アステラス製薬株式会社(以下アステラス)と小野薬品工業株式会社(以下小野薬品)、は共に抗がん剤を開発製造している日本の製薬会社です。
アステラスと小野薬品の給与比較をするうえで以下のポイントに絞って行いたいと思います。
ポイントは4つ
- 初任給
- 年齢ごとの給与水準
- 生涯給与
- 役員報酬
サラリーマンとして一生をこの会社で過ごし、役員までに到達した場合の報酬の差を見て製薬業界の人生の損得勘定を見ていきたいと思います。
それぞれの特徴
【アステラス製薬株式会社】
アステラス製薬は2005年に山之内製薬株式会社と藤沢薬品工業株式会社が合弁し発足しました。
山ノ内製薬は1923年創立、藤沢薬品は1894年創業です。
平成25年から平成26年の売上シェアは日本で第2位です。
泌尿器領域の医薬、免疫抑制剤などを主力としています。
前立腺がんの抗がん剤イクスタンジを2012年9月から米国で販売しています。
またこのイクスタンジは乳がんへの適用拡大を目指しています。
【小野薬品工業株式会社】
小野薬品は大阪に本拠を置く日本の製薬会社です。
1717年創業で300年近い歴史があります。
医療用医薬品専業で今は家庭用医薬品は販売していません。
また自社開発品が多いことも特徴です。
がん免疫治療薬オプジーボでがん領域に参入しました。
このオプジーボは2017年2月から薬価が半額になることが決まっています。
業績は?
業績も比べておきましょう。
【連結決算:平成28年3月の業績】 (単位円)
アステラス
|
会社
|
小野薬品
|
1兆3,727億 |
売上高
|
1,603億
|
1兆2,473億 |
前年
|
1,358億
|
10.1% |
対前年度比
|
18.0%
|
2,618億 |
経常利益
|
332億
|
1,937億 |
当期純利益
|
250億
|
1,308億 |
包括利益
|
202億
|
70.0% |
自己資本比率
|
87.2%
|
売上高はアステラスが小野薬品を大きく上回り、その差は1兆2,000億円ほどです
経常利益でも、アステラスが小野薬品を上回り、その差は2,300億円ほどです。
成長率はアステラスの10.1%に対し、小野薬品は18.0%とこちらは小野薬品が上回っています。
売上や利益ではアステラスが上回りましたが、成長率では小野薬品が上回っています。
初任給
これからの就職する方のために初任給制度を掲載しておきます。
【2017年4月入社社員初任給(単位:円)】
アステラス
|
学歴
|
小野薬品
|
278,000
|
博士
|
278,000 |
244,000
|
修士
|
244,000 |
記載なし
|
学士
|
222,000 |
比較ができる博士、修士では同額です。
年齢ごとの給与
有価証券報告書の情報から取得できる情報は以下のようになっています。
【平成28年3月決算の比較】
従業員数(単体) | 従業員数(連結) | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与(千円) | |
アステラス | 5,217 | 17,217 | 42.3 | 17 | 10,687 |
小野薬品 | 2,902 | 3,116 | 40.2 | 14.6 | 8,775 |
従業員数は単体ではアステラスが2,300人ほど上回り、連結でもアステラスが14,000人ほど上回ります。
平均年齢もアステラスが2.1歳高く、勤続年数もアステラスが2.4年長いです。
平均年間給与はアステラスが190万円ほど多いです。
【年代別推定年収:単位千円】
年齢 | アステラス |
小野薬品 | 差額(アステラス ベース) |
25 | 7,017 | 6,011 | 1,006 |
30 | 8,213 | 7,035 | 1,178 |
35 | 9,200 | 7,881 | 1,319 |
40 | 10,201 | 8,738 | 1,463 |
45 | 11,118 | 9,524 | 1,595 |
50 | 11,513 | 9,862 | 1,651 |
(両者とも平均年間給与は、賞与及び超過勤務手当を含みます。)
こちらからほかの企業も検索⇒企業シムラ―検索
全ての年齢層でアステラスが小野薬品を上回ります。
25歳時が一番差が小さく100.6万円、50歳時が一番差が大きく165.1万円の差があります。
これらの数値は有価証券報告書から平均年齢、平均年収等を取得し計算をしております。
給与カーブの形状等は統計局の産業別のカーブ構造を反映させております。
2社で同じ業種のためカーブの上昇率は同じ数字を使っています。
生涯給与
この年収で生涯もらえる給与を計算します。
生涯給与といってサラリーマンとしての収入の総額です。
副業等一切なくこの会社からのみの収入です。
会社名 | 生涯給与 |
アステラス | 3億7,279万円 |
小野薬品 | 3億1,932万円 |
アステラスが小野薬品を5,300万円ほど上回っています。
役員報酬
取締役の報酬を見て、社内で成功して偉くなった場合にどれだけの報酬がもらえるのかをイメージしてください。
会社名 | 役員数 | 役員報酬 (百万円) |
役員賞与 (百万円) |
オプション (百万円) |
退職金 (百万円) |
1人あたり総報酬 (百万円) |
アステラス
|
3 | 258 | 249 | 140 |
0
|
215.7 |
小野薬品
|
7 | 235 | 39 | 23 |
0
|
42.4 |
アステラスが小野薬品よりも1人当たりの報酬額(年額)では1億7,330万円ほど多いです。
生涯で形成する資産
生涯で形成される資産はいくらになっているかを計算してみました。
両者とも平均的な支出を一生続けたとしてどれくらいの資産が65歳、85歳のときに残っているかを推計します。
アステラス、小野薬品の現在30歳の方を例に計算を行います。
結果はシミュライザー(人生計画システム)で計算すると以下のようになりました。
アステラス | 小野薬品 | 差額(アステラスベース) | |
65歳 | 9,486万円 | 8,338万円 | 1,148万円 |
85歳 | 6,535万円 | 6,296万円 | 239万円 |
65歳時にアステラスが1,148万円(貯蓄可能額が)上回ります。
これが85歳時は239万円に縮まります。
しかし両者とも安定的な老後が約束されているようです。
(当システムでは85歳でプラスになっていることを一つの目標にしています。)
しかし使いすぎや、病気、運用の失敗(シミュレーションでは預金しかつかっていません。)で大きく異なることになります。
左がアステラスの方、右が小野薬品の方です。30歳には五郎と名前がついています。(全企業共通ルール)
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結論
修士、博士共に初任給は同額です。
平均年間給与はアステラスが190万円ほど多いです。
全ての年齢層でアステラスが小野薬品を上回ります。
25歳時が一番差が小さく100.6万円、50歳時が一番差が大きく165.1万円の差があります。
アステラスの生涯年収(従業員として)は小野薬品のそれに比べ5,300万円ほど多くなっています。
役員報酬ではアステラス が小野薬品よりも1人当たりの報酬額(年額)では1億7,330万円多いです。
最後に65歳以降の資産額で比較すると、85歳時にアステラスが小野薬品を239万円上回りました。
年齢層別平均給与、平均年間給与、生涯年収、役員報酬、老後の資産でアステラスが小野薬品を上回りました。
そのため今回はアステラスの勝ちとします。
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