上場企業の2014年3月末の決算情報を用いた、主要業種の生涯給与ランキング・アップデート。今回は、アベノミクスによる緩やかな景気回復の中、好業績企業の多い金属製品業界です。
ここでは、上位15社の生涯給与ランキング、各社業績情報のアップデート、更に、財務データからみえる将来の給与動向を展望してみたいと思います。
2014生涯給与ランキング — 金属業界 (上位15社)
順位 | 銘柄 コード |
会社名 | 生涯給与 (億円) |
前年変化 | 40歳給与 (万円) |
平均 年齢 |
平均給与 (万円) |
1 | 5938 | LIXILグループ | 3.48 | 4.7% | 952 | 44.2 | 1,026 |
2 | 5929 | 三和ホールディングス | 3.14 | - | 859 | 46.8 | 961 |
3 | 5902 | ホッカンホールディングス | 2.86 | 4.0% | 783 | 43.4 | 834 |
4 | 5901 | 東洋製罐グループホールディングス | 2.64 | 9.6% | 722 | 39.6 | 716 |
5 | 3433 | トーカロ | 2.55 | 0.7% | 698 | 38.1 | 671 |
6 | 5991 | 日本発條 | 2.49 | 1.3% | 681 | 39.6 | 675 |
7 | 5989 | エイチワン | 2.44 | 6.1% | 669 | 40.1 | 670 |
8 | 9922 | 日立機材 | 2.42 | -1.6% | 663 | 40.5 | 670 |
9 | 5975 | 東プレ | 2.42 | -2.9% | 663 | 40.1 | 664 |
10 | 5911 | 横河ブリッジホールディングス | 2.38 | 0.0% | 651 | 44.6 | 705 |
11 | 5970 | ジーテクト | 2.37 | 1.4% | 648 | 37.1 | 610 |
12 | 5994 | ファインシンター | 2.33 | 4.7% | 638 | 38.2 | 614 |
13 | 5947 | リンナイ | 2.33 | 2.0% | 637 | 35.8 | 584 |
14 | 3423 | エスイー | 2.31 | 6.5% | 633 | 40.3 | 637 |
15 | 3431 | 宮地エンジニアリンググループ | 2.31 | 4.9% | 633 | 47.7 | 711 |
(注1) 生涯給与、40歳給与は、各社の有価証券届出書データを用い、シミュライズ給与カーブモデルによる推計値
(注2) 平均年齢、平均年収は企業による公表値
(注3) 前年変化は、生涯給与の前年度推計値からの変化
(注4) 業種の分類は東証分類によるものの一部弊社独自の分類を加味。なお、平均給与を公表していない企業、従業員数が少ない企業等を除く
前年に続いてのランキングトップは、トステム、INAX等が統合された住宅設備最大手、業界内売上高最大の(株)LIXILグループ。 順調に増収増益を記録している中、昨年比で生涯給与を1500万円伸ばし、トップを堅持しています。 2位には、シャッター国内最大手で、海外でも事業を伸ばし、こちらも大幅な業績拡大の (株)三和ホールディングス。
ランキング3位、4位には、生涯給与をそれぞれ前年対比で1000万円、2300万円伸ばした ホッカンホールディングス(株) と 東洋製罐グループホールディングス(株)が入っています。ホッカンホールディングスは飲料缶やPETボトル生産や飲料等の充填事業が主事業。 一方、東洋製罐グループホールディングスは、金属、プラスチック、その他複合材料を素材とした包装容器の設計・開発・製造・販売などを主な事業としています
他に目立ったのは、生涯年収を前年比1400万円伸ばし、昨年10位から7位にアップした (株)エイチワン。 同社は、自動車部品および二輪部品等各種金属のプレスおよび溶接加工を事業とし、アンダーボディ骨格品等を主体とする企業です。
ランキング各社の業績まとめ (連結ベース)
銘柄 コード |
会社名 | 売上高 (億円) |
前年 変化 |
経常利益 (億円) |
前年 変化 |
ROE |
5938 | LIXILグループ | 16,287 | 13.4% | 749 | 41.2% | 7.2% |
5929 | 三和ホールディングス | 3,120 | 17.3% | 203 | 45.2% | 8.9% |
5902 | ホッカンホールディングス | 1,697 | 1.6% | 46 | -22.2% | 4.3% |
5901 | 東洋製罐グループホールディングス | 7,852 | 7.2% | 296 | 29.4% | 2.3% |
3433 | トーカロ | 226 | 8.0% | 37 | 19.6% | 9.2% |
5991 | 日本発條 | 5,697 | 12.2% | 414 | 18.7% | 11.3% |
5989 | エイチワン | 1,799 | 30.4% | 57 | 0.7% | 7.2% |
9922 | 日立機材 | 267 | 15.5% | 27 | 48.2% | 9.3% |
5975 | 東プレ | 1,116 | 22.0% | 157 | 52.1% | 13.6% |
5911 | 横河ブリッジホールディングス | 882 | -0.6% | 66 | 82.5% | 7.3% |
5970 | ジーテクト | 1,815 | 17.5% | 139 | 17.2% | 8.8% |
5994 | ファインシンター | 368 | 6.4% | 12 | -9.3% | 5.0% |
5947 | リンナイ | 2,870 | 14.0% | 369 | 27.0% | 10.7% |
3423 | エスイー | 187 | 7.9% | 13 | 22.5% | 10.2% |
3431 | 宮地エンジニアリンググループ | 220 | 13.4% | 14 | 144.2% | 7.0% |
(注1) 連結ベース。有価証券報告書等を基にシミュライズ作成
続いて、企業の直近年度の財務情報を用いて今後の給与動向を探れるよう、いくつかの財務データを見ていきたいと思います。ここで取り上げる指標は以下になります。
① 配当性向 | 当期純利益に対して配当金支払額の占める割合。 利益をどれだけ株主に配当しているかを示す |
② ROE | 当期純利益を純資産合計で割った指数。投下資本に対して企業の稼ぐ力を示す総合的な指数といえる |
③ 経常利益(従業員一人当たり) | 経常利益を従業員数で割った数値 |
④ 純資産額(従業員一人当たり) | 純資産額を従業員数で割った数値 |
⑤ 現金等(従業員一人当たり) | 現預金(同等物も含む)を従業員数で割った数値 |
ランキング各社の配当性向・ROE・従業員一人当り財務データまとめ (平均給与公表企業単独決算ベース)
銘柄 コード |
会社名 | 配当性向 | ROE | 経常利益 (一人当たり) |
純資産額 (一人当たり) |
現金等 (一人当たり) |
5938 | LIXILグループ | 249.5% | 1.3% | 59.9 | 4,700.7 | 0.0 |
5929 | 三和ホールディングス | 75.9% | 3.0% | 123.7 | 2,810.8 | 412.6 |
5902 | ホッカンホールディングス | 56.9% | 2.4% | 47.3 | 1,670.0 | 2.6 |
5901 | 東洋製罐グループホールディングス | 45.9% | 1.6% | 20.8 | 1,006.4 | 184.6 |
3433 | トーカロ | 37.4% | 9.1% | 6.3 | 45.5 | 15.9 |
5991 | 日本発條 | 25.8% | 14.8% | 5.5 | 30.9 | 5.0 |
5989 | エイチワン | 30.6% | 6.1% | 2.0 | 24.1 | 1.6 |
9922 | 日立機材 | 24.7% | 9.6% | 7.2 | 46.9 | 0.1 |
5975 | 東プレ | 13.5% | 11.6% | 7.7 | 52.5 | 4.0 |
5911 | 横河ブリッジホールディングス | 24.2% | 4.6% | 42.8 | 1,034.5 | 195.8 |
5970 | ジーテクト | 24.1% | 6.1% | 4.4 | 52.6 | 1.6 |
5994 | ファインシンター | 60.9% | 3.1% | 0.6 | 12.9 | 1.8 |
5947 | リンナイ | 19.1% | 12.5% | 7.5 | 44.8 | 4.1 |
3423 | エスイー | 66.5% | 7.8% | 4.5 | 34.6 | 21.6 |
3431 | 宮地エンジニアリンググループ | 79.5% | 1.9% | 8.6 | 447.1 | 7.6 |
(注)金額は百万円
ROEは企業の総合的な稼ぐ力、 配当性向は企業の株主への利益還元姿勢を示します。 ROEが一定水準以上あり配当性向の高い企業は、今後も収益を稼ぎながら従業員への還元も続けて行く可能性が相対的に高いと考えられます。 上記表より、ROEが一定水準であり、配当性向が相応に高い企業として、トーカロ(株)、日本発條(株)、日立機材(株)、東プレ(株)、リンナイ(株)、(株)エスイー、等が確認できます。
これらの企業のうち、トーカロ(株)や(株)エスイーは、従業員一人当たりでみた経常利益や純資産額が業界内の平均水準より高く比較的効率的な経営を続けていると想定され、また、従業員一人当たりの現金額も多いことから、今後の給与伸びの余地が他社対比あるのではないかと考えられます。
シミュライズでは引続き、企業の給与動向を見ていきたいと思います。
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