ソフトバンクグループ株式会社(以下ソフトバンク)と楽天株式会社(以下楽天)、は様々な分野で比較されますが、楽天が携帯電話のキャリア事業に参入すると発表し、今後は携帯キャリアとしても比較されることになりそうです。
ソフトバンクと楽天の給与比較をするうえで以下のポイントに絞って行いたいと思います。
ポイントは4つ
- 初任給
- 年齢ごとの給与水準
- 生涯給与
- 役員報酬
サラリーマンとして一生をこの会社で過ごし、役員までに到達した場合の報酬の差を見て情報通信業界の人生の損得勘定を見ていきたいと思います。
それぞれの特徴
【ソフトバンクグループ株式会社】
ソフトバンクグループ株式会社は東京の汐留に本拠を置く1981年設立の日本の総合サービス企業です。
情報通信関連を中心に様々な事業を行っていて、プロ野球チームも持っています。
主な事業は以下の5つです。
- 国内通信事業
- スプリント事業
- ヤフー事業
- 流通事業
- アーム事業
2016年にアームを買収し、多くの携帯端末に影響を与えるようになりました。
アーム版Windows10が発表されて更なる収益の増加が見込まれます。
【楽天株式会社】
楽天株式会社は東京都世田谷区の二子玉川に本拠を置く、1997年設立の日本の総合サービス企業です。
かつてはインターネットモールである楽天市場が主体でしたが、今は様々なインターネット上のサービスや、金融事業を手がけています。サービスには以下のようなものがあります。
- EC事業
- トラベル事業
- コンテンツ配信事業
- 金融事業(クレジット、銀行、証券、保険など)
- 通信事業(ブロードバンドやMVNO)
- スポーツ事業
- エネルギー事業
世界29の国と地域でサービスを展開していてグループ利用者数は世界で10億人を超えます。
東北楽天ゴールデンイーグルス(2004年から)やヴィッセル神戸(2004年)を運営しています。
2017−2018シーズンからスペインのFCバルセロナの胸スポンサーになりました。
2017年11月に格安SIMで有名なFreetelのMVNO事業を買収し、12月には携帯電話のキャリア事業に参入すると発表しています。また2018年3月末には月額4,000円ほどで主要サービスを提供予定という報道がされています。
業績は?
業績も比べておきましょう。
【連結決算:平成29年3月(ソフトバンク)、平成28年12月(楽天)の業績】 (単位円)
ソフトバンク
|
会社
|
楽天
|
8兆9,010億 |
売上高
|
7,819億
|
8兆8,818億 |
前年
|
7,136億
|
0.2% |
対前年度比
|
9.6%
|
1兆259億 |
経常利益
|
739億
|
1兆4,263億 |
当期純利益
|
380億
|
1兆3,860億 |
包括利益
|
220億
|
14.6% |
自己資本比率
|
14.8%
|
売上高はソフトバンクが楽天を大きく上回り、その差は8兆円を超えます程です。
経常利益でもソフトバンクが楽天を上回り、その差は9,520億円です。
成長率はソフトバンクが0.2%のに対し楽天は9.6%とこちらは楽天が上回ります。
売上、利益でソフトバンク、成長率で楽天という結果になりました。
初任給
これからの就職する方のために初任給制度を掲載しておきます。 それぞれのグループ内の銀行の初任給を比較します。
【共に2017年4月実績 初任給(単位:円)】
ソフトバンク
|
学歴
|
楽天
|
250,000〜
|
博士了
|
記載なし |
235,000〜
|
修士了
|
記載なし |
220,000
|
大卒・高専卒(専攻科)
|
記載なし |
250,000
|
高専卒(本科)
|
記載なし |
ソフトバンクは総合職の場合です。
楽天は学歴による記載はなく、 227,849円です。また月40時間分の残業代込の金額が提示されています。
楽天は残業代を加えると300,000円です。
残業代抜きですと修士了ではソフトバンクが学部卒では楽天が上回ります。
差額は修士了で7,151円、学部卒で7,849円です。
年齢ごとの給与
有価証券報告書の情報から取得できる情報は以下のようになっています。
【平成29年3月(ソフトバンク)、平成28年12月(楽天)決算の比較】
従業員数(単体) | 従業員数(連結) | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与(千円) | |
ソフトバンク | 199 | 68,402 | 40.5 | 8.7 | 11,648 |
楽天 | 5,549 | 14,134 | 33.7 | 4.6 | 6,893 |
従業員数は単体では楽天が、連結ではソフトバンクが上回ります。その差は単体で5,350人、連結で54,268人です。
平均年齢はソフトバンクが6.8歳高く、勤続年数でもソフトバンクが4.1年長いです。
平均年間給与はソフトバンクが475.5万円多いです。
【年代別推定年収:単位千円】
年齢 | ソフトバンク | 楽天 | 差額(ソフトバンクベース) |
25 | 7,103 | 5,076 | 2,026 |
30 | 8,624 | 6,282 | 2,342 |
35 | 10,145 | 7,093 | 3,052 |
40 | 11,533 | 7,482 | 4,051 |
45 | 12,660 | 7,548 | 5,112 |
50 | 13,856 | 7,615 | 6,241 |
(両者とも平均年間給与は、賞与及び超過勤務手当を含みます。)
こちらからほかの企業も検索⇒企業シムラ―検索
全ての年齢層でソフトバンクが楽天を上回ります。
25歳時が一番差が小さく202.6万円、50歳時が一番差が大きく624.1万円の差があります。
これらの数値は有価証券報告書から平均年齢、平均年収等を取得し計算をしております。
給与カーブの形状等は統計局の産業別のカーブ構造を反映させております。
2社で違う業種な上、反映させている統計局のデータがソフトバンクは平成26年の物を、楽天は平成27年の物を使っているためカーブの上昇率は違う数字を使っています。
これはソフトバンクは平成29年3月の有価証券報告書のデータを使い、楽天は平成28年12月の有価証券報告書のデータを使っているためです。
生涯給与
この年収で生涯もらえる給与を計算します。
生涯給与といってサラリーマンとしての収入の総額です。
副業等一切なくこの会社からのみの収入です。
会社名 | 生涯給与 |
ソフトバンク | 4億3,126万円 |
楽天 | 2億6,394万円 |
ソフトバンクが楽天を1億6,732万円上回っています。
都内で一戸建てを狙える金額です。
役員報酬
取締役の報酬を見て、社内で成功して偉くなった場合にどれだけの報酬がもらえるのかをイメージしてください。
会社名 | 役員数 | 役員報酬 (百万円) |
役員賞与 (百万円) |
オプション (百万円) |
退職金
(百万円) |
1人あたり総報酬 (百万円) |
ソフトバンク
|
4 | 205 | 22 | 117 | 0 | 86.0 |
楽天
|
11 | 302 | 0 | 127 | 0 | 39.0 |
ソフトバンクが楽天よりも1人当たりの報酬額(年額)では4,700万円多いです。
生涯で形成する資産
生涯で形成される資産はいくらになっているかを計算してみました。
両者とも平均的な支出を一生続けたとしてどれくらいの資産が65歳、85歳のときに残っているかを推計します。
ソフトバンクの現在30歳、楽天の現在31歳の方を例に計算を行います。
結果はミライズ(人生計画システム)で計算すると以下のようになりました。
ソフトバンク | 楽天 | 差額(ソフトバンクベース) | |
65歳 | 9,796万円 | 3,113万円 | 6,683万円 |
85歳 | 7,410万円 | 1,886万円 | 5,524万円 |
65歳時にソフトバンクが6,683万円(貯蓄可能額が)上回ります。
これが85歳時は5,524万円に縮まります。
しかし両者とも安定的な老後が約束されているようです。
(当システムでは85歳でプラスになっていることを一つの目標にしています。)
しかし使いすぎや、病気、運用の失敗(シミュレーションでは預金しかつかっていません。)で大きく異なることになります。
左がソフトバンクの方、右が楽天の方です。30歳、31歳には五郎と名前がついています。(全企業共通ルール)
年齢が違うのはソフトバンクが2017年3月の、楽天が2016年12月の有価証券報告書のデータを使っているためです。
システムへ移動してほかの企業も見てみる。⇒ 企業シムラ―検索
結論
纏めると以下のような結果です
- 初任給は修士了ではソフトバンクが学部卒では楽天が上回ります。
差額は修士了で7,151円、学部卒で7,849円です。 - 平均年間給与はソフトバンクが475.5万円多いです。
- 年齢層別給与では全ての年齢層でソフトバンクが楽天を上回ります。
25歳時が一番差が小さく202.6万円、50歳時が一番差が大きく624.1万円の差があります。 - 生涯年収(従業員として)はソフトバンクが1億6,732万円多いです。
- 役員報酬はソフトバンクが1人当たりの報酬額(年額)で4,700万円多いです。
- 老後の資産額では85歳時にソフトバンクが5,524万円万円多いです。
平均年間給与、年齢層別給与、生涯年収、役員報酬、老後の資産でソフトバンクが楽天を上回りました。
そのため今回ソフトバンクの勝ちとします。
シミュライズでは今後も様々な企業の人生比較を行っていきます。
最新オリジナルニュースやジャンル別の記事については、ホームへどうぞ。