住友不動産と三井不動産は日本を代表する不動産会社の2社ですが、
待遇面ではどう違うのか両社の比較を今回は試みたい。
ポイントは4つ
- 初任給
- 年齢ごとの給与水準
- 生涯給与
- 役員報酬
サラリーマンとして一生をこの会社で過ごし、役員までに到達した場合の報酬の差を見て商社人生の損得勘定を見ていきたいと思います。
何の会社?
【住友不動産】
- 昭和24年12月1日設立
- 資本金 約1,228億円(平成27年3月31日現在)
- 本社:東京都新宿区、新宿NSビル
- 従業員数11,855名(平成27年3月31日現在・連結)
- 売上高806,835百万円 (平成27年3月期・連結)
住友直径企業グループの中核企業の一つで、新宿に本社を置く不動産会社、総合デベロッパーです。
東京を中心にオフィスビル、高層マンションを開発していて、2014年のマンション販売戸数ランキング1位です。
以前取り上げたワールドシティタワーズも手がけています。
関連LINK:ストレス解消には日常と非日常どちらがお得? 豪華マンションか豪華ホテルか?
住友不動産は基本使命に以下を定めています。
「より良い社会資産を創造し、それを後世に残していく」
また行動指針を以下のように定めています。
- 快活な気風・・・率直な提言
- 高い目標・・・・現状の改革
- 新しい発想・・・新分野の開拓
- コンプライアンスの実践
- 反社会的勢力との関係遮断
- ステークホルダーとの信頼関係持続
- 環境の保全
住友不動産グループの営業利益の内訳は以下のようになっています。
不動産の賃貸と販売が88%を占めています。
【三井不動産】
- 設立:昭和16年7月15日
- 資本金:約3,397億円
- 本社:東京都中央区、日本橋三井タワー
- 従業員数:16,799名(平成27年3月31日現在・連結)
- 売上高:1,529,036百万円(平成27年3月期実績)
三井グループの中核企業の一つで、日本橋室町に本社を置く不動産会社、デベロッパーです。
霞ヶ関ビルディングなどのオフィスビル、ショッピングセンター「ららぽーと」、アウトレットモール「三井アウトレットパーク」、ホテル、住宅など幅広く事業展開をしています。
また関連会社にオリエンタルランドがあり東京ディズニーリゾートを運営しています。
近年では日本橋周辺の再開発を進めていて、東急百貨店日本橋店跡地にCOREDO日本橋を東急不動産とオープンさせ、三越前にCOREDO室町をオープンさせています。
また六本木の防衛庁跡地に東京ミッドタウンをオープンさせています。
住宅では2013年のマンション販売戸数ランキングで1位になっていて2014年は首位を住友不動産に奪われ4位に落ちています。
三井不動産グループは成長戦略として以下の8つを上げています
- 街づくりの推進
- オフィスビル事業の進化
- 商業施設事業の更なる展開
- 物流施設事業の拡大
- 住宅事業の競争力強化
- ホテル・リゾート事業の拡大
- 投資家共生モデルの推進
- 海外事業の飛躍的な成長
三井不動産グループの営業利益の内訳は以下のようになっています。
住友不動産に比べて賃貸の割合は少ないですがマネジメントの割合が大きいのが目立ちます。
業績は?
業績も比べておきましょう。
【26年度の業績(連結)】 (単位円)
住友不動産 | 会社 | 三井不動産 |
8,068億 | 売上高 | 1兆5,290億 |
7,802億 | 前年 | 1兆5,152億 |
3.4% | 対前年度比 | 0.9% |
1,390億 | 経常利益 | 1,633億 |
805億 | 当期純利益 | 1,001億 |
1,378億 | 包括利益 | 2,907億 |
18.4% | 自己資本比率 | 36.9% |
売上高では三井不動産が住友不動産を7,000億円以上と大きく上回っています。
しかし成長率では住友不動産が3.4%と上回っています。
不動産市況がオリンピックにむけて上向いてくるとまだまだ成長の余地はありそうですね。
初任給
すでに社員の方は昔と今では少し違うかもしれませんが、これからの就職する方のために初任給制度を掲載しておきます。
【住友不動産】
2016年4月入社社員
総合N職
- 給与(2015年4月入社実績)
- 院 卒 月給246,000円
- 学部卒 月給220,000円
- 平均年収
- 28歳 754万円
- 33歳 1,059万円(各種手当てを含めない)
- 昇級 : 年1回(4月)
- 賞与 : 年2回(6月,12月)
- 勤務時間
- 9:15〜17:40
- 休日休暇
- 休日
- 土曜・日曜。祝日
- 年末年始
- 年次有給休暇20日(初年度16日、忌引き休暇など)
- 休日
- 社会保険
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 労災保険
- 雇用保険
- 福利厚生
- 独身寮
- 社宅
- 保養所
- グラウンド
- クリニック
- フィットネスクラブ
- 資格取得支援
- 退職年金
- 財形貯蓄
- 持株会など
【三井不動産】
2016年4月入社社員
- 給与(2014年4月実績)
- 院了 月給250,000円
- 大学卒 月給210,000円
- 賞与 : 年2回
- 昇級:年1回(4月)
- 勤務時間
- 9:00~17:30
- フレックスタイム制度あり
- 休日
- 完全週休2日制(土曜日・日曜日)
- 祝日
- 年末年始
- (年間休日121日:2013年度実績)
- 休暇
- 有給休暇
- 夏季休暇
- 結婚休暇
- 慶弔休暇など
- 福利厚生
- 住宅融資制度
- 従業者持株会制度
- 独身寮(東京)
- カフェテリアプラン ほか
- 教育制度
- 新入社員研修
- 若手グローバル研修
- フォローアップ研修
- 階層別研修など
- その他/海外トレーニー制度(短期・長期)
- 資格取得奨励
- 通信教育費用補助など
初任給は大卒では住友不動産が10,000円高く、院卒では三井不動産が4,000円高いようです。
三井不動産のカフェテリアプラン気になります!
年齢ごとの給与
有価証券報告書の情報から取得できる情報は以下のようになっています。
【2015年度3月決算の比較(単体)】
従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与(千円) | |
住友不動産 | 5,188 | 42.13 | 6.50 | 6,382 |
三井不動産 | 1,349 | 41.10 | 12.30 | 11,217 |
従業員数は単体だと住友不動産が三井不動産の3倍以上います。
ですが、これが連結になると住友不動産が11,855人の三井不動産が16,799人と逆転します。
平均年齢はあまり変わりませんが、平均勤続年数は三井不動産が5.8年長くなっています。
そして平均年間給与は三井不動産が500万円近く上です。
年齢ごとの推定給与は以下の通りです。
【推定年収 単位千円】
年齢 | 住友不動産(A) | 三井不動産(B) | 差額(B)-(A) |
25 | 4,036 | 7,215 | 3,179 |
30 | 5,077 | 9,077 | 4,000 |
35 | 5,606 | 10,022 | 4,416 |
40 | 6,140 | 10,977 | 4,837 |
45 | 6,288 | 11,241 | 4,953 |
50 | 6,059 | 10,832 | 4,773 |
(両者とも平均年間給与は、賞与及び超過勤務手当を含みます。)
こちらからほかの企業も検索⇒企業シムラ―検索
全年齢層で大きく三井不動産が上回っています。
25歳時でおよそ317.9万円の差があり、ピーク時の45歳時ではおよそ495.3万円の差になります。
(これらの数値は有価証券報告書から平均年齢、平均年収等を取得し計算をしております。)
これだけ差が大きいのも驚きです。
給与カーブの形状等は統計局の産業別のカーブ構造を反映させております。
2つとも同じ業種のためカーブの上昇率等は共通の数字を使っています。
競い合っている両者だけあって給与もほぼ同じような水準となっています。
生涯給与
この年収で生涯もらえる給与を計算します。
生涯給与といってサラリーマンとしての収入の総額です。
副業等一切なくこの会社からのみの収入です。
会社名 | 生涯給与 |
住友不動産 | 2億1,206万円 |
三井不動産 | 3億7,911万円 |
三井不動産が住友不動産を大きく上回り、1億6,705万円の差額となりなす。
これは数十年の差異としてはかなり大きい方です。
如何に互いがライバルとして認識し、給与レベルで同水準を保つことで、より優秀な人材を獲得したいと戦っていることを知る指標でもあります。
役員報酬
最後に経営の責任を担う取締役の報酬を見て、大成功して偉くなった場合にどれだけの報酬がもらえるのかをイメージしてください。
会社名 | 役員数 | 役員報酬(百万円) | 役員賞与(百万円) | オプション(百万円) | 1人あたり総報酬(百万円) |
住友不動産 | 10 | 1,266 | 0 | 0 | 126.6 |
三井不動産 | 8 | 454 | 290 | 75 | 102.4 |
単純計算では住友不動産が三井不動産を上回りますが、住友不動産の役員報酬は全額支払われるのではなく全体の5割ほどが支払われます。
残りの5割ほどは取締役が退任したときの退職金、将来業績悪化による取締役報酬の減少補填、退任後に相談役や顧問等に就く者に支給する給与などへの備えとして、支払いを留保しています。
そのため一人あたりの報酬も半額とし6,330万円としてます。その結果2015年度は三井不動産が住友不動産よりも1人当たりの報酬額では3,910万円多いです。
ここでも大きく差がついています。
生涯で形成する資産
生涯で形成される資産はいくらになっているかを計算してみました。
両者とも平均的な支出を一生続けたとしてどれくらいの資産が65歳、85歳のときに残っているかを推計します。
住友不動産、三井不動産の現在30歳の方を例に計算を行います。
結果はシミュライザー(人生計画システム)で計算すると以下のようになりました。
住友不動産 | 三井不動産 | 差額 | |
65歳 | 2,619万円 | 7,148万円 | 4,529万円 |
85歳 | 806万円 | 2,630万円 | 1,824万円 |
65歳時に三井不動産が住友不動産を4,529万円上回ります。
これが85歳時では1,824万円に縮まります。
これは退職後の年金収入差は大きくありませんが、両者の支出は退職前の収入を基準にしていて、その比率が変わっていないため、退職後の期間は三井不動産の収支は住友不動産のの収支よりも悪くなるからです。
しかし両者とも安定的な老後が約束されているようです。
(当システムでは85歳でプラスになっていることを一つの目標にしています。)
しかし使いすぎや、病気、運用の失敗(シミュレーションでは預金しかつかっていません。)で大きく異なることになります。
左が住友不動産の方、右が三井不動産の方です。30歳には五郎と名前がついています。(全企業共通ルール)
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結論
三井不動産が生涯年収(従業員として)は1億6,705万円ほど多いようです。
また役員になってからの待遇も平均で3,910万円ほど三井不動産の方が多かったです。
最後に65歳以降の資産額で比較すると三井不動産の方が65歳時も85歳時も住友不動産を上回っていて差額は65歳時で4,529万円ほど、85歳時で1,824万円ほどになります。
そのため常に報酬が高い三井不動産の勝ちとします。
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