都心オフィスビル空室率の2015年3月の数値が公表され5.30%と、先月の5.31%からわずかに低下、21か月連続の改善となりました。(オフィス仲介大手の三鬼商事(株)による都心5区の空室率) 一年前の水準からから1.40%低下と、市場の回復傾向は続いていますが、ここ数か月は、新築ビルの空室率がかなり上昇を見せたことこから、全体の低下ペースが鈍化しています。
都心オフィス空室率は、前回の不動産回復サイクル(2003 年半ば~2007年終わりにかけての回復期)と同じような感じで低下が進み、ちょうど2005年春頃の水準です。 2005年には、夏以降一段と空室率が低下、翌年にむけてオフィス賃料もどんどん上昇し、2007年の不動産ミニバブルのピークへと向かっていきました。 2007年のピーク時には、空室率は2%台半ばでしたので、今回はどこまで進むのか期待が膨らみます。
複数の投資家から資金を集め不動産に投資をする商品であるREIT(不動産投資信託)の価格をみてみると、前回の不動産市場サイクルでは、2007年のピーク時に東証REIT指数(東京証券取引所に上場しているREIT全体を対象にした指数)が2500ポイントを超えていました。 先月3/12時点の指数は1809.26でしたが現在 (4/10終値)は1917.10と、今年1月につけた1990の水準を目指す展開となっています。不動産投資市場の面からも今後どこまで回復が進むのか注目です。
なお、シミュライズでは不動産投資信託を投資対象としたREITバスケットを作成し、昨年からバスケットの運用実績を追っています。REITバスケットのパフォーマンスは昨年5月以降で約40%の上昇を記録しています。
REITやバスケットについては、以下の記事をぜひご覧ください。
【運用】REITバスケット(ID10008)説明 不動産投資は株式投資を上回るか?REITは期待リターン高
上記グラフをみてみると、前回の市場回復期には、オフィス空室率が5.5%を切ったあたりからオフィス賃料の上昇が一段と進み、ピークの2007年にむけて不動産価格の大きな上昇がみられました。 今回は、ここにきてやや空室率低下が緩やかになっており今度の動向が気になります。 一方で、オフィス平均賃料は一年前から約5.3%上昇とじりじりと上昇を続けています。
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これまでの記事で見てきたように、オフィスビル市場にみられる不動産市場の回復傾向は、連動してマンション市場にも着実に表れてきます。下記グラフでは、2013年以降オフィス空室率が低下するにつれ、マンションの価格も着実な上昇を見せています。 (株)東京カンテイによる東京23区の中古マンション価格動向をみると、2月の平均価格は70㎡に換算した値で4,459万円と、一年前から7.6%の上昇となっています。 特に都心6区の値上がりは目立ち、一年間で11.4%の上昇とかなりのペースです。
(注)三鬼商事(株)、(株)東京カンテイ資料より作成。グラフでは分かり易いように、空室率を反転させて表示しています。
(グラフ上部へいくほど、空室率低下、不動産市場の回復していることを表す)
下記グラフでは、東京都心以外の主要都市圏においても価格上昇の傾向が確認できます。
(注)(株)東京カンテイ資料より作成。
なお、昨年発表された国土交通省の2014年7月~10月の地価動向調査でも、地価上昇地区がかなり増え、不動産の回復傾向が鮮明になってきました。 下記もぜひご覧ください。
【運用】住宅の買い時? -国交省の地価調査でも上昇継続。東京圏の上昇地区増加。
シミュライズでは引き続き不動産市場の動向を追っていきたいと思います。
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