【支出】関西電力が電気料金の再値上げ申請-原油価格と電気・ガス料金の動きを再チェック

2021/08/19

関西電力が12月24日、経済産業省に電気料金の再値上げを申請しました。 来年4月からの値上げ幅は最終的に審査次第で決まってきますが、平均10%強を見込んでいます。 東京電力はコスト削減等による黒字確保の見通しから来春の再値上げを見送る方向のようですが、関西電力は赤字が続き、火力発電の燃料費増を吸収するのに限界があることが理由のようです。

 

シミュライズでは、これまでも原油など燃料費が電機やガス料金に与えている影響を見てきました。

ここで改めてアップデートをしてみたいと思います。

 

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火力発電においては、燃料としてかなりの部分は石油と液化天然ガス(LNG)が用いられており、それに石炭が加わります。LNGの価格は原油価格の変動に少し遅れながらほぼ連動して決まってきます。 したがって、原油価格の変動が発電コストに大きな影響を与えているといえます。

 

また、ガスの主原料も液化天然ガス(LNG)などになるので、ガス会社にとっても原油価格の動向が原料費に大きな影響を与えます。

 

ではここで、原油価格の動向と電気料金、ガス料金のこれまでの長期的な推移をグラフでみてみましょう。
原油は通常ドル建てで取引されているため、日本から調達する場合にはドル円の為替レートの影響も受けます。よって、ここでは為替レートを用いて円ベースに換算した原油価格を使って表示しています。

 

【2003年以降の原油価格(円換算値)と電気料金(従量課金価格)の推移】

WTI vs Electricity Price1411

(注1)原油価格はWTIスポット価格(ドル/バレル)とドル円為替レートを用いて円換算したもの
(注2)電気料金は統計局、小売物価統計調査(動向編)調査結果より東京都区部データ、従量電灯・電力量料金(それぞれkWhあたり)を指数化(2003年1月=100)したもの

 

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【2002年以降の原油価格(円換算値)とガス・プロパンガス料金の推移】

WTI vs Gas Price1411

(注1)原油価格はWTIスポット価格(ドル/バレル)とドル円為替レートを用いて円換算したもの
(注2)ガス料金は統計局、小売物価統計調査(動向編)調査結果より、一般家庭用で1465.12MJの東京都における一カ月当たり料金を指数化(2003年1月=100)したもの
(注3)プロパンガス料金は統計局、小売物価統計調査(動向編)調査結果より、東京都における基本料金及び10㎥(従量料金)を使用した料金を指数化(2005年1月=100)したもの

 

 

2009年以降の原油価格の上昇に、2012年のアベノミクス以降の為替レートの円安の影響が加わり、円ベースでみた原油価格は今年の夏には2009年ごろの2倍をはるかに超える水準まで上昇しました。

 

上記は東京都区部のデータですが、東京電力も原油など燃料費の上昇に合わせるように、これまで電気料金を上げてきたことがみてとれます。さらに下段のグラフをみてみると、ガス料金はより一層、原油価格の上昇にあわせた価格変更がされてきたことがわかります。

 

ただし、グラフの直近の原油価格の推移からもわかるように、今年秋になり原油価格は大幅な調整を始めています。為替の円安は進んでいるものの、円ベースの原油価格は夏のピーク時より3割以上低い水準です。 このままの原油価格水準が続くようだと、電力会社にとっての発電コストは一時期より相当に低下することになるため、関西電力の今回の値上げ申請はかなり反発を受ける可能性があるように思えます。

 

シミュライズでは、引続き今後の動向を追ってきたいと思います。

 

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