はじめに
近年、経済の不確実性や、少子高齢化、年金制度への不安の高まりなどから、個人で資産形成をしていく重要度が増しています。そんな中、意外と学習の機会が少ない、「お金」の勉強に興味がある人も多いのではないでしょうか。
この記事では、「せっかくお金の勉強するのであれば資格を取得したいけれど、どの資格が自分に合っているのかわからない。」と悩む人に向けて、取得目的別におすすめの資格を特徴やメリットとともに紹介します。
資格取得を通してお金の勉強を始めることがおすすめな理由
お金の勉強を始めることは、日常生活との密接な関わりがあるためおすすめです。税金や保険、ローンなどの知識があれば、結婚や住宅購入、子育てといったライフイベントを計画的に進めることができます。
さらに、少子高齢化により公的年金だけでは老後の生活を支えることが難しいため、自助努力による資産形成が欠かせません。投資の知識を得ることで、資産を守り、増やす方法を学び、インフレーションや老後に備えることができます。
このようにお金について学ぶことで自分自身の生活を豊かにできることはもちろん、資格取得を目指して勉強することで、漏れなく体系的に知識を身に付けることができます。また、学んだことが形に残る点も大きなメリットです。資格はスキルの証明となり、事業を始める際や昇進・転職活動などで有利に働く可能性があるため、勉強を始めるなら資格取得も目指すことがおすすめです。
目的別おすすめ資格一覧
資格は、自分の目的や目標に応じて適切なものを選ぶことが大切です。
以下では、目的別のおすすめの資格を、取得のメリットや学べる内容について紹介します。
日常生活で役立つ知識や資産形成を学びたい人向け
まずは個人レベルの家計管理や資産形成について学びたいと考える人におすすめの資格です。
1.ファイナンシャル・プランニング技能検定
・試験概要
日本の国家資格で、厚生労働省が認定している資格です。日本FP協会ときんざいが運営しています。
ファイナンシャル・プランナーとしてお金に関するあらゆる相談に応じ、ライフプランに合わせた最適なアドバイスを提供するための資格です。
1〜3級に区分されており、それぞれ学科試験と実技試験があります。
各級ごとに求められる知識やスキルの範囲が異なりますが、日常生活レベルのお金の知識であれば、まずは3級からステップアップしていくことがおすすめです。
・学べること
ライフプランニング・リタイアメントプランニング、金融資産運用設計、不動産運用設計、リスクと保険、タックスプランニング、相続・事業承継設計に試験範囲は分かれており、金融、不動産、住宅ローン、税制、保険、年金、相続など、人の一生にまつわる広範囲な知識を習得することができます。
・取得するメリット
自身のライフプランニングや、家計管理、資産運用など幅広い知識が身につくほか、金融機関でキャリアアップを目指せることや、フィナンシャル・プランナーとして起業することもできます。
2.外務員資格試験
・試験概要
外務員資格試験は、株式、債券、投資信託などの金融商品取引業務を行うために必要な資格であり、日本証券業協会が主催しています。
この試験に合格し、所属している協会員を通じて日本証券業協会に登録することで、証券会社や金融機関で顧客に対して金融商品の販売や説明を行うことができます。
一種と二種に区分されており、一種外務員資格のほうが幅広い商品を扱うことが可能です。
・学べること
金融商品取引法をはじめとする、金融商品や付随する法令・諸規則、株式、債券、投資信託、デリバティブ取引(一種外務員資格試験のみ)、証券市場の基礎知識など証券業務に関する幅広い知識が学べます。
・取得するメリット
金融商品などの知識は、自分の資産形成に活用することができます。
さらには、証券会社をはじめ、銀行や投資顧問会社での業務に必須であることが多く、金融業界への転職や、すでに金融業界で働いている人にとっても専門性の証明となり、キャリアアップにつながる可能性があります。
専門的な知識でキャリアアップや転職を目指す人向け
専門的なスキルを身につけ、ビジネスシーンでの活躍を目指す人におすすめの資格です。
3.日商簿記検定試験
・試験概要
日商簿記検定試験は、日本商工会議所および全国各地の商工会議所により実施されています。
企業の日々の経営活動を記録・計算・整理することで、経営成績や財政状態を明確にする技能を問われ、会計や経理、財務の知識を学び、企業運営に必要な会計スキルを身につけることができる試験です。試験は、簿記初級、1~3級に区分されています。初心者から上級者まで、レベルに応じた資格取得が可能です。
・学べること
仕訳の考え方、帳簿の構造、財務諸表の作成、決算処理、原価計算、会計基準などが学べます。
・取得するメリット
就職に役立つ資格と評価されており、経理・財務職では特に評価されることも多いです。営業職や、企画職でも企業の経営状況が財務諸表などから判断できることは大きなメリットになるでしょう。
4.日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
・ 試験概要
日本証券アナリスト協会の定める所定の教育講座を受講、試験に合格し、さらに一定の要件を満たすことで認定される資格であり、高度で広範囲の金融や投資の専門性を証明できる資格です。
・学べること
投資価値の分析・評価、企業財務の知識をはじめ、専⾨的知識を体系的に幅広く学べます。
試験は、証券分析とポートフォリオ・マネジメント、財務分析、コーポレート・ファイナンス、市場と経済の分析、数量分析と確率・統計、職業倫理・⾏為基準の6つの学習分野に分かれています。
・取得するメリット
投資や金融、企業価値判断に関する幅広い専門知識が身につくため、金融業界での評価が高く、投資銀行、資産運用会社、証券会社、保険会社などでのキャリアアップに有利になる可能性が高いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?お金に関する資格には、様々な種類があることをご理解いただけたかと思います。資格を取得する際には、自分の目的に合ったものを選ぶことが非常に重要です。
どんな資格を選ぶかによって、得られる知識やスキルが異なるため、まずは自分の興味や解決したい課題に合った資格を見つけることから始めましょう。気になる資格があれば、さらに詳しく調べてみて、具体的な目標や計画を設定してみましょう。そうすることで、学ぶ意欲が高まり、得られる成果も大きくなります。
日々の生活から切り離すことのできないお金に関する資格は、あなたに大きな自信を与えてくれるかもしれません!
執筆者情報
永久保 広菜(MILIZE提携FPサテライト株式会社所属FP)
東京都出身。
早稲田大学国際教養学部卒業後、大手電気通信グループの金融中核会社に入社。
海外グループ子会社向けの融資のフロント業務に従事。
家族の相続問題やアパート経営を助けられるような知識を身に着けたいという思いでFP資格を取得。
身の回りの人だけではなく、海外留学・勤務経験で培った異なる文化や環境で育った人を理解し共に問題解決していく力を生かし、当然バックグラウンドや悩みが個人で大きく異なるみなさまの「お金にまつわる悩み」を減らすことで、より幸せな人生を歩んでほしいという強い思いで情報発信をする。