(百万円) |
1人あたり総報酬 (百万円) |
日本郵船
|
12 | 592 |
0
|
0
|
0
|
49.3 |
商船三井
|
8 | 295 |
0
|
33
|
0
|
41.0 |
日本郵船が商船三井よりも1人当たりの報酬額(年額)では1,830万円ほど多いです。
生涯で形成する資産
生涯で形成される資産はいくらになっているかを計算してみました。
両者とも平均的な支出を一生続けたとしてどれくらいの資産が65歳、85歳のときに残っているかを推計します。
日本郵船、商船三井の現在31歳の方を例に計算を行います。
結果はシミュライザー(人生計画システム)で計算すると以下のようになりました。
日本郵船 | 商船三井 | 差額(日本郵船ベース) | |
65歳 | 6,532万円 | 6,349万円 | 183万円 |
85歳 | 3,005万円 | 3,002万円 | 3万円 |
65歳時に日本郵船が183万円(貯蓄可能額が)上回ります。
これが85歳時は3万円に縮まります。
しかし両者とも安定的な老後が約束されているようです。
(当システムでは85歳でプラスになっていることを一つの目標にしています。)
しかし使いすぎや、病気、運用の失敗(シミュレーションでは預金しかつかっていません。)で大きく異なることになります。
左が日本郵船の方、右が商船三井の方です。31歳には五郎と名前がついています。(全企業共通ルール)
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結論
大学卒ではわずかに日本郵船が上回りますが、大学院卒では商船三井が34,480円上回ります。
平均年間給与は日本郵船が36.5万円多いです。
全ての年齢層で日本郵船が商船三井を上回ります。
25歳時が一番差が小さく21.4万円、50歳時が一番差が大きく30.6万円の差があります。
日本郵船の生涯年収(従業員として)は商船三井のそれに比べ1,000万円ほど多くなっています。
役員報酬では日本郵船 が商船三井よりも1人当たりの報酬額(年額)では1,830万円ほど多いです。
最後に65歳以降の資産額で比較すると、85歳時に日本郵船が商船三井を3万円上回りました。
大学院卒の初任給は商船三井が上回りましたが、年齢層別平均給与、平均年間給与、生涯年収、役員報酬、老後の資産で日本郵船が上回りました。
そのため今回は日本郵船の勝ちとします。
シミュライズでは今後も様々な企業の比較を行っていきます。
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