FRBの姿勢から何を感じ取るか

先日、FRBが今年の利上げ回数予想をゼロに引き下げることと、9月に保有資産の縮小(金融の量的引き締め)を停止する方針を明らかにした。

詳細の説明もあるが、それらの内容よりFRBの方針やスタンスを感じ取ることの方が今後のFRBの政策を読むうえで重要ではなかろうか

筆者は、極めて現政権寄りであることを再認識した。大統領の政策の中には、世界経済をスローダウンさせるリスクがあるものがあり、米国の景気指標も黄色信号が少しずつ増えてきている状況である。そのような状況を踏まえた、株式市場の調整が再帰的に経済をさらにスローダウンさせるリスクを避けるための方針やスタンスと強く感じられた。

今後、世界経済がスローダウンしても、米国市場の大幅な調整を避けられるとすれば、相対的な米国第一主義にも貢献できるだろう。また、次期大統領選までは、株式市場の大幅な調整はなんとしても避けたいとも感じられる。

世界の多くのエコノミストや投資家が米国の景気後退を予想しているのであれば、FRBの方針やスタンスから予想されることは、むしろその景気悪化予想に対応するために素早くカード(金融緩和)を切ることであり、金利引き下げと量的緩和の再開ではなかろうか

1.米国失業率

米国失業率の改善スピードが弱くなってきており、下げ止まってしまうのか要注意である。

米国失業率 出典:FRED

 

2.米国小売売上高

上げ止まりの兆候が感じられる。

米国小売売上高 出典:FRED

 

3.住宅着工件数と住宅価格

季節要因や特殊要因があったようだが、今後も引き続き低下するのか要注意である。

なお、金利と住宅価格の低下により、好転してくる可能性も否めない。

住宅着工件数と住宅価格 出典:FRED

 

住宅価格は低下気味である。

米国住宅価格 出典:FRED

 

4.米国2年債利回りと10年債利回り

過去の経験則によると、イールドスプレッドが逆転した後に、株価が調整すると言われている。(景気悪化で、金利が下がりながら株価調整)

米国2年債利回りと10年債利回り 出典:FRED

 

米国10年債利回りー2年債利回り

米国10年債利回りー2年債利回り 出典:FRED

 

5.多くの市場参加者が慎重だとすれば

多くの市場参加者が慎重だとすれば、ロングポジションが少ないと考えられる。その場合、転売による売り圧力となるポジションが少なく、むしろ上がりやすい環境ともと考えられる。逆に考えると、売り方にとっては、買い玉が溜まっていないと売り仕掛けにくいと考えられる。

一般的に、センチメントが逆張りサインとなるのは上記のポジション状態を反映しているからと考えられるが、もし、現在多くの市場参加者が慎重であり、そこで、適切な政策が打たれれば、さらに懐疑の中を駆け上がる可能性も否定できない。

出典:https://stockcharts.com/

 

6.最も懸念されていた量的引き締めがストップされる

■投資ではなく売買

景気悪化が予想される中でも株価が上がっている。そのことを踏まえると米国株価市場の環境としては、長期的な投資環境ではなく、足の速い売買に適した環境と考えられる。

出典:FRED

GDPに対する米国債務残高の割合が増えると慎重にならざるをえないが、米国大統領選を控えていることとFRBの方針やスタンスからは、たとえ債務が増えようが状況次第では量的緩和再開のカードも素早く切ってくる可能性も考えられよう

7.フィラデルフィア半導体株価指数と5Gではなく6Gの噂

専門ではないので不確かな情報であるが、米国は6Gで主導権を取りたいという噂がある。

フィラデルフィア半導体株指数(オレンジ色)が好調で高値を抜きそうだが、ザイリンクス(ピンク色)はさらに好調に見える。

フィラデルフィア半導体株価指数 出典:ロイター

 

8.アップルとザイリンクス

バリュー投資が好きなのか?モメンタム投資が好きなのか?

アップル(オレンジ色)は、iPhone(機器販売)よりサービスに力を入れるという点で、(労働集約的でないためか)好感されている

ザイリンクス(ピンク色)は、売上拡大とともに、人員拡大も必要ではなかろうか。しかし米国の政策が絡んでいれば興味深い展開になりえそうだ。

アップルとザイリンクス 出典:ロイター

 

9.安値を買っても、高値を買っても、どこで買ってもリスク(損失)は同じにできる。

例えば、投資資金の合計が1,000万円だったとする。

常に1%のリスク(損失)しか取りたくなければ、1,000万円×1%=10万円の損切をすればその投資方針に沿っていると考えられる。

上記8.のチャートで、

ザイリンクスをブルー線の高値で買って、白線(又は白点線)で損切をする戦略を考えた場合

1%のリスク(損失10万円)しか取らない戦略であれば、

10万円÷(ブルー線価格ー白線価格)

※厳密にはスリッページを含めた各種コストも差し引く必要あり

などにより計算した株数を購入して、白線で損切というトレードが条件に沿っているだろう。

上記のように、足の速い売買であれば、高値で買っても安値で買っても、同じリスク(損失)にする戦略はあるが、リスク管理≒損失管理を実践することの方がより重要だと思われる。

 

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