年収200万円のシングル母の場合に、子供の大学進学が可能かどうか?シミュライズでシミュレーションしてみた。
プロフィール等は、以下の通り。
プロフィール | |
母親の年齢 | 30歳 |
子供の年齢 | 2歳 |
母親の年収 | 200万円 |
退職年齢 | 60歳 |
想定退職金 | 1,470万円 |
貯蓄額 | 200万円 |
以下のケースでシミュレーションしてみた。
- ケース1:離婚した夫から養育費が支払われ、子供と2人で家賃7万円の賃貸住宅に住むケース
- ケース2:離婚した夫から養育費が支払われるが、実家に戻るケース
ケース1の場合には、離婚後4年目で破たんし、85歳時点の金融資産残高は▲2,382万円となる。ケース2の場合には、85歳時点での金融資産残高が▲309万円となり、老後に大きな不安を抱えることとなる。
それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
ケース1:離婚した夫から養育費が支払われ、子供と2人で家賃7万円の賃貸住宅に住むケースの場合
年間の収入と支出を算出すると以下の通りとなる。
収入(年間) | 支出(年間) | ||
年収(税込み) | 200万円 | 生活費 | 182万円 |
年収(手取り) | 166万円 | 保育・教育費 | 16万円 |
養育費 | 60万円 | 住居費 | 84万円 |
児童手当 | 18万円 | ボーナス支出 | 25万円 |
手取り収入合計 | 244万円 | 支出合計 | 307万円 |
子供がまだ2歳のため、児童手当が月額15,000円(3歳以降は10,000円)、養育費は大学卒業まで月額5万円とした。寡婦控除を考慮するものの税金や社会保険料を支払ったあとの総手取り収入額は244万円となる。
一方支出については、毎月の生活費152,000円、保育・教育費13,400円、家賃7万円、年間のボーナス支出25万円とした結果、年間の支出額は307万円となり、63万円の赤字となる。
子供の教育に関しては、幼稚園から高校までを公立に通わせることとし、高校2年、3年の2年間は予備校に通い(年間80万円)、大学も国立大に進学する前提で考えた場合、中学卒業までが年間43万円~70万円の赤字、高校2年、3年は予備校に通わせることもあり年間110万円の赤字となる。
大学4年間は年間54万円の奨学金を受ける前提で考えると年間収支は若干の黒字となるものの、貯蓄額200万円は離婚後3年で底をつき、4年目から子供が大学に入学するまで年間赤字が続き、赤字額は最大で820万円となる。
退職金で一時的にプラスに転じるものの、年金生活時も赤字が続き、65歳時点での金融資産残高は▲388万円、85歳時点の残高は▲2,382万円となり、生活していくことは不可能だと思われる。
【年収200万円のシングル母のキャッシュフローおよび金融資産残高】
ケース2:離婚した夫から養育費が支払われるが、実家に戻るケースの場合
そこで破たんを回避するために、仮に離婚と同時に実家に戻ったケースをシミュレーションしてみた。
その場合の収入と支出は以下の通り。
収入(年間) | 支出(年間) | ||
年収(税込み) | 200万円 | 生活費 | 206万円 |
年収(手取り) | 166万円 | 保育・教育費 | 16万円 |
養育費 | 60万円 | 住居費 | 0万円 |
児童手当 | 18万円 | ボーナス支出 | 25万円 |
手取り収入合計 | 244万円 | 支出合計 | 247万円 |
手取り収入に関しては、前述のケースと変わらないが、支出については、家賃月額7万円がゼロとなり、実家に月額2万円の光熱費を入れる前提でも年間の支出合計が247万円となり、年間3万円の赤字となる。
子供の教育費のピークとなる高校2年、3年の2年間は45万円~53万円の年間赤字となるが、退職するまでの期間で年間収支が赤字となるのはこの数回だけであり、退職するまでの期間で貯蓄額がマイナスに陥ることはない。ただし、年金生活に入ってからの年間収支は70万円以上の赤字となり、82歳時点で破たんする。
65歳時点での金融資産残高は1,271万円、85歳時点での残高は▲309万円となり、老後子供と一緒に生活するか、子供からの支援を受けるか、あるいは生活費をさらに切り詰めるか、などの対策が必要である。
【年収200万円のシングル母の実家に戻った場合のCFおよび金融資産残高】
シミュレーション結果から考察すると、年収200万円の場合には、実家に戻らないとすぐに破たんする可能性が高く、実家に戻った場合でも、老後にかなりの不安な状況となる。