日立製作所とパナソニックは総合電機メーカーですが待遇面でどう違うのか比較してみました。
日立製作所とパナソニック、両社の給与比較をするうえで以下のポイントに絞って行いたいと思います。
ポイントは4つ
- 初任給
- 年齢ごとの給与水準
- 生涯給与
- 役員報酬
サラリーマンとして一生をこの会社で過ごし、役員までに到達した場合の報酬の差を見て電気機器業界の人生の損得勘定を見ていきたいと思います。
それぞれの特徴
【日立製作所】
日立製作所は日本最大の総合電機メーカーです。また大手電機8社、重電9社、大手重電3社のの一角です。
事業範囲は広範囲ですが総合路線を見直しインフラ系重視の戦略に切り替えています。
そのため一般家庭では見かける機会が減ってきています。
また海外事業を拡大しています。
電機メーカーとして以外ですと「世界ふしぎ発見!」のスポンサーとしても有名です。
【パナソニック】
37の事業部があり、社内カンパニー制をとっています。
ご存知、創業者は松下幸之助。
日本の経営者の手本として多くの経営者が未だに信奉しています。
- アプライアンス社
- エコソリューションズ社
- AVCネットワークス社
- オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社
4カンパニーで構成されています。
パナソニック電工の合弁、三洋電機を傘下に収めた現在今までメインだった家電以外の住宅、車載、BtoBソリューション、デバイスの事業領域にも力を入れています。
家電としてはAV機器、白モノ家電が主力で去年高級オーディオブランド「Technics」を復活させました。
2014年度には落ち込んでいた業績も急激に回復を見せており、今後が楽しみです。
業績は?
業績も比べておきましょう。
【26年度の業績:連結決算】 (単位円)
日立製作所
|
会社
|
パナソニック
|
9兆7,619億 |
売上高
|
7兆7150億
|
9兆5,637億 |
前年
|
7兆7365億
|
2.07% |
対前年度比
|
-0.3%
|
5,356億 |
経常利益
|
1,824億
|
2,413億 |
当期純利益
|
1,795億
|
5,251億 |
包括利益
|
4,379億
|
23.6% |
自己資本比率
|
30.6%
|
売上高では日立製作所がパナソニックを2兆450億円ほど上回っています。
経常利益でも日立製作所が大きく上回っており、日立製作所の収益力の高さがわかります。
売上の成長率でも日立製作所は前年対比で2.07%の成長を記録しているのに対し、パナソニックは前年を下回っています。
初任給
これからの就職する方のために初任給制度を掲載しておきます。
【日立製作所】
2016年4月入社社員
- 給与(2014年4月の実績)
- 高専卒:184,000円(2015年4月実績)
- 学部卒:209,000円(2015年4月実績)
- 修士了:233,500円(2015年4月実績)
- 給与改定 年1回
- 賞与 年2回(6月・12月)
- 勤務時間
- 7時間45分
※フレックスタイム制勤務制度、育児・介護短時間勤務制度など
- 7時間45分
- 休日休暇
- 完全週休2日制
- 年次有給休暇(24日)
- リフレッシュ休暇
- 出産休暇
- 育児休暇
- 配偶者出産休暇
- 介護休暇
- 家族看護休暇など
- 福利厚生
- 各種社会保険
- 財形制度
- 年金制度
- 独身寮・社宅制度
- 総合病院
- カフェテリアプラン制度など
- 諸手当
- 家族手当
- 通勤手当など
【パナソニック】
2016年4月入社社員
- 給与(2015年4月改定)
- 修士了 月給23万3000円
- 学部卒 月給20万9000円
- 昇級 : 年1回(4月)
- 賞与 : 年2回(7月、12月)
- 勤務時間
- 8時30分から17時、もしくは、9時から17時30分
- 一部フレックスタイム制度有り(標準労働時間/1日7時間45分)
- 休日休暇
- 完全週休2日制(土曜日・日曜日)
- 祝日
- 年末年始
- 夏季・年次有給・慶弔・長期節目休暇など
- (年間休日127日)
- 保険
- 雇用保険
- 労災保険
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 福利厚生
- 【制度】
- 持株制度
- 財形貯蓄制度
- 企業年金制度など
- 【施設】
- 独身寮
- 社宅
- 保養施設
- 医療施設など
- 【制度】
- 教育制度
- 新入社員研修
- 職能(職種)別・事業場別・階層別研修
- 各種社外研修
- 海外留学制度あり
大学卒、院卒共に同額です。
年齢ごとの給与
有価証券報告書の情報から取得できる情報は以下のようになっています。
【2015年度3月決算の比較】
従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与(千円) | |
日立製作所 | 31,375 | 41 | 18.4 | 8,612 |
パナソニック | 51,308 | 45.3 | 23.3 | 7,564 |
従業員数はパナソニックが日立製作所のおよそ1.67倍になります。平均年齢、平均勤続年数ともにパナソニックが高くなっています。
平均年間給与は高い収益性を反映してか、日立製作所がパナソニックより104.8万円ほど多くなっています。
【年代別推定年収 単位千円】
年齢 | 日立製作所 | パナソニック | 差額 |
25 | 5,801 | 4,753 | 1,048 |
30 | 6,789 | 5,563 | 1,226 |
35 | 7,605 | 6,232 | 1,373 |
40 | 8,433 | 6,910 | 1,523 |
45 | 9,191 | 7,531 | 1,660 |
50 | 9,517 | 7,798 | 1,719 |
(両者とも平均年間給与は、賞与及び超過勤務手当を含みます。)
こちらからほかの企業も検索⇒企業シムラ―検索
全年齢層で日立製作所が上回っています。
25歳時でおよそ104.8万円の差があり、ピーク時の50歳時ではおよそ93万円の差があります。
これらの数値は有価証券報告書から平均年齢、平均年収等を取得し計算をしております。
給与カーブの形状等は統計局の産業別のカーブ構造を反映させております。
2つとも同じ業種のためカーブの上昇率等は共通の数字を使っています。
生涯給与
この年収で生涯もらえる給与を計算します。
生涯給与といってサラリーマンとしての収入の総額です。
副業等一切なくこの会社からのみの収入です。
会社名 | 生涯給与 |
日立製作所 | 3億0,817万円 |
パナソニック | 2億5,251万円 |
日立製作所がパナソニックを5,566万円ほど上回っています。
生涯給与で5,000万円以上の差ができているのは非常に驚きです。
都市部でもそこそこの広さの分譲マンションを購入できる金額です。
役員報酬
取締役の報酬を見て、社内で成功して偉くなった場合にどれだけの報酬がもらえるのかをイメージしてください。
業績を反映して、役員報酬でも大きな差が生じているようです。
会社名 | 役員数 | 役員報酬(百万円) | 役員賞与(百万円) | オプション(百万円) | 退職金 (百万円) |
1人あたり総報酬(百万円) |
日立製作所 | 35 | 1,443 | 629 | 0 | 0 | 59.2 |
パナソニック | 17 | 640 | 144 | 176 | 0 | 56.5 |
日立製作所がパナソニックよりも1人当たりの報酬額(年額)では270万円多いです。
生涯で形成する資産
生涯で形成される資産はいくらになっているかを計算してみました。
両者とも平均的な支出を一生続けたとしてどれくらいの資産が65歳、85歳のときに残っているかを推計します。
日立製作所、パナソニックの現在30歳の方を例に計算を行います。
結果はシミュライザー(人生計画システム)で計算すると以下のようになりました。
日立製作所 | パナソニック | 差額 | |
65歳 | 6,919万円 | 4,992万円 | 1,927万円 |
85歳 | 5,641万円 | 3,810万円 | 1,831万円 |
65歳時に日立製作所が1,927万円(貯蓄可能額が)上回ります。
これが85歳時では1,831万円に縮まります。
しかし両者とも安定的な老後が約束されているようです。
(当システムでは85歳でプラスになっていることを一つの目標にしています。)
しかし使いすぎや、病気、運用の失敗(シミュレーションでは預金しかつかっていません。)で大きく異なることになります。
左が日立製作所の方、右がパナソニックの方です。30歳には五郎と名前がついています。(全企業共通ルール)
システムへ移動してほかの企業も見てみる。⇒ 企業シムラ―検索
結論
初任給は同額で始まりますが、平均年収は日立製作所がパナソニックより104.8万円多いです。
また全年齢層にわたって日立製作所がパナソニックより多いです。
日立製作所が生涯年収(従業員として)はパナソニックのそれに比べ5,566万円ほど多くなっています。
役員になってからの待遇も、年平均で270万円ほど日立製作所が上回りました。
最後に65歳以降の資産額で比較すると日立製作所の方が、65歳時も85歳時もパナソニックを上回っていて差額は最高1,927万円ほどです。
そのため今回は日立製作所の勝ちとします。
最新オリジナルニュースやジャンル別の記事については、ホームへどうぞ。