2024年に入り、日経平均株価の史上最高値や歴史的な大暴落といった大きな話題が飛び交いました。そこで今回、「株式取引って何?」という疑問から「どうやって始めるの?」と一歩踏み出すきっかけを探しているあなたへ、押さえるべきポイントを解説します。
株式取引とは? 〜基本の理解〜
まずはじめに株式取引の基本とどのような利益を得ることができるかについて確認していきましょう。
株式とは何か?株式取引の基本
株式とは、株式会社が発行する有価証券のことです。企業は設備投資や新規事業の立上げなどに必要な資金を集めるために株式を発行します。投資家はその株を購入することで企業の所有者として権利を保有します。
企業が成長し業績が向上することで、投資家はそれに応じた利益を得るチャンスが広がります。
株式取引で得られる可能性のある利益
株式取引では、「値上がり益」「配当金」「株主優待」といった利益を得ることができます。
値上がり益
値上がり益とは、株価が下がったときに購入し、上昇したときに売却することで得られる利益をいいます。
例:1株1,000円の株式を購入し、その後株価が1,500円に上昇した場合、売却時に500円の値上がり益を得られます。
配当金
配当金とは、企業が利益を上げた場合、その一部を株主に還元する形で支払われるお金です。配当金を受け取るためには、権利付き最終日と呼ばれる日までに株を購入しておく必要があります。
配当金は企業の業績に左右されるため、必ずしも毎年受け取れるわけではありませんが、定期的に配当を出す企業の場合、安定した収入源になることがあります。
例:1株あたり年間50円の配当金が支払われる場合、100株保有していると年間5,000円の配当を受け取ることができます。
株主優待
株主優待は、企業が自社の株を一定数保有している株主に対して、自社製品やサービスを特典として提供する制度です。優待を受けるためには権利確定日と呼ばれる日まで株を保有している必要がある点に注意しましょう。
例:飲食チェーンの株主になると、食事券や割引クーポンが送られてくることがあります。また、メーカー株を保有することで自社製品をもらえる場合もあります。
株式取引の始め方
株式取引では証券会社選びや購入する株式の選定が重要なステップになるため、リサーチをしっかり行い、少額の取引から開始すると良いでしょう。
証券口座の開設方法
証券口座は、株式や投資信託などを売買するための専用口座です。開設は、次の手順で行います。
1. 証券会社を選ぶ
サポート体制がしっかりしていて、初心者向けの学習コンテンツが豊富な証券会社を選ぶと良いでしょう。また、少額取引が可能な証券会社であれば、リスクを抑えながら運用することができます。
2. 口座開設に必要な書類を準備する
口座を開設する際には、本人確認書類やマイナンバーを確認できる書類が必要です。提出方法はオンラインフォームにアップロードする、書類を郵送するなどがあります。
3. 口座開設手続きと審査
証券会社で審査が行われ、問題がなければ数日から1週間程度で口座が開設されます。
株式を買うまでの基本ステップ
口座開設後、株式を購入するまでの基本の流れを説明します。
1. 口座に資金を入金する
証券口座にお金がなければ株式を購入できないため、銀行口座から証券口座に資金を移します。
2. 購入する株を選ぶ
初心者の場合、自分にとって身近な企業や興味のある企業を選んでみると良いでしょう。その上で、以下の内容を考慮すると良いです。
・企業の業績や成長性
・株価のトレンド(過去の値動き)
・配当金や株主優待の有無
3. 株式を注文する
購入する株式が決まったら、証券会社の取引ツールを使って注文します。注文方法には主に2種類あります。
・成行注文:指定した株数を、価格を指定せずに買う方法です。例えば成行買い注文をしていた場合は、一番安く売り注文をしていた人と売買が成立します。取引が成立しやすい反面、予想以上に高い価格で買ってしまう場合があります。
・指値注文:自分が希望する価格で株を買う方法です。希望価格に達した場合のみ取引が成立します。
4. 取引の成立と確認
注文後、取引が成立したかを確認します。特に指値注文の場合、希望価格に達しないと取引が成立しないので、定期的に確認する必要があります。
株式市場の取引時間
株式取引を行う証券取引所では取引を行う時間が決められています。
日本と主要国の取引時間について
株式市場の取引時間は国ごとに異なります。日本と主要国の取引時間についてみていきましょう。
日本
日本の株式市場の取引時間は、昼休みを挟んで午前と午後の2部構成となっています。
・前場(ぜんば):9:00〜11:30
・後場(ごば):12:30〜15:00
土日祝日や年末年始などの特定の日を除き、平日に取引が行われます。
アメリカ・ヨーロッパ
アメリカの株式市場の取引時間は、現地時間で9:30〜16:00です。日本時間では、23:30〜翌6:00となります。
また、ヨーロッパにはいくつかの株式市場が存在しますが、主要な株式市場と取引時間は以下のようになっています。
・ロンドン証券取引所:8:00〜16:30(日本時間:17:00〜翌1:30)
・フランクフルト証券取引所:9:00〜17:30(日本時間:17:00〜翌1:30)
アメリカ・ヨーロッパ市場では、サマータイムが導入されているため、期間中は通常の取引時間よりも1時間前倒しされる点に注意が必要です。
初心者が注意すべきリスクと管理方法
株式取引における代表的なリスクが、株の価格が上下する「価格変動リスク」です。どんなに有望な銘柄であると判断して購入しても、購入時より価格が下がらないと言い切ることはできません。
では、こうしたリスクをできるだけ抑えるためにどのような方法があるかについてみていきたいと思います。
リスク分散と損切りについて
投資の世界では有名な「卵は一つのカゴに盛るな」ということわざを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ここでは、リスク分散と損切りについて解説します。
リスク分散とは?
「リスク分散」とは、1つの銘柄に全ての資金を投入するのではなく、複数の異なる銘柄に投資することで、特定のリスクを軽減する方法です。ある銘柄が予想外の値下がりをしても、他の銘柄の上昇でカバーできます。
具体的には地域を分散させる方法があります。日本国内だけでなく、アメリカやヨーロッパなど異なる国の株式を組み合わせることでリスクを分散できます。例えば、日本市場が低迷していても、アメリカ市場が好調であれば利益を確保することも可能です。
損切り
「損切り」とは、投資した銘柄が一定の損失に達した時点で、さらに損失が拡大しないように早めに売却することです。
損切りせずにそのまま保有し続けた場合、株価が下がり続けて投資全体が大きくマイナスになる可能性があります。非常に難しい決断ですが、事前に自分でルールを決めておくという方法があります。
例えば「購入価格から10%下落した時点で売却する」というラインを事前に決めておくことで、感情に左右されずに損切りすることができます。
まとめ〜最初の一歩を踏み出そう〜
「千里の道も一歩から」という言葉が示すように、どんなに大きな目標も、まずは小さな一歩を踏み出すことから始まります。株式取引も同様に、焦らずコツコツとはじめてみてはいかがでしょうか。
実際に運用を通して学び続けることで、経済全体に興味が出てくるかも知れません。自分を信じて、最初の一歩を踏み出してみましょう。
執筆者情報
工藤 愛理(MILIZE提携FPサテライト株式会社所属FP)
大学卒業後、薬剤師として医療機関・保健所に勤務し、健康面のカウンセリングを行う。
経済的負担が大きいために、健康問題が解決できない現場を見て、健康とお金の両面で支えるため、FP資格を取得。
その後、経営コンサルタントとして補助金を専門として、効果的な補助金の活用をサポートしてきた。
現在は個人・法人向けに健康的な生活と経済的な安定をサポートするため、FPとして活動している。