シミュライズではこれまで、公表された平均給与データなどから年齢毎の給与カーブを推計し、上場企業や、中小企業の業種毎の生涯給与の推計を行ってきました。
このたび厚生労働省により平成26年賃金構造基本統計調査が公表されましたので、今回は中小企業の業種毎生涯給与の最新の推計値についてお伝えします。
厚生労働省の同調査は、全国の事業所の2014年6月時点の賃金などについて調査しています。 シミュライズではこれをもとに、中企業(従業員数100人以上1,000人未満)、小企業(従業員数10人以上100人未満)について、業種毎に、各年齢の推計給与、および、毎年の給与を23歳から60歳までもらい続けたとする生涯給与についての推計をしています。なお、上場企業の場合を同様に、バラつきの大きい退職金は生涯給与に含みません。
2014年の中小企業の業種別生涯給与についてはこちら。
【収入】中小企業の業種別生涯給与-上位業種は教育・学習支援業、電気・ガス、情報通信、金融保険など
上場企業の生涯給与などについては、ぜひこちらをご覧ください。
上場企業生涯給与ランキング2014年
まず中企業(従業員数100人以上1,000人未満)について最新の数値をみてみましょう。
【中企業(従業員100~999人)の業種別 生涯給与】
業種 | 生涯給与 (億円) |
前年比 (万円) |
30歳給与 (万円) |
35歳給与 (万円) |
40歳給与 (万円) |
金融・保険業 | 2.40 | 1,690 | 471 | 605 | 693 |
情報通信業 | 2.33 | 606 | 461 | 535 | 616 |
教育・学習支援業 | 2.29 | ▲428 | 426 | 512 | 603 |
学術研究・専門技術 | 2.27 | 821 | 446 | 525 | 606 |
電気・ガス・水道 | 2.17 | ▲1,197 | 452 | 521 | 603 |
建設業 | 2.09 | 1,251 | 452 | 518 | 563 |
不動産業 | 2.03 | ▲325 | 448 | 503 | 568 |
卸売・小売業 | 1.85 | 940 | 389 | 451 | 512 |
製造業 | 1.75 | 356 | 396 | 439 | 482 |
複合サービス事業 | 1.64 | 84 | 349 | 389 | 435 |
運輸業 | 1.61 | 632 | 384 | 415 | 444 |
医療・福祉 | 1.58 | ▲513 | 370 | 400 | 426 |
生活関連・娯楽業 | 1.49 | 690 | 343 | 391 | 431 |
飲食店・宿泊業 | 1.34 | 205 | 313 | 351 | 376 |
(注1) 生涯給与、年齢毎の給与は厚生労働省による平成26年賃金構造基本統計調査等をもちいたシミュライズ推計値
(注2) 業種は同調査に用いられている日本標準産業分類による。ただし人数の少ない鉱業・採石業、および他に分類されないサービス業は除く
(注3) 前年比の数値の "▲"は、前年比マイナスであることを指す
2014年のトップ3業種、およびその推計生涯給与は
- 教育・学習支援業 2.34億円
- 電気・ガス・水道 2.29億円
- 情報通信業 2.27億円
2015年のトップ3業種、およびその推計生涯給与は
- 金融・保険業 2.40億円
- 情報通信業 2.33億円
- 教育・学習支援業 2.29億円
となっています。
金融・保険業は前年比プラス1,690万円と最大の伸びをみせ、全体のランキングトップに躍進。 アベノミクスによる株高などを受け業績も回復している企業も多く、従業員の給与にも反映されている様子がうかがえます。前年比伸びの2位は建設業でプラス1,251万円。 こちらも景気回復を背景とした案件が増えているほか、震災復興事業、オリンピックに向けた建設ラッシュなどにより人手不足が続いている業界であり、従業員の給与もその恩恵を受けています。 前年変化の3位は卸売・小売業で940万円のプラスです。
一方、前年からの下落額のトップ3業種は、電気・ガス・水道のマイナス1,197万円、医療・福祉のマイナス513万円、教育・学習支援業のマイナス423万円となっており、教育・学習支援業は前年のランキングトップから3位に後退しています。
ランキング最下位は前年に続き、飲食店・宿泊業。前年からの伸びも205万円と大きくなく、ランキング上位との差が少し広がっています。
[SetAd category ="K"]
ここで、前年比大きくプラスとなった金融・保険業と建設業について、2015年と2014年の給与カーブを比較してみましょう。
(注1) 給与は厚生労働省による平成26年賃金構造基本統計調査等によりシミュライズ推計の年収
(注2) グラフ中の数値はピーク時の年収
金融・保険業の今年のカーブを見ると、30歳を過ぎたあたりからの給与の上昇率が昨年対比でかなり大きくなっているのが分かります。 そこで生じた給与の差が50歳台までつづき、生涯給与の大きな変化となって表れています。 建設業の場合も、金融・保険業ほど顕著ではありませんが、この傾向が見てとれます。
つづいて、小企業(従業員数10人以上100人未満)をみてみます。
【小企業(従業員10~99人)の業種別 生涯給与】
業種 | 生涯給与 (億円) |
前年比 (万円) |
30歳給与 (万円) |
35歳給与 (万円) |
40歳給与 (万円) |
金融・保険業 | 2.08 | ▲522 | 416 | 512 | 588 |
情報通信業 | 1.89 | ▲257 | 391 | 462 | 511 |
教育・学習支援業 | 1.71 | 443 | 363 | 412 | 451 |
学術研究・専門技術 | 1.88 | ▲2 | 400 | 470 | 522 |
電気・ガス・水道 | 1.85 | 337 | 393 | 445 | 502 |
建設業 | 1.57 | 339 | 367 | 403 | 435 |
不動産業 | 1.71 | 436 | 375 | 431 | 467 |
卸売・小売業 | 1.55 | 147 | 332 | 383 | 427 |
製造業 | 1.42 | ▲73 | 335 | 370 | 395 |
複合サービス事業 | 1.52 | ▲96 | 337 | 362 | 383 |
運輸業 | 1.42 | 382 | 359 | 387 | 399 |
医療・福祉 | 1.39 | 110 | 322 | 351 | 372 |
生活関連・娯楽業 | 1.31 | ▲122 | 299 | 337 | 372 |
飲食店・宿泊業 | 1.19 | 159 | 290 | 317 | 335 |
(注1) 生涯給与、年齢毎の給与は厚生労働省による平成26年賃金構造基本統計調査等をもちいたシミュライズ推計値
(注2) 業種の表示順序は中企業のランキング順としています
(注3) 前年比の数値の "▲"は、前年比マイナスであることを指す
小企業のランキングトップ3業種は、金融・保険業、情報通信業、学術研究・専門技術となっています。 中企業では前年比大幅な伸びをみせていた金融・保険業、情報通信業は、小企業ではともに前年比マイナスとなっており、中小企業間で企業規模による給与の格差が広がっていることを感じさせます。
シミュライズでは「シミュライズ(無料)」には、さまざまなシムラー(住人)の方々が参加しています。 お金に直結する就職や結婚、また住宅購入や教育費など、人生におけるお金についてぜひ参考にしてください。 SNSに登録いただくことで、今後のご自身の資産についてのシミュレーションが可能になり、ご自身に関連するニュースやシミュレーションの変化などもメールでお届けいたします。こちらから無料で登録できます。
関連記事
中小企業や上場企業の生涯給与やブラック/ホワイト分析については以下の記事を参照ください。
- 【収入】 生涯給与ランキング2014 全業種 公表 - 1位日本M&Aセンター、2位キーエンス、業種では医薬品と証券躍進
- 【収入】「ホワイト企業」、「ブラック企業」?ランキング 勤続年数と生涯給与で見る従業員に魅力のある企業