エイチ・ツー・オーリテイリング株式会社(以下H2O)と株式会社セブン&アイ・ホールディングス(以下セブン&アイ)、は2016年10月6日に主に関西圏の百貨店事業とポイントサービスについて資本業務提携すると発表しました。この2社は待遇面でどう違うのか比較してみました。
H2Oとセブン&アイの給与比較をするうえで以下のポイントに絞って行いたいと思います。
ポイントは4つ
- 初任給
- 年齢ごとの給与水準
- 生涯給与
- 役員報酬
サラリーマンとして一生をこの会社で過ごし、役員までに到達した場合の報酬の差を見て小売業界の人生の損得勘定を見ていきたいと思います。
それぞれの特徴
【エイチ・ツー・オーリテイリング株式会社】
エイチ・ツー・オーリテイリング株式会社は2007年に阪急百貨店と阪神百貨店の経営統合により出来ました。
持株会社体制で傘下の百貨店事業として株式会社阪急阪神百貨店があります。
阪急百貨店は1925年設立で現在屋号として残っているのは11店舗です。
阪神百貨店は1933年設立で現在屋号として残っているのは4店舗です。
2008年に高島屋と経営統合を目指しましたが破綻しています。ですが資本業務提携は続けています。
2014年にイズミヤと経営統合しています。
事業は大きく分けて以下の4つにがあります。
- 百貨店事業
- スーパーマケット事業
- イズミヤ事業
- その他事業
【株式会社セブン&アイ・ホールディングス】
株式会社セブン&アイ・ホールディングスは株式会社セブン-イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカドー、株式会社デニーズジャパンの3社が経営統合する形で2005年に設立された日本の大手流通持株会社です。
2006年にはそごうと西武の親会社であるミレニアムリテイリングを完全子会社化し、百貨店事業にも乗り出しています。
また同年に株式会社ヨークベニマルも完全子会社化しています。
2016年には株式会社ニッセンホールディングスを子会社化しています。
総合通販サイト「オムニ7」は登録会員数が500万人を超えています。
事業は以下の7つがあります。
- コンビニエンスストア事業
- スーパーストア事業
- 百貨店事業
- フードサービス事業
- 金融関連事業
- 通信販売事業
- その他の事業
業績は?
業績も比べておきましょう。
【連結決算:平成28年3月(H2O)、6月(セブン&アイ)の業績】 (単位円)
H2O
|
会社
|
セブン&アイ
|
9,157億 |
売上高
|
6兆457億
|
8,448億 |
前年
|
6兆389億
|
8.4% |
対前年度比
|
0.1%
|
231億 |
経常利益
|
3,502億
|
141億 |
当期純利益
|
1,601億
|
50億 |
包括利益
|
1,446億
|
42.1% |
自己資本比率
|
43.6%
|
売上高はセブン&アイがH2Oを大きく上回り、その差は5兆円を超えます。
経常利益もセブン&アイがH2Oを上回り、その差は3,000億円を超えます。
成長率では共にプラス成長ですがH2Oの8.4%に対し、セブン&アイは0.1%とH2Oが上回っています。
売上、利益でセブン&アイが、成長率ではH2Oが上回ります。
初任給
これからの就職する方のために初任給制度を掲載しておきます。
【2018年度の募集要項から 初任給(単位:円)】
H2O
|
学歴
|
セブン&アイ
|
208,000
|
大学卒
|
207,000 |
募集なし
|
短大・専門卒
|
177,000 |
セブン&アイはセブンイレブンジャパンで首都圏の場合です。
H20は阪急阪神百貨店の場合です。
阪急阪神百貨店は短大・専門卒の募集はありません。
大学卒で比較した場合H2Oが1,000円上回ります。
年齢ごとの給与
有価証券報告書の情報から取得できる情報は以下のようになっています。
【平成28年3月(H2O)、6月(セブン&アイ)決算の比較】
従業員数(単体) | 従業員数(連結) | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与(千円) | |
H2O | 64 | 8,456 | 46.8 | 24.4 | 9,311 |
セブン&アイ | 545 | 53,993 | 43.9 | 18.7 | 7,167 |
従業員数は単体、連結共にセブン&アイがH2Oを大きくを上回ります。
平均年齢はH2Oが2.9歳高く、勤続年数もH2Oが5.7年長いです。
平均年間給与はH2Oが214.4万円ほど多いです。
【年代別推定年収:単位千円】
年齢 | H2O | セブン&アイ | 差額(H2Oベース) |
25 | 5,750 | 4,480 | 1,269 |
30 | 7,466 | 5,817 | 1,648 |
35 | 8,453 | 6,587 | 1,866 |
40 | 9,011 | 7,022 | 1,989 |
45 | 9,240 | 7,200 | 2,040 |
50 | 9,433 | 7,350 | 2,082 |
(両者とも平均年間給与は、賞与及び超過勤務手当を含みます。)
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全ての年齢層でH2Oがセブン&アイを上回ります。
25歳時が一番差が小さく126.9万円、50歳時が一番差が大きく208.2万円の差があります。
これらの数値は有価証券報告書から平均年齢、平均年収等を取得し計算をしております。
給与カーブの形状等は統計局の産業別のカーブ構造を反映させております。
2社で同じ業種のためカーブの上昇率は同じ数字を使っています。
生涯給与
この年収で生涯もらえる給与を計算します。
生涯給与といってサラリーマンとしての収入の総額です。
副業等一切なくこの会社からのみの収入です。
会社名 | 生涯給与 |
H2O | 3億1,895万円 |
セブン&アイ | 2億4,854万円 |
H2Oがセブン&アイを7,000万円上ほど回っています。
役員報酬
取締役の報酬を見て、社内で成功して偉くなった場合にどれだけの報酬がもらえるのかをイメージしてください。
会社名 | 役員数 | 役員報酬 (百万円) |
役員賞与 (百万円) |
オプション (百万円) |
退職金
(百万円) |
1人あたり総報酬 (百万円) |
H2O
|
8 | 130 | 48 | 53 | 0 | 28.9 |
セブン&アイ
|
12 | 204 | 63 | 149 | 0 | 34.7 |
セブン&アイがH2Oよりも1人当たりの報酬額(年額)では580万円ほど多いです。
生涯で形成する資産
生涯で形成される資産はいくらになっているかを計算してみました。
両者とも平均的な支出を一生続けたとしてどれくらいの資産が65歳、85歳のときに残っているかを推計します。
H2O、セブン&アイの現在31歳の方を例に計算を行います。
結果はシミュライザー(人生計画システム)で計算すると以下のようになりました。
H2O | セブン&アイ | 差額(H2Oベース) | |
65歳 | 5,704万円 | 5,064万円 | 640万円 |
85歳 | 3,297万円 | 4,218万円 | -921万円 |
65歳時にH2Oが640万円(貯蓄可能額が)上回ります。
これが85歳時ではセブン&アイが921万円上回ります。
これはH2Oの方がセブン&アイの方より消費が多いためです。
しかし両者とも安定的な老後が約束されているようです。
(当システムでは85歳でプラスになっていることを一つの目標にしています。)
しかし使いすぎや、病気、運用の失敗(シミュレーションでは預金しかつかっていません。)で大きく異なることになります。
左がH2Oの方、右がセブン&アイの方です。31歳には五郎と名前がついています。(全企業共通ルール)
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結論
初任給は大学卒でH2Oが1,000円上回ります。
平均年間給与はH2Oが214.4万円ほど多いです。
年齢層別平均給与は全ての年齢層でH2Oがセブン&アイを上回ります。
25歳時が一番差が小さく126.9万円、50歳時が一番差が大きく208.2万円の差があります。
H2Oの生涯年収(従業員として)はセブン&アイのそれに比べ7,000万円ほど多くなっています。
役員になってからの待遇では、年平均で580万円ほどセブン&アイが上回りました。
最後に65歳以降の資産額で比較すると、85歳時にセブン&アイがH2Oを921万円上回りました。
しかしこれはセブン&アイよりH2Oの生活が豊かなため老後に逆転しています。
平均年収、年齢層別平均給与、生涯年収でH2Oが上回りました。
そのため今回はH2Oの勝ちとします。
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