20,000円を目前にやや失速気味の日経平均。官制相場とその官の勢いに乗った外国人投資家などにより景気動向や企業業績以上に好調であった株式市場。
20,000円を超えても公的機関は買ってくるのか?他にもっと大きなバズーカが潜んでいるのか?さらなる上昇は刺激なしには厳しい状況だ。
そこで公的機関の運用資金の比率と運用ガイドラインの最近のアップデートについて見ておこう。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)
お馴染み年金積立金管理運用独立行政法人GPIF。厚生労働省所管の独立行政法人。日本の厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っている。
運用総額は137兆358億円(2014年12月末)
第3四半期の収益は6兆6,223億円(5.16%のプラス)
最新の情報は26年第3四半期のデータ
【26年度第3四半期GPIF運用資産割合】
すでに国内債券の割合が43%と50%を割っている。国内株式は他のクジラに比べてすでに20%近くに達している。
【GPIFの26年度第3四半期末の運用割合】
資産種類 | 割合 |
国内債券 | 43.13% |
国内株式 | 19.80% |
外国債券 | 13.14% |
外国株式 | 19.64% |
短期資産 | 4.30% |
したがって国内株式の投資額がおよそ26兆9138億円となっている。
公的年金積立金運用においては、基本となる資産構成割合である「基本ポートフォリオ」(同様の意味で「政策アセットミクス」という言葉が用いられることもあります)を定めていてその割合は以下の通り。
【基本ポートフォリオ】
国内債券 | 国内株式 | 外国債券 | 外国株式 |
---|---|---|---|
35% | 25% | 15% | 25% |
これをベースに考えると、国内株式については25%のリミットまでまだ5%程度、6兆8517億円の空き枠あり。(買い増しができる枠)
KKK(国家公務員共済組合連合会)
KKKは国家公務員共済組合連合会の訳、GPIFほど規模は大きくないが、3つの共済年金合わせると巨大。
27年2月25日に発表になったが、運用割合がはやりGPIFと同様の割合になり、株式の割合は25%になった。
最新の数字は25年度の運用状況(平成26年6月に発表)
運用総額が7兆2676億円(2013年度)
25年度の運用状況は以下のよになっている。
【25年度KKK運用資産割合】
国内債券の割合が76%と非常に高く、外国債券、国内株式等の割合が非常に低いポートフォリオになっている。
【25年度KKK運用割合】
資産種類 | 割合 |
国内債券 | 75.60% |
国内株式 | 8.00% |
外国債券 | 1.30% |
外国株式 | 8.60% |
短期資産 | 2.10% |
不動産 | 2.10% |
貸付金 | 2.30% |
基本ポートフォリオはGPIFと同様な割合になることが、27年2月25日に発表となっている。
【基本ポートフォリオ】
国内債券 | 国内株式 | 外国債券 | 外国株式 |
---|---|---|---|
35% | 25% | 15% | 25% |
これをベースに考えると現在8%が25%まで増大すると17%の余力がある。
運用総額が7兆2676億円なのでこれの17%であると、1兆2354億円の国内株式の買い増しが必要となる。
25年度から時間も大分経っているので、既にいくらかは達成されたであろう。
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地方公務員共済連合会
地方公務員の年金制度の健全な運営を維持していくため、年金の財政単位を一元化し、年金財政基盤の安定化を図るとともに、共済組合の長期給付に係る業務の適正かつ円滑な運営を図ることを目的として設立され、すべての地方公務員共済組合(平成26年4月1日現在、64組合及び全国市町村職員共済組合連合会)をもって組織する連合体となっています。
最新の数字は25年度末のデータ。
運用総額18兆9284億円(25年度末)
国家公務員共済の2倍以上にのぼる。
【25年度地方公務員年金共済の資産運用割合】
国内債券割合はKKKほどは高くないが、57%程度ありやや高めである。株式は16%とGPIFに追い付く勢いだ。
【25年度末地方公務員共済運用資産】
資産種類 | 割合 |
国内債券 | 57.30% |
国内株式 | 16.10% |
外国債券 | 11.10% |
外国株式 | 13.70% |
短期資産 | 1.80% |
平成27年3月27日にだされた方針で運用のモデルポートフォリオはやはり同様な変更になっている。
【基本ポートフォリオ】
国内債券 | 国内株式 | 外国債券 | 外国株式 |
---|---|---|---|
35% | 25% | 15% | 25% |
これをベースに考えると、 25年度末で国内株式が16.1%であるので、25%までは9%程度(1兆7035億)が買い増しになる。
日本私立学校振興・共済事業団
私立学校に勤務する加入者とその被扶養者の健康の保持・増進と退職後の保障等を図り、もって私立学校及び私立学校教育の振興・発展に寄与するため、日本私立学校振興・共済事業団では、共済事業として以下のような短期給付事業、長期給付事業及び福祉事業を行っています。
最新の数字は25年度末のデータになる。
運用総額は3兆8,472億円(25年度末)
【25年度私学共済資産運用割合】
私学共済も国内債券は地方公務員共済と近いレベル。国内株式はやや低めでその分短期資産に回っている。
【25年度私学共済運用資産割合】
資産種類 | 割合 |
国内債券 | 56.44% |
国内株式 | 9.95% |
外国債券 | 11.87% |
外国株式 | 11.12% |
短期資産 | 10.61% |
国内株式投資額は現在3829億円(9.95%)である。
平成26年11月30日より適用の資産割合は以下のようになっている。
【基本ポートフォリオ】
国内債券 | 国内株式 | 外国債券 | 外国株式 | 短期資産 |
56% | 13% | 13% | 13% | 5% |
これをベースに考えると、現在9.95%の株式が13%まで増加すると残りが3.05%程度の増加なので、1,173億円程度の買い増しが必要になる。
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かんぽ生命
(株)かんぽ生命保険は、平成19年10月1日、日本郵政公社の民営・分社化により誕生した日本郵政グループの生命保険会社。
運用総資産額は83兆2,399億円(簿価)(2015年2月末)
【2015年2月末かんぽ生命運用割合】
かんぽ生命は国債が60%と高めであり、外国債券、外国株式、国内株式とも割合は低い。そのため国内株式への振り向けは十分可能と思われる。
地方債・社債等を含めると国内債券の割合は80%近くとなる。
2014年12月の有価証券の時価情報によると以下のようになっている。
【有価証券の時価情報】
区 分 | 帳簿価額 | 時価 | 差損益 | |
有価証券等 | 公社債等 | 51,580 | 52,776 | 1,196 |
外国証券 | 15,973 | 19,085 | 3,112 | |
預金等 | 13,135 | 13,158 | 22 | |
小 計 | 80,689 | 85,020 | 4,331 | |
金銭の信託 | 国内株式 | 7,562 | 9,518 | 1,955 |
外国株式 | 1,584 | 1,931 | 347 | |
外国債券 | 1,541 | 1,867 | 325 | |
小 計 | 10,688 | 13,317 | 2,629 | |
合 計 | 91,377 | 98,338 | 6,960 |
(単位:億円)
注1:その他有価証券の差損益(6,960億円)は税効果分を除いた金額(4,835億円)を
貸借対照表の純資産の部に「その他有価証券評価差額金」として計上。
2:「帳簿価額」は償却原価法等適用後。
3:金銭の信託の各区分には、現預金等を含む。
4:計数は切捨てとしていることから、合計は一致しない。
時価ベースで国内株式が9,518億円となっている。
2015年2月の資産残高は以下のようになっている。
区 分 | 資産残高 | 構成割合 | |
現金及び預金 | 10,673 | 1.3 | |
コールローン | 3,701 | 0.4 | |
買現先勘定 | - | - | |
債券貸借取引支払保証金 | 24,611 | 3.0 | |
買入金銭債権 | 2,963 | 0.4 | |
金銭の信託 | 14,082 | 1.7 | |
有価証券 | 671,702 | 80.7 | |
国債 | 489,043 | 58.8 | |
地方債 | 96,153 | 11.6 | |
社債等 | 66,913 | 8.0 | |
外国証券 | 19,592 | 2.4 | |
貸付金 | 104,663 | 12.6 | |
保険約款貸付 | 711 | 0.1 | |
一般貸付 | 7,991 | 1.0 | |
機構貸付 | 95,960 | 11.5 | |
合 計 | 832,399 | 100.0 |
この金銭の信託でどれだけ国内株式が買われたかだが、金銭の信託が2014年12月末対比で 2015年2月には簿価ベース3,394億円増加している。
株式は2014年度より大きく増やす方針を現在掲げており、金銭の信託の中で確実に増加しているはずだ。
しかしながら基本ポートフォリオのような形はとっていないため、かんぽ生命自体の判断で、増減することになり詳細は外部には見えない。
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ゆうちょ銀行
2012年(平成24年)10月1日、「郵便局株式会社」と「郵便事業株式会社」は会社統合によって「日本郵便株式会社」となり、「日本郵便株式会社」、「株式会社ゆうちょ銀行」、「株式会社かんぽ生命保険」、「日本郵政株式会社」の4社からなる新たな「日本郵政グループ」がスタート
その中核をなすのがゆうちょ銀行なのである。
26年12月末の決算から数字を見てみる。
運用総額は205兆2656億円(26年12月末)
とGPIFを凌ぐ巨大ファンドだ。
【2014年12月ゆうちょ銀行資産運用割合】
国債の割合は50%をわずかに超えており、ついで預け金(15%)、その他の証券(外国債券等)(15%)となっている。
株式割合は極めて低く、金銭の信託も全体の2%に過ぎない。
注:1 「預け金等」には譲渡性預け金、日銀預け金等を含んでいます。 2 「その他の証券」は外国証券です。
有価証券に含まれる株式は9億あまりで小さいが、金銭の信託で3兆2507億の資金があるので、そこに含まれる株式もあると思われるが詳細は情報がない。
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