【収入】【支出】3月の消費者物価、家計調査、賃金動向~物価指数は上がるも、家計消費や実質賃金は下がる~
総務省が発表した3月の全国消費者物価指数は103.3 (2010年を100とする)、前年同月比が2.3%となり、22か月連続でプラスとなりました。 消費者物価の上昇が続いていますが、原油価格の下落などを受けてペースは鈍化してきています。
ここでは、家計調査による世帯の消費と実収入の動向とあわせて確認しておきます。
消費者物価ってなに? というギモンについは、ぜひ下記を覧ください。
全国消費者物価指数 2015年3月
総務省による5/1 公表、2015年3月の全国消費者物価指数の動向は以下のようになっています。
- 総合指数は2010年(平成22年)を100として103.3
前月比は0.4%の上昇 前年同月比は2.3%の上昇
- 生鮮食品を除く総合指数は102.5
前月比は0.4%の上昇 前年同月比は2.2%の上昇
- 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は100.3
前月比は0.4%の上昇 前年同月比は2.1%の上昇
【 全国消費者物価指数 直近の前年同月比変化(%)】
2014年12月 | 2015年 1月 |
2月 | 3月 |
|
総合 | 2.4 | 2.4 | 2.2 | 2.3 |
生鮮食品を除く総合 | 2.5 | 2.2 | 2.0 | 2.2 |
食料及びエネルギーを除く総合* | 2.1 | 2.1 | 2.0 | 2.1 |
* 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合
(注)総務省資料よりシミュライズまとめ
月次の推移をみると、2013年後半以降、着実な上昇をつづけてきましたが、昨年秋以降の原油価格の下落などをうけ、総合、生鮮食品を除く総合指数は前年同月比の伸び率が急速に鈍化していることがわかります。
日銀は消費税率引き上げが2014年度の消費者物価に与える影響を前年同月比2.0%と試算しており、これを考慮すると、生鮮食品を除く総合指数は昨年4月の消費税増税後はじめて、消費税の影響を除いたベースで伸び率がゼロとなりました。
原油価格の影響を受けたガソリン・灯油や家庭用耐久財が下落しており、一方、電気代・ガス代や生鮮食品を除く食料の上昇が目立ちます。
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つづいて、同じ1日発表の家計調査報告で、個人の消費の動向をみてみましょう。
家計調査報告(総務省統計局)-2015年3月
全国の世帯を対象に家計の状況を抽出調査している2015年3月の家計調査報告は以下のようになっています。
- 消費支出は, 1世帯当たり 317,579円 (二人以上世帯)
- 前年同月比 実質 10.6%の減少
- 前年同月比 名目8.1%の減少
- 消費支出(除く住居等)は, 1世帯当たり 268,171円
- 前年同月比 実質9.6%の減少
- 前年同月比 名目7.1%の減少
- 勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり 449,243円
- 前年同月比 実質0.3%の減少
- 前年同月比 名目2.5%の増加
【家計調査(二人以上の世帯) 消費支出の前年同月比増減率の推移】
消費は2014年春の消費税増税以降、実質ベースでいまだ前年比マイナス圏。前月よりマイナス幅が大きく拡大しました。これは前年の3月が消費税増税前の駆け込み需要のピークだっためその反動が出た形です。
【家計調査 勤労者世帯の実収入の前年同月比増減率の推移】
物価上昇を除いた実質ベースではまだマイナス圏、消費を控える様子が伝わります。 直近の春闘では給料アップの回答が増えているようですが、今後中小企業を含めて全国的な家計収入アップにつながっていくのか注目していきたいところです。
主要企業の春闘回答速報については、下記記事をご覧ください。
賃金動向 (毎月勤労統計調査) 2015年3月
厚生労働省により1日に公表された3月の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価上昇の影響を考慮した実質賃金は前年同月比でマイナス2.6%となりました。 このところ名目上の賃金は増加しているものの、物価の上昇に追いついていない状況です。詳細を確認しておきましょう。
毎月勤労統計調査による。3月の賃金動向(速報値)をみてみましょう。
- 3月の一人当たり現金給与総額は274,924円となり、前年同月比で0.1%増
そのうち、一般労働者は0.5%増、パートタイム労働者は0.6%増
- 所定内給与は239,2790円と、前年同月比0.3%増、所定外給与は2.3%減の19,681円
- きまって支給する給与(定期給与)は259,471円と、前年同月比0.1%増
一方で、
- 物価を考慮した実質的な賃金をあらわす実質賃金は、前年同月比でマイナス2.6%となっています。
【名目賃金指数と実質賃金指数の前年比変化】
グラフでも見られるように、2014年に入って以降名目上の賃金は前年対比でのびています。一方で、 特に2014年に入ってから物価上昇がかなり大きく なっており (下記リンクより、全国消費者物価指数の動向ご参照)、物価の上昇に賃金の伸びが追いついていない状況です。
実質的な賃金は下落し、生活はより苦しくなっていることがここからも伺えます。
【支出】【収入】消費者物価、1月も上昇つづく。実収入は減少し、消費は伸びず。
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続いて、より長期的な動向をみてみましょう。
下記は2001年以降の年毎の実質賃金の前年比変化率です。
(注)厚生労働省資料よりシミュライズまとめ、現金給与総額(事業所規模5人以上)の前年比変化
2012年以降マイナス圏にあり、特に2014年については、リーマンショック・金融危機の起こった2008年に匹敵するような実質ベースの賃金下落となっています。
シミュライズでは、今後も物価、賃金の動向を追っていきます。
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