袋分け家計簿は、使えるお金が一目でわかるため、お金のやりくりがしやすい家計管理方法の1つといわれています。また、袋分け家計簿を続けることで家計の予算立てや見直しができるようになるともいわれています。
ただし、長く続けるには少しコツがいります。記事では、袋分け家計簿の特徴や長く続けるコツを解説します。
袋分け家計簿とは?
袋分け家計簿は、お金を袋に分けて出費を管理する方法です。出費の項目ごとに予算を立て、項目別に予算額を袋に入れます。次の給与が入るまで袋の中のお金でやりくりします。
具体的な方法を確認しておきましょう。
袋分け家計簿のやり方
袋分け家計簿では、現金を使います。給与が入ったらやりくりに使うお金を全部引き出し、そのお金を予算の袋に分けます。やりくりする分を全額現金にしておくのがポイントです。先取り貯蓄や口座振替で支払う分などは残しておきましょう。
なお、予算の分け方は、家庭に合っていればどのような分け方でもかまいません。管理しやすい種類と数にします。もし、大まかに支出が把握できている項目があれば、その項目で袋分けにしてもいいですし、想定できないのであれば、イメージしやすい分類でも問題ありません。食費・日用品・交通費などの出費の種類で分けるケースや、期間で予算を分ける方法があります。続けながら分類しなおすこともできますので、まずはやりやすそうな分け方で始めてみるというのも1つの方法です。
現金を袋に分けたら、次の給与が入るまでそのお金でやりくりしていきましょう。この一連の流れを繰り返します。
袋分け家計簿のメリット
袋分け家計簿では、袋の中の現金でやりくりしていくので、予算の残金がわかりやすい点がメリットです。使えば使っただけ残金が減っていくので、次の給与までいくらで過ごせばよいのか見てわかります。
また、お金を入れる時に袋の中にお金が残っていれば、1ヶ月の予算を守れていることがわかります。家計簿を付けなくても、1ヶ月の予算が守れているかどうか確認することができるのです。
袋分け家計簿の注意点
やり方はシンプルな袋分け家計簿ですが、行動に移してみると「現金で管理すること」を手間だと感じることもあります。手間が負担に感じるようになると、袋分け家計簿を続けるのが難しく感じるかもしれません。
袋分け家計簿を負担だと感じる原因は、主に次の3つが考えられます。
袋分け家計簿に負担を感じる原因
・買い物の後、袋ごとに残金を戻すのが手間
・他の袋のお金を使ってしまう
・キャッシュレス決済利用にルール決めが必要
詳しく見ていきましょう。
買い物の後、袋ごとに残金を戻すのが手間
買い物から帰ると、予算の袋ごとに残金を戻さなければなりません。1つの袋からお金を出して買い物ができれば手間はありませんが、1回の買い物で複数の袋からお金を出す場合は、残金を戻すのに手順が増えます。
例えば、食品の買い物にスーパーマーケットに行き、ついでに日用品を買ったとしましょう。食費と日用品費で予算を分けている場合、それぞれの袋に残高を計算して戻さなければなりません。
買い物のたびに残金を戻す作業がありますので、正確な残金を元の袋に戻すのが手間だと感じる人もいるかもしれません。
他の袋のお金を使ってしまう
袋分けしたお金は予測額ですので、不足する可能性もあります。このとき、他の袋にお金があると、余裕のある袋のお金を使ってしまう場合もあるでしょう。
その結果、本来の予算の袋以外のお金で買い物をしてしまうことになります。袋の中の金額と本来の残金が合わなくなってしまい、家計の管理ができなくなってしまいます。
また、複数の予算にわたって買い物をしたにもかかわらず、予算ごとに残金を戻すのが手間で、1つの袋からお金を出してしまうことも考えられます。この場合も、袋の中の残金で家計管理ができなくなってしまいます。
キャッシュレス決済利用にルール決めが必要
近年、買い物にキャッシュレスを利用する人が増えてきました。キャッシュレス決済では、現金のやり取りがありません。そのため、キャッシュレス決済を使ったときにそれぞれの袋の残金と本来の予算額を合わせるためのルール決めが必要です。例えば、使った金額分を袋から後日入金する、袋から事前に目安額を入金しておく、などです。
袋分け家計簿を続けるコツ
袋分け家計簿を続けるコツは、主に袋の赤字対策と袋分け方法の見直しの2つです。調整を繰り返しながら、家計の実状に合った予算分けにしていきます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
袋の赤字対策
予算が足りなくなったとき、他の袋のお金を使わずにすむ方法を検討します。一例を挙げますと、予備費用の袋を用意して、赤字になった場合は予備費の袋から補填するという方法です。このとき、いくら補填したがチェックしておくのがポイントです。
給与から袋にお金を入れる時、どの袋にいくら補填したかチェックします。もし、不規則に少しずつ、いくつかの袋に補填されているのであれば大きな問題はないと考えられます。想定外の出費が出る場合もありますので、不足分が予備費内で収まればよいくらいの気持ちでいた方がやりくりのストレスが軽減されるのではないでしょうか。
一方、特定の袋ばかり補填しているのであれば、その袋の予算が実状と比べて少ない可能性があります。節約を頑張るのも1つの方法ですが、他の袋に余裕があるのであれば、予算を組みなおすことを検討してもいいかもしれません。
袋分け方法を見直す
袋分け家計簿は、自分が管理しやすいように数を絞ったり、予算の種類分けをしたりするのがポイントです。
袋分けの種類が多いと、1回の買い物で複数の袋の予算を使う可能性が高くなり、残金を戻す手間が大きくなります。また、似た特徴を持つ袋ができてしまい、どちらの予算を使えばいいか悩んでしまう可能性もあります。
一方、袋分けの種類が少なすぎると管理が雑になってしまい、予算を守るのが難しくなる可能性があります。
管理しやすい数は、管理する人によって変わりますので、自分に合った方法を見つけることが大切です。袋が多くて管理に手間がかかるのであれば、似た特徴の袋をまとめる方法があり、費用の種類分けで予算を立てるのが難しいのであれば、期間で予算を立てる方法もあります。
また、家計の出費全てを袋分け家計簿で管理する必要もなく、一部だけでも活用できます。例えば、日常的に節約を気にする食費や日用品だけ予算を決めて袋分け家計簿で管理する、1週間の予算×5袋といった期間で管理するなどの方法があります。好きなものにお金をかけたい人は、趣味や推し活、書籍・服など、出費が大きいもの専用袋を準備してもいいかもしれません。
家計の実状に合った活用方法で家計管理を
今回は、袋分け家計簿の特徴を紹介しました。袋分け家計簿は、予算ごとの残金が一目でわかるため、家計管理のしやすい方法だといわれています。また、継続する中で、予算項目の調整や、予算額の見直しなどを行っていくため、自然に家計管理の方法が身につく方法ともいわれています。
ただ、長く続けていくには少しのコツや実情に合った調整が必要です。家計管理の1つの方法として検討してみてもいいかもしれません。
執筆者情報
黒川 一美(MILIZE提携FPサテライト株式会社所属FP)
大学院修了後、IT業界でセールスエンジニア・営業企画として働き、出産を機に退職。
家計を守る立場になり、お金との向き合い方を見つけるためFP資格を取得。
現在は独立系FP法人であるFPサテライト株式会社所属FPとして活動中。
3人の子育て中の母でもある。