今年11月の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価上昇の影響を考慮した実質賃金は前年同月比でマイナス0.4%と減少となり、
企業の給与上昇スピードがまだまだ物価に追い付かない状況ですが、アベノミクスは大丈夫でしょうか?
また給料が実際に上昇しているのは、大企業だけで、中小企業にまだその恩恵はきていないとの声も・・・・。
厚生労働省の平成27年賃金構造基本統計調査(初任給)を使い、シミュライズで計算を行って企業規模の違いによってどれだけ生涯年収が違うか見ていきましょう。
企業規模を3つに分けたいと思います。
- 従業員1000人以上の企業を大企業、
- 100人以上999人以下を中企業
- 99人以下を小企業とします。
この3つの企業規模の給与比較をするうえで以下のポイントに絞って行いたいと思います。
ポイントは3つ
- 初任給
- 年齢ごとの給与水準
- 生涯給与
サラリーマンとして一生を同じ規模の会社で過ごし、役員までに到達した場合の報酬の差を見て企業規模による人生の損得勘定を見ていきたいと思います。
初任給
これからの就職する方のために初任給をは以下のようになっています。
【企業規模別、学歴別、初任給 平成27年度版(単位:千円)】
初任給
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修士了
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大学卒
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高専・短大卒
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高校卒
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大 企 業
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232.2 | 205.2 | 183.3 | 162.5 |
中 企 業
|
221.1 | 201.1 | 176.6 | 159.6 |
小 企 業
|
222.2 | 194.9 | 169.6 | 161.5 |
(平成27年賃金構造基本統計調査(初任給)からシミュライズ調べ)
初任給から企業規模ごとに差があります。企業規模が大きいほど初任給が高い傾向ですが、中企業と小企業の比較ですと修士了と高校卒で逆転しています。
年齢が違うこともありますが、大企業の修士了と小企業の高校卒では7万円程の差があります。
同じ学歴ですと修士了ですとあまり差がありませんが、大学卒ですと大企業と小企業で1万円ほどの差があります。
年齢ごとの給与
平成26年賃金構造基本統計調査から
企業規模ごとの従業員の平均年齢、平均勤続年数、年間給与を調べ比較してみます。
【企業規模ごとの平均の年齢、勤続年数、年間給与】
平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与(千円) | |
大企業 | 41.5 | 14.2 | 5,891 |
中企業 | 41.7 | 11.5 | 4,521 |
小企業 | 43.4 | 10.5 | 3,847 |
平均年齢は大企業と中企業は殆ど変わりませんが小企業は他より1歳以上高くなっています。
平均勤続年数は大企業が一番長く小企業が一番短くなっています。
平均年間給与は大企業が一番多く、小企業より200万円ほど多いようです。その年収差はかなり大きなものになっています。
このように比較するとやはり大企業の方が安定しているためか平均勤続年数が長く、平均年間給与も大きくなっています。
大企業と中企業で130万円以上、中企業と小企業で70万円ほど、大企業と小企業にいたっては200万円以上も違います。
会社規模の違いでかなりの年収の差があることがこの統計から理解できます。
【年代別推定年収 単位千円】
年齢別年収
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大企業
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中企業
|
小企業
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差額:大-中
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差額:大-小
|
差額:中-小
|
25歳
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4,308 | 3,625 | 3,153 | 682 | 1,155 | 473 |
30歳
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5,017 | 4,430 | 3,614 | 587 | 1,403 | 815 |
35歳
|
5,776 | 4,606 | 3,999 | 1,170 | 1,778 | 607 |
40歳
|
6,408 | 5,052 | 4,240 | 1,356 | 2,167 | 812 |
45歳
|
7,276 | 5,358 | 4,318 | 1,918 | 2,959 | 1,041 |
50歳
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7,672 | 5,471 | 4,400 | 2,200 | 3,271 | 1,071 |
(平均年間給与は、賞与及び超過勤務手当を含みます。)
こちらからほかの企業も検索⇒企業シムラ―検索
年齢別で見てみると全年齢層で大企業が中企業を、中企業が小企業を上回っています。
大企業と小企業では25歳時でおよそ115.5万円の差があり、ピーク時の50歳時では327.1万円の差があります。
大企業と小企業の差はかなり大きく、年を経るごとに大きくなっていくことがわかります。
これらの年収は平成26年賃金構造基本統計調査から平均年齢、平均年収等を取得しております。
生涯給与
この年収で生涯もらえる給与を計算します。生涯給与といってサラリーマンとしての収入の総額です。副業等一切なくこの会社からのみの収入です。
会社規模 | 生涯給与 |
大企業 | 2億1,264万円 |
中企業 | 1億5,931万円 |
小企業 | 1億3,449万円 |
中企業と小企業の差は2,482万円ほどで、大企業と中企業の差は5,333万円です。
大企業と小企業の差は7,765万円ともなり、新築分譲マンション一部屋分とも言えるほどの差があります。
企業規模によってかなり大きな差が出ます。
平均支出額と増税と
大企業につとめている世帯と中小企業に勤めている世帯のの一般的な平均支出額を提示します。
企業規模により各家庭の支出がどれだけ違うかご確認ください。
【企業規模による各世帯の一月の平均支出額(単位:円)】
大企業 | 中小企業 | 差額 | |
食料 | 62,718 | 53,975 | 8,743 |
住居 | 18,911 | 20,965 | -2,054 |
光熱・水道 | 22,465 | 20,630 | 1,835 |
家具・家事用品 | 9,368 | 7,570 | 1,798 |
被服及び履物 | 10,431 | 7,562 | 2,869 |
保健医療 | 9,612 | 8,435 | 1,177 |
交通・通信 | 44,148 | 33,462 | 10,686 |
教育 | 11,932 | 7,770 | 4,162 |
教養娯楽 | 24,137 | 16,671 | 7,467 |
その他の消費支出 | 51,072 | 37,893 | 13,179 |
合計 | 264,794 | 214,935 | 49,859 |
大企業の世帯と中小企業の世帯では平均支出額が月ごとに5万円近く違うことが解ります。
食料費は1日換算すると約290円となります。やはり大企業に勤めている世帯の方がいい物を食べているということでしょうか。
また消費税が10%になった時どうなるかも御覧ください。
大企業 | 中企業 | 小企業 | |
増税の影響(月額) | 2,977円 | 2,452円 | 2,183円 |
増税の影響(年額) | 35,724円 | 29,424円 | 26,196円 |
手取りに対する割合 | 1.03% | 1.001% | 1.02 |
やはり大企業の方が支出が多いためか金額ベースでは影響が大きいですが、手取りに対する割合を見るとどれも大きな違いはないと言えます。
生涯で形成する資産
生涯で形成される資産はいくらになっているかを計算してみました。
両者とも平均的な支出を一生続けたとしてどれくらいの資産が65歳、85歳のときに残っているかを推計します。
大企業、中企業、小企業それぞれの規模の会社につとめてい現在32歳の方を例に計算を行います。
結果はシミュライザー(人生計画システム)で計算すると以下のようになりました。
年齢
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大企業
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中企業
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小企業
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差額:大-中
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差額:大-小
|
差額:中-小
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65歳
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4,695万円 | 4,198万円 | 3,765万円 | 497万円 | 930万円 | 433万円 |
85歳
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5,312万円 | 5,210万円 | 5,020万円 | 102万円 | 292万円 | 190万円 |
65歳時に大企業が小企業を930万円(貯蓄可能額が)上回っています。
これが85歳時では292万円と縮まります。
やはり大企業のほうが老後の資産が多いですが、小企業との差は65歳時に比べると85歳時はやや小さくなります。
これは退職前の支出の差の割合がそのまま反映されているためです。
しかし両者とも安定的な老後が約束されているようです。
(当システムでは85歳でプラスになっていることを一つの目標にしています。)
しかし使いすぎや、病気、運用の失敗(シミュレーションでは預金しかつかっていません。)で大きく異なることになります。
システムへ移動してほかの企業も見てみる。⇒ 企業シムラ―検索
結論
初任給で月に1万円、年で12万円の差
25歳時の年収で100万円以上の差でこれは世界一周旅行も出来る金額
50歳時では年収で300万円以上の差でこれはいい新車を買える金額
毎年これだけの差がでます。
そしてこの差が積もった生涯年収の差は7,000万円と新築の分譲マンション一部屋分を一括で買うことが出来る金額になります。
また大企業と小企業の65歳時の資産残高は930万円です。普段から大企業が小企業より裕福な生活をしていても、です。
これだけの金額差が企業規模の差によって出てきます。
企業規模による差を見てきましたが、やはり大企業に勤めている世帯の方が裕福な生活を送ることが出来ると言えます。
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