三菱UFJフィナンシャル・グループ、民間の最大金融グループとGDP世界第3位の国、日本の中央銀行ですが、そこで働く人々が待遇面ではどう違うのか見てみました。
比較するポイントは以下の4つです。
- 初任給
- 年齢ごとの給与水準
- 生涯給与
- 役員報酬
サラリーマンとして一生をこの対象の会社で勤務し、役員までに到達した場合の報酬の差を見て銀行マンの損得勘定を見ていきたいと思います。
どんな金融機関?
民間銀行と中央銀行という差はありますが、銀行員の中でも超エリート集団といえます。
【三菱UFJフィナンシャル・グループ】
国内最大の金融グループで、商業銀行・信託銀行・証券会社をはじめ、カード会社、消費者金融会社、リース会社、資産運用会社などが一体となり、さまざまな金融サービスを提供しています。
傘下には三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ証券ホールディングス、三菱UFJニコスなどを抱えています。
2015年3月期決算では国内の金融グループとしては初めて純利益が1兆円を超えました。
【日本銀行】
日本銀行は1882年に設立された日本の中央銀行です。以下のような出資関係になっています。
区 分 | 出 資 金 額 | 構成比(%) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
政 府 | 55,008 | 55.0 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
個 人 | 40,099 | 40.1 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
金 融 機 関 | 2,199 | 2.2 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
公共団体等 | 171 | 0.2 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
証 券 会 社 | 23 | 0.0 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
その他法人 | 2,496 | 2.5 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
民間等計 | 44,991 | 45.0 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
合 計 | 100,000 | 100.0 |
(出典:26年度業務概況書)
日本銀行は銀行券、つまりお札を独占的に発行します。 (硬貨は国が発行しています。)
銀行の銀行として民間金融機関との預金・貸出取引や債券・手形の売買などを行っています。
また政府の銀行として、政府の預金を預かり、国庫金、国債、外国為替に関する業務を行います。
これらの業務を通じて物価や金融システムの安定を目的とし運営されています。
黒田総裁下の日銀はアベノミクスにおいても前代未聞の緩和政策で一役買っています。
業績は?
中央銀行と民間銀行なの直接比較することはできないのですが、収益がなければ従業員の給与も払えないので業績も比べておきましょう。
【26年度の業績】
会社 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 日本銀行 |
経常収益 | 5兆6,384億円 | 2兆782億円 |
前年 | 5兆1,761億円 | 1兆5,793億円 |
対前年度比 | 8.9% | 31.5% |
経常利益 | 1兆7,130億円 | 1兆7,137億円 |
当期純利益(日銀は当期剰余金) | 1兆338億円 | 1兆90億円 |
包括利益 | 3兆4,552億円 | - |
自己資本率 | 5.4% | 8.20% |
- 三菱UFJフィナンシャル・グループは連結決算
- 三菱UFJフィナンシャル・グループの「自己資本比率」は、(期末純資産の部合計-期末新株予約権-期末少数株主持分)を期末資産の部合計で除して算出しております。
経常収益では三菱UFJフィナンシャル・グループが日本銀行のほぼ2倍になっていますが、経常利益では。ほぼ同じになっています。
初任給
これからの就職する方のために初任給制度を掲載しておきます。
【三菱UFJフィナンシャル・グループ】
2015年4月入社社員
- 給与
- 総合職・総合職(特定)
- 修士了:月給23万円
- 大学卒:月給20万5,000円
- アソシエイト職
- 修士了:月給22万円
- 大学卒:月給19万5000円
- 専門・短大卒:月給17万5000円
- 総合職・総合職(特定)
- 昇級 : 規定による
- 賞与 : 年2回
- 勤務時間 : 8時40分〜17時10分(特定日 8時40分〜17時30分)
- 休日 : 完全週休2日制(土曜日、日曜日)、祝日、年末年始、特別休日※2014年度年間休日:125日
- 休日休暇 : 原則、完全週休2日制(土・日)、祝日、年末年始等。有給休暇制度あり
- 諸手当 : 通勤交通費実費支給、昼食費補助 等
- 教育制度
- 社員研修 : 新入行員から経営層まで一人ひとりのCDP(Career Development Plan)にあわせ階層別および業務別に高度な専門性を身に付けることのできる内容を用意
- 外部派遣
- 海外留学生(ハーバード大学・スタンフォード大学・マサチューセッツ工科大・ノースウエスタン大・カリフォルニア大等)
- 国内留学生(慶應義塾大学大学院経営管理研究科[MBAプログラム]等)
- 海外若手派遣(ヨーロッパ・南米・アジア等の各国の大学、語学学校で語学を習得した後、当該拠点で業務を行う)等
【日本銀行】
2016年4月入社社員
- 給与(2014年実績)
- 院卒
- 総合職 23万460円
- 特定職 22万5,450円
- 一般職 22万440円
- 大卒
- 総合職 20万5,410円
- 特定職 20万400円
- 一般職 19万5,390円
- 短卒 17万5,350円 (※コースによる違いはありません)
- 院卒
- 賞与 : 年2回(ただし1年目は年1回)
- 勤務時間
- 原則8時50分~17時20分(部署によってフレックスタイム制あり)
- 休日休暇
- 休日
- 完全週休2日(土・日曜日)
- 1月2日・3日および12月31日
- 国民の祝日に関する法律に規定する休日
- 休暇
- 有給(10日~21日)
- 特別(慶弔、リフレッシュ休暇など)
- 休日
- 海外勤務
- 海外駐在員事務所勤務
- IMF、BIS等国際機関への派遣など
総合職では院卒も大卒も初任給はほぼ同じです。
優秀な人材をとるためにも同じレベルを保っているようです。
年齢ごとの給与
有価証券報告書の情報から取得できる情報は以下のようになっています。日本銀行については「日本銀行の役職員の報酬・給与等について」を参考にしています。
【2015年度3月決算の比較】
従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与(千円) | |
三菱UFJフィナンシャル・グループ | 108,153 | 40.0 | 15.9 | 11,132 |
日本銀行 | 3,938 | 43.3 | 不明 | 8,029 |
日銀の給与統計値は以下のようになっています。今回は常勤職員の平均年齢、平均給与を使用して計算しました。
日本銀行の職種別支給状況
区分 | 人員 | 平均年齢 | 平均給与 |
常勤職員 | 3,938 | 43.3 | 8,029 |
指定職相当職員 | 43 | 53.0 | 19,212 |
事務・技術 | 3,543 | 42.5 | 8,082 |
研究職種 | 該当なし | - | - |
教育職種 | 該当なし | - | - |
その他職種 | 352 | 49.7 | 6,122 |
(出典:日本銀行の役職員の報酬・給与等について)
従業員数は三菱UFJフィナンシャル・グループ全体の従業員数は日本銀行のおよそ27倍にものぼります。平均年齢は3歳ほど日銀が高くなっています。 平均年間給与は三菱UFJフィナンシャル・グループが日本銀行より300万円ほど高くなっています。
年齢ごとの推定給与は以下の通りです。
【年代別推定年収 単位千円】
年齢 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 日本銀行 | 差額 |
25 | 6,431 | 4,316 | 2,115 |
30 | 8,299 | 5,570 | 2,729 |
35 | 9,879 | 6,630 | 3,249 |
40 | 11,132 | 7,471 | 3,661 |
45 | 12,419 | 8,335 | 4,084 |
50 | 12,629 | 8,475 | 4,154 |
(両者とも平均年間給与は、賞与及び超過勤務手当を含みます。)
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全年齢層で三菱UFJフィナンシャル・グループが上回っています。
25歳時でおよそ200万円強の差があり、ピーク時の50歳時ではおよそ400万円以上の差があります。
給与カーブの形状等は統計局の産業別のカーブ構造を反映させております。
2つとも同じ業種(銀行業)のためカーブの上昇率等は共通の数字を使っています。
日本銀行は特殊な金融機関であるため民間の金融機関とは違いがあるものの、民間とのバランスをとって給与体系を作成するため、平均的には近くなって行くと思われます。
生涯給与
この年収で生涯もらえる給与を計算します。生涯給与といってサラリーマンとしての収入の総額です。副業等一切なくこの会社からのみの収入です。
会社名 | 生涯給与 |
三菱UFJフィナンシャル・グループ | 3億9,593万円 |
日本銀行 | 2億7,212万円 |
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三菱UFJフィナンシャル・グループが日本銀行を1億2,381万円ほど上回っています。
役員報酬
取締役の報酬は以下のようになっています。取締役の報酬はその役職・責任に対する対価であると同時に、企業の業績にも大きく左右されます。
会社名 | 役員数 | 役員報酬 (百万円) |
役員賞与 (百万円) |
退職金 (百万円) |
オプション (百万円) |
1人あたり総報酬(百万円) |
三菱UFJフィナンシャルグループ | 16 | 652 | 174 | 51 | 145 | 63.9 |
日本銀行 | 21 | 290 | 133 | 35 | 0 | 21.8 |
三菱UFJフィナンシャル・グループが日本銀行よりも1人当たりの報酬額では4,210万円多くなっています。
三菱UFJフィナンシャル・グループでは報酬が1億円をこす役員が3人います
生涯で形成する資産(貯金可能額)
生涯で形成される資産はいくらになっているかを計算してみました。
両者とも平均的な支出を一生続けたとしてどれくらいの資産が65歳、85歳のときに残っているかを推計します。
三菱UFJフィナンシャル・グループ、日本銀行の現在30歳の方を例に計算を行っています。
結果はシミュライザー(人生計画システム)で計算すると以下のようになりました。
三菱UFJフィナンシャル・グループ | 日本銀行 | 差額 | |
65歳 | 10,155万円 | 6,050万円 | 4,105万円 |
85歳 | 7,064万円 | 4,175万円 | 2,889万円 |
65歳時に三菱UFJフィナンシャル・グループが3,942万円上回ります。
これが85歳時では2,831万円に縮まります。
しかし両者とも安定的な老後が約束されているようです。
(当システムでは85歳でプラスになっていることを一つの目標にしています。)
しかし使いすぎや、病気、運用の失敗(シミュレーションでは預金しかつかっていません。)で大きく異なることになります。
左が三菱UFJフィナンシャル・グループの方、右が日本銀行の方です。30歳には五郎と名前がついています。(全企業共通ルール)
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結論
三菱UFJフィナンシャル・グループが生涯年収(従業員として)は1億2,381万円ほど多いです。
役員になってからの待遇は平均で4,210万円ほど三菱UFJフィナンシャル・グループの方がよかったです。
生涯年収でも役員報酬でも老後の資産でも三菱UFJフィナンシャル・グループが上回る結果となりました。
この分析は平均的な社員の比較で出世できるかどうかで大きく年収は変化します。
また若いうちからの運用やこまめな節約により将来は大きく変わってくることをぜひシミュレーションで体感してみてください。
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