【支出】吉野家、松屋、すき家、3社の牛丼、価格推移-各社の戦略アップデート

2021/08/19

前回記事では、今年の消費税増税にあたり、それまで横並び低価格競争だった牛丼大手3社の価格戦略に違いが出てきたことを、過去の牛丼価格推移とともに見てみました。 3社の中で唯一値下げに踏み切ったすき家が8月に入り値上げを発表しましたので、ここで状況を再整理しておきたいと思います。

 

前回記事 →【支出】吉野家、松屋、すき家、3社の牛丼、価格推移-今年に入り各社の別々の価格戦略か?

 

2013年中は280円で横並びだった3社の牛丼(並)ですが、2014年4月の消費税増税にあたり、吉野家は300円へ、松屋は290円へそれぞれ値上げする一方、すき家は270円へと更なる値下げを行いました。(全て税込) 更に、松屋は7月に380円のプレミアム牛めしを始め、一部店舗を除き従来の牛めしを販売終了にすることで、実質値上げを行いました。

 

3社の戦略が分かれたわけですが、8月に入ると、人手不足の問題も抱えるすき家の運営会社ゼンショーホールディングスが、今期(2015年3月期)の税引き後利益が初の赤字転落見通しとの公表とともに、牛丼(並)の291円への値上げ(8/27から)を明らかにしました。これで、消費税前と比べると、3社とも値上げになりますが、依然として、すき家が他の3社の中で最安である状況は変わりません。

 

吉野家、松屋、すき家の牛丼(並) (松屋は牛めし(並))の価格推移

Gyudon201408

(注1)シミュライズ調べ(価格の正確性については、保証いたしません)
(注2)各社のキャンペーン等を行っていない場合の標準値段
(注3)吉野家については、2004-2006年の間、松屋・すき家については、2004年中一時的にBSEの影響により販売停止 

 

人件費の上昇や、牛肉価格をはじめとする食材価格および電気料金の上昇等がその理由のようですが、ここで、3社の今期第一四半期の業績を前年度数値とともに見てみたいと思います。

 

 吉野家ホールディングス・松屋フーズ・ゼンショーホールディングスの四半期決算

吉野家 松屋フーズ ゼンショー(すき家)
前四半期 今四半期 前四半期 今四半期 前四半期 今四半期
売上高 42,537 44,325 19,177 19,496 109,302 120,145
売上原価 15,882 16,299 6,646 6,475 42,763 51,161
販売費・一般管理費 27,411 27,140 12,526 12,733 64,919 69,906
営業利益 ▲756 885 5 287 1,619 ▲923
経常損益 ▲403 944 5 295 1,720 ▲1,232

(注1)単位はは百万円
(注2)吉野家の前四半期は2013年3-5月期、今四半期は2014年3-5月期、松屋フーズとゼンショーはそれぞれ2013年4-6月期と2014年4-6月期

 

ゼンショーは牛丼チェーン以外も運営するために、完全に横並び比較はできませんが、この第一四半期のゼンショーの売上原価率の高さが目を引きます。今四半期の売上高に対する売上原価の割合が、ゼンショー42.6%に対し、吉野家36.8%、松屋33.2%となっており、すき家における一時的な営業休止による売上減や材料費高騰によるマイナス影響の大きさが感じとれます。今四半期の経常損益でも赤字となっている上に今後の人件費上昇も想定されることから、現状の値上げは避けられない状況だったとも考えられます。

 

今後の販売動向次第では、価格戦略の更なる変化等も起こり得ることから、シミュライズでは引き続き状況をフォローしていきます。

 

2014年12月9日の吉野家による牛丼値上げについての最新記事はこちらへどうぞ。
【支出】吉野家、松屋、すき家、3社の牛丼、価格推移-吉野家、値上げで松屋に並ぶ

 

吉野家VSマクドナルドはどうだろう? 

 

 自宅でも牛丼を楽しみたい方はこちらからどうぞ。

 

また、シミュライズでは企業の報告データから創り出されたサンプル人格(シムラ―)を「企業シムラ―」と呼び、自分の将来を見て考えるシステム ”シミュライズコア” を用いていろいろ試せるようになっています。 下記記事にて、吉野家ホールディングスと松屋フーズのサンプル社員の人生設計をみていますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

 

【人生設計】吉野家ホールディングスと松屋フーズ-牛丼チェーン大手2社のの社員、生涯給与と人生設計はどう違う?

 

 

 

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