【人生設計】東大、慶應、早稲田、どこを目指す? - 大学別の生涯給与と大学までの教育費はどのくらい違う?

2021/08/19

国立大学トップの東京大学、一方、私立大学の双璧、慶應義塾大学早稲田大学
これらの大学を卒業した場合、平均像として得られる生涯給与に違いはある? また、そもそもこれらの大学を卒業するまでにかかる親の教育費はどのくらい違うのでしょうか?

 

今回は、各大学の就職先ランキング(学部卒業生)企業データと典型的な進学パターンを考え、こうしたギモンについて見ていきたいと思います。

 

大学卒業者 就職先上位企業ランキング 2013年度 (民間企業)


まず、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、それぞれの大学の学部卒業者(2013年度)の民間企業への就職先上位ランキング。(上位20社)を見てみましょう。

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【東京大学】

順位

企業名

業種

人数

1

三菱東京UFJ銀行

銀行業

31

2

三井住友銀行

銀行業

23

3

みずほフィナンシャルグループ

銀行業

22

4

三菱商事

総合商社

17

5

三井物産

総合商社

16

6

住友商事

総合商社

15

7

農林中央金庫

その他金融業

12

8

丸紅

総合商社

11

9

NHK

放送業

10

伊藤忠商事

総合商社

10

日本生命

保険業

10

12

マッキンゼー・アンド・カンパニー

サービス業

9

東京海上日動火災

保険業

9

14

あずさ監査法人

その他金融業

8

三菱重工業

機械

8

日本郵政グループ

銀行業

8

17

SMBC日興証券

証券業

7

ディー・エヌ・エー

サービス業

7

ビービット

サービス業

7

三菱UFJ信託銀行

銀行業

7

住友生命

保険業

7

大和証券グループ

証券業

7

明治安田生命

保険業

7

(東京大学新聞社資料より)

 

【慶應義塾大学】

順位

企業名

業種

人数

1

みずほフィナンシャルグループ

銀行業

137

2

三菱東京UFJ銀行

銀行業

112

3

三井住友銀行

銀行業

72

4

大和証券

証券業

53

5

東京海上日動火災保険

保険業

51

6

ソフトバンクグループ

情報・通信業

47

7

三菱商事

総合商社

47

8

三井住友信託銀行

銀行業

42

9

三菱UFJ信託銀行

銀行業

38

10

富士通

電気機器

37

11

りそなグループ

銀行業

35

12

三井物産

総合商社

33

13

野村證券

証券業

32

丸紅

総合商社

32

15

日本生命保険

保険業

31

16

SMBC日興証券

証券業

30

17

エヌ・ティ・ティ・データ

情報・通信業

29

18

住友商事

総合商社

27

損害保険ジャパン日本興亜

保険業

27

博報堂

サービス業

27

三菱電機

電気機器

27

(塾生HP資料より)

 

【早稲田大学】

順位

企業名

業種

人数

1

三菱東京UFJ銀行

銀行業

106

2

みずほフィナンシャルグループ

銀行業

94

3

三井住友銀行

銀行業

89

4

東京海上日動火災保険

保険業

52

5

三井住友信託銀行

銀行業

45

6

大和証券(株)

証券業

42

7

富士通

電気機器

41

8

三井住友海上火災保険

保険業

39

9

三菱商事

総合商社

39

10

ソフトバンクグループ

情報・通信業

37

損害保険ジャパン・日本興亜損保

保険業

37

12

エヌ・ティ・ティ・データ

情報・通信業

35

NTT東日本

情報・通信業

35

楽天

サービス業

35

15

ゆうちょ銀行

銀行業

34

16

日本生命保険

保険業

31

17

三菱電機

電気機器

29

18

SMBC日興証券

証券業

27

三菱UFJ信託銀行

銀行業

27

丸紅

総合商社

27

(大学HP資料より)

 

これら大学へ進学した場合、卒業後に上記企業へ就職する可能性が相応に高いと考えることができます。そこで、これらの企業の平均給与の推計値を利用して、各大学を卒業後に得られる可能性の高い給与水準を探ってみましょう。

 

シミュライズでは、上場企業各社の有価証券届出書、国税庁統計資料などをもとに、企業各社で働き続けたとした場合の平均的な生涯給与、30歳時点、40歳時点の給与などを推計しています。 あくまで、平均値ではありますが、各社の給与面での待遇をおおまかにつかむことが出来ます。

 

ここでは大学ごとに、就職先ランキング上位20社の推計生涯給与、30歳時給与、40歳時給与を、それぞれの企業への就職人数により加重平均してみます。 結果は下記になりますが、各大学を卒業し民間企業へ就職する場合に、得られる給与水準の目安になるといえるでしょう。

 

【民間企業への就職先ランキング上位企業の給与平均値】

東京大学

慶應義塾大学

早稲田大学

生涯給与 (億円)

4.10

3.93

3.79

30歳推計給与 (万円)

884

839

799

40歳推計給与 (万円)

1,149

1,100

1,059

(注1)各大学のランキング上位20社の平均給与を就職人数に加重平均したもの。
(注2)加重平均に用いる各企業の平均給与(生涯給与、30歳、40歳給与)は有価証券届出書、政府統計データをもとにシミュライズで推計したもの。 なお、未上場企業など一部は類似すると思われる上場企業の数値を用いて全体の加重平均値を算出。

 

あくまで各大学の就職先上位ランキング企業をもとにした平均的な数値ですが、これが卒業後の平均像を示していると考えると、東京大学の学部卒業生は早稲田大学の卒業生と比べ、生涯給与で約3,000万円(約8%)30歳時給与で85万円(10%強)多く稼げるであろうと考えられます。 慶應義塾大学の学部卒業生は早稲田大学の卒業生と比べ、生涯給与で約1,400 万円(約4%)30歳時給与で40万円(5%)多く稼げる可能性があると想定できます。

 

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東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、大学進学のコスト


今度は各大学へ進学する場合の親の教育費の違いをみてみましょう。
まず、各大学の経済学部を念頭におき学費を比較してみます。

4年間学費(万円)

東京大学文科二類・経済学部

243

慶應義塾大学経済学部

453

早稲田大学政治経済学部

460

 

国立大学である東京大学は、私立大学の慶應義塾大学、早稲田大学に比べて学費は52~53%、200数十万円低く、慶應義塾大学、早稲田大学の間にはほとんど差がない状況です。大学の学費のみを比べた場合、東京大学はトップ私立大学の約半額で済むわけです。

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次に大学在学中の費用のみを比べるのではなく、以下のような典型的進学パターンを想定し、それぞれにおいて、小学校から大学までの間の教育費コストを試算してみます。ただし、慶應義塾と早稲田の場合には、小学校受験が必要となる想定のため、小学校受験教室費用は加算しています。

 

【東京大学】
・ 小学校は公立。 文部科学省の子供の学習費調査より、学校教育費と給食費の合計金額を想定
・ 小学校4-6年の3年間、中学受験のための学習塾(SAPIXなど)に通う。 合計費用を230万円と想定
・ 東京大学合格者数トップの開成中学校・高等学校へ進学
・ 中学3年-高校3年の間、鉄緑会などの東京大学特化の塾に通う。合計費用を300万円と想定
・ 東京大学文科二類から経済学部へ進学

区分

期間

費用(万円)

小学校(公立)

6年間

58

中学受験学習塾 (想定)

-

230

開成中学校

3年間

271

開成高等学校

3年間

251

大学受験学習塾 (想定)

-

300

東京大学文科二類・経済学部

4年間

243

合計

1,353

 

 

【慶應義塾大学】
・ 幼稚園時に小学校受験教室に通う想定。1年~1年半程度で150万円の費用を想定
・ 慶應義塾幼稚舎から中等部、高等学校と進学し、そのまま慶應大学経済学部へ入学

区分

期間

費用(万円)

小学校受験教室(想定)

-

150

慶應義塾幼稚舎

6年間

752

慶應義塾中等部

3年間

340

慶應義塾高等学校

3年間

303

慶應義塾大学経済学部

4年間

453

合計

1,997

 

 

【早稲田大学】
・ 幼稚園時に小学校受験教室に通う想定。1年~1年半程度で150万円の費用を想定
・ 早稲田実業学校初等部から中等部、高等部と進学し、そのまま早稲田大学政治経済学部へ入学

区分

期間

費用(万円)

小学校受験教室(想定)

-

150

早稲田実業初等部

6年間

630

早稲田実業中等部

3年間

247

早稲田実業高等部

3年間

237

早稲田大学政治経済学部

4年間

460

合計

1,724

(注)上記における学校の費用は、各学校により公表されている学費等を編集部が集計しており、授業料・設備費用その他の学費のみ考慮し、学校外の活動費、参考書代・習い事・自学費用等は含みません 。 また、寄付金についても考慮していません。 通常は教育費として上記金額以外に、制服、部活動の費用、修学旅行費、自学費用、定期代などがかかります。また受験の際の検定料については含んでいません。

 

3大学、それぞれの場合をまとめると、

大学学費
(4年間)

小学校~
大学教育費

東京大学の場合

243

1,353

慶應義塾大学の場合

453

1,997

早稲田大学の場合

460

1,724

(単位:万円、小学校~大学教育費は上記想定のパターンによります)

 慶応三田キャンパス-s

ともに附属の小学校から進学するパターンの想定ですが、慶應義塾の場合と早稲田の場合の学費の違いは270万円程度と意外に大きな差がついています。
公立小学校を想定している東京大学の場合は当然教育費総額が少なくなっていますが、中学受験、大学受験の学習塾コストがかかるため、私立大学の場合を比べて思ったほどの差がついていないというのが実感かもしれません。 それでも慶應義塾大学の場合と比べ約640万円早稲田大学の場合と比べ約370万円少ない教育費総額となっています。

 

 

教育費の費用対リターン


小学校から大学までの間にかかる教育費の差と、各大学卒業後の平均像として得られる給与水準を比べ、教育費の費用対リターンを確認してみたいと思います。

 

上記典型的進学パターン想定のもと、東京大学への進学は慶應義塾大学と比べ約640万円早稲田大学と比べ約370万円、教育費が少なくて済み、一方で、平均像としての収入は早稲田大学の場合と比べて生涯給与で3,000万円以上40歳時給与で約90万円とかなりリード、最も費用対リターン効率が良いといえます。

 

慶應義塾と早稲田を比較した場合には、典型的進学パターン想定のもと、早稲田の場合の教育費が270万円ほど少なくなっています。 一方で卒業後の平均像としての収入は、慶應義塾の方が生涯給与で1,400万円40歳給与で40万円多くなっており、6-7年で教育費分の差額を埋めることができるといえます。 トータルで慶應義塾の方が費用対リターンの効率が良いといえるでしょう。

 

上記進学パターンにかかわらず、東京大学を目指す場合には、子供本人、家族を含めた相当の努力が必要なのは言うまでもありません。 一方で慶應義塾や早稲田における附属からの入学もかなり高いハードルだといわれています。実際には、昨今増えている公立の中高一貫校などから東京大学、あるいは慶應義塾大学を目指すのが最も現実的なのかもしれません。

 

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